バレル研磨についての基礎知識!
本日は表面がピカピカになるバレル研磨について解説していきたいと思います。
基礎知識をしっかり身に付けたい方にはおススメですので、是非ご覧ください♪
バレル研磨とは
バレル研磨とは、バレル容器に工作物や研磨石、コンパウンド、水を入れ、回転させたり振動を与えながら研磨する加工技術のことです。
バレル容器を機械で回転、もしくは振動させることで工作物と研磨石が擦れ合いますが、この時に生じる摩擦で工作物を研磨することができます。
製造工程の最終段階の仕上げを担う重要な技術であり、工業の世界では欠かせないものです。
またバレル研磨は、バリの除去や角のR付け、表面の平滑仕上げから光沢をもたせる鏡面仕上げ、スケール取りなど、工作物の仕上げを一括処理できるのも特徴で、自動車や電子機器など多くの業界で導入されています。
バレル研磨のメリット
安く大ロットの金属研磨ができる
バレル研磨のメリットは、一度にたくさんの金属を同時に研磨ができることです。
バレル研磨の仕組みは、簡単に言えば洗濯機と同じです。
一度にたくさんの洗濯物を洗浄できる洗濯機と同じく、バレル研磨は槽に入れた金属を一括で研磨できます。
同じ物理的な研磨方法であるバフ研磨にくらべ、安く大ロットでの金属研磨・バリ取りができる点がバレル研磨の特徴です。
同じ品質での研磨ができる
研磨石とコンパウンドの割合、バレルを動かす時間など、研磨をする条件が同じであれば研磨後の品質がほぼ同じにできます。
手作業での研磨を行う場合、大ロットでの研磨だと品質をすべて均一に保つのは難しいです。
ただ、バレル研磨だとほぼ同じ品質に仕上がるため、大ロットでの研磨に向いている方法といえます。
鏡面仕上げに近い仕上がりでの研磨も可能
機器や研磨石の種類によっては、高いレベルでの研磨もできます。
大ロットの製品を安く、鏡面仕上げに近いレベルに仕上げられるので、コスパの良い研磨方法といえるでしょう。
バレル研磨のデメリット
ワークスケールの大きい製品の研磨
ワークスケールとは、簡単に言えば研磨をする素材の大きさのことです。
研磨をする素材のサイズが大きすぎると、研磨槽の中に素材が入らず、研磨ができない場合もあります。
ワークスケールの大きいものをバレル研磨するには、製品がすっぽり入る大型のバレル研磨機が必要です。
しかし、研磨会社によっては大型のバレル研磨機を持っていない可能性もあり、大型の製品の場合、研磨を断られる可能性があります。
大きすぎてバレル研磨ができない場合、バフ研磨によって対応してもらうとよいでしょう。
形状が複雑だとうまく研磨できない
バレル研磨は製品と研磨石を擦り合わせることで磨く研磨方法です。
形状がシンプルなら製品を全方位から磨けますが、形状が複雑だと研磨石が当たらず、研磨にムラが生じる場合があります。
細かい傷やへこみがつく可能性がある
研磨槽の中に複数の製品を入れると、製品同士がぶつかり合い、キズやへこみが発生する場合があります。
研磨会社によっては、対策として製品を保護するため、仕切りのついたバレル研磨機を所有しております。
バレル研磨の特徴
バレル研磨に必要なもの
バレル研磨で使用するアイテムは、バレル研磨ならではの名称で呼ばれる場合があります。
また、バレル研磨においては、製造品のことを「ワーク」や「工作物」「パーツ」などといった名称で呼ぶことがあります。
・コンパウンド・・・液体タイプと粉末タイプの2つがあります。
潤滑剤としての役割を持っており研磨の働きをサポートします。
・水・・・上記のコンパウンドに入れて用います。
・メディア・・・いわゆる研磨石のことです。
種類は複数あり、研磨をどのような用途で行うかによってメディアを使い分ける必要があります。
主なものとしては、天然石やセラミックなどがあげられます。
コンパウンドが持つ役割
コンパウンドには、界面活性剤や防錆剤、洗浄剤などといった成分が配合されています。
ちなみに、コンパウンドは様々なタイプがあるため、製造品との相性、あるいは製品をどのように仕上げたいかによって使い分けることが大切です。
・洗浄・・・メディアを一緒に入れて汚れを取り除くことで、製造品への研磨の性能を高められます。
加えて、金属脱脂の効果もあります。
・光沢・・・コンパウンドそのものにも、光沢をもたせる薬が含まれている場合があります。
・防錆・・・バレル研磨では、金属と水を混ぜる作業を行います。
その際に、腐食が起こらないようにするための薬剤が配合されています。
研磨直後の発錆を防ぐ効果もあります。
・クッション・・・作業中には、どうしてもメディアが製造品にぶつかってしまいがちですが、コンパウンドを使用することでダメージ防止につながります。
・粉末の分散・・・バレル研磨によって、製造品からは粉末が発生します。
その粉末が再び製造品に付着してしまうことを防ぎます。
粉末を分散させて、さらに集塵フィルターに集積されるようにします。
バレル研磨の種類
遠心式
バレル研磨における遠心式は、高圧の遠心力を用いて工作物を研磨する方法です。
バレル容器を高速回転させることにより流動状態を作り出し、その中で高圧な遠心力を生み出しますが、短時間で精細な研磨を行えること、自動化が容易になることなど、さまざまなメリットがあります。
一方、機械が高価であること、加工中にワークの状態を確認できないなどの短所もあります。
遠心式に適している加工物は小物です。
回転式
回転式は、遠心式と同じようにバレル容器を回転させ、研磨石やコンパウンドを相互運動させることによって研磨する方法です。
遠心式と異なる点は、回転数と摩擦の多さです。
遠心式は高回転で多くの摩擦を生み出しますが、回転式は回転数も摩擦も少ないのが特徴です。
加工時間と手間はかかりますが、その分、仕上がりは安定しています。
また、機械の構造がシンプルで操作が簡単なこと、機械が安価なこともメリットです。
一方、デメリットは加工時間が長いこと、自動化が困難なこと、大量生産に向いていないことです。
振動式
振動式は、バレル容器をモーターで振動させ、ワークとメディアを相互運動させることによって研磨する方法です。
流動式や回転式は容器自体が回転しますが、振動式は回転ではなく振動するのが特徴です。
バレルにはボックスタイプとサークルタイプの2種類があり、加工時間の長さは回転式と遠心式の中間ぐらい、振動式に適している加工物は中物~大物です。
メリットは、操作性の良さ、自動化がしやすいこと、加工中にワークの状態を確認できることがあげられます。
デメリットは、機械が高価なことです。
流動式
縦長型のタンクを用いて行う研磨作業です。
底面には回転盤があり、作動させると流動が発生し、それを利用して混ぜていきます。
タンクには様々な種類があるため、用途に応じて、適当な機種やサイズのものを選択することが大切です。
こちらの記事はKENMA SELECTION様の記事を参照しております。
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