試作人基礎講座

本日は半導体や金属の加工に用いられるエッチング加工について解説していきます！
知っている人も知らない人も是非ご覧ください♪

エッチング加工とは

エッチング加工は、主に薄板状の材料表面において、化学的または物理的な方法を使用して材料を削り取る方法です。
また、エッチング加工は微細なパターンや詳細な形状を作り出すために広く使用されます。
特に電子機器の製造や集積回路の製作、光学デバイスの製造などの分野でよく利用されています。
エッチング加工は高い精度と反復性を持ち、複雑な形状の作成や微細な構造の製造に適しています。

極小極薄、複雑形状の要望に応える加工法

エッチング加工は、マスキングによる防食処理を施したうえで、腐食液によって不要部分を除去するもの。
精密写真と写真腐食法の応用により生まれたこの技法は、プレス打ち抜き加工では不可能だった超精密な要求にも対応できる、極小極薄・複雑形状の製品に最適です。

製作工程の例

①金属板材の脱脂洗浄

ステンレスや銅などの金属材料を対象とした前処理です。
脱脂洗浄処理を施して表面に付着した油分や汚れを取り除きます。
最終的な仕上がりや品質にも影響があるため、必要な前処理工程となります。

②マスキング

エッチングされるべき個所を保護するため、材料表面にマスキング剤(エッチングレジスト)を塗布します。
フォトレジストを表裏の両面に焼き付けることで、保護された部分がエッチングされなくなります。
このマスキング剤はエッチング剤に対して、耐性を持つ特殊な塗料やマスキングフィルムなどが使われます。

③マスクパターン作成

マスキング剤を使って、エッチングされるべき箇所を覆い、残すべき箇所を露出させるパターンを形成します。
これはフォトリソグラフィと呼ばれるプロセスを使用して行われることがあります。

④露光でパターンを焼き付け

原画をラミネート上に載せて露光をし、原画に作画したパターンを材料に焼き付けます。
精密なパターンの再現かつ、品質性の担保のためにクリーンルームでの作業が求められます。

⑤現像処理

パターンが露光転写された材料に現像処理を施します。
この現像処理によって不要なレジストが除去され、金属が露出されます。

⑥エッチング

材料表面にエッチングマシーンなどを活用してエッチング液を吹き付けます。
露出した金属部分のみが腐食・融解されるため、原板通りのパターンに金属板が加工されます。
エッチング剤は、材料表面と反応して材料を削り取る化学的な溶液またはプラズマガスです。
エッチング剤の種類は使用する材料によって異なります。

⑦マスキング剤の除去

エッチングが完了した後、マスキング剤を除去します。
これにより、エッチングされていない箇所が露出し、加工された材料が完成します。

エッチング加工で加工できる材料

エッチング加工は腐食性のある素材であれば基本的に加工が可能で、特にステンレス・銅などの金属素材における精密加工に適しています。

エッチング加工が可能な材質

ステンレス、銅、鉄、ニッケル、ニクロム、モリブデン、チタン、アルミニウム、タングステン、その他

金属・非金属材料について

エッチング加工には様々な金属材料が使用されます。
エッチング加工において、金属材料はよく使用されます。
銅、アルミニウム、ステンレス鋼、チタンなどの金属が一般的な選択肢です。
エッチング加工によって金属表面のパターン形成や微細な穴あけが可能となります。

金属

銅(Copper)

銅は優れた導電性と熱伝導性を持ち、電子部品や回路基板などの製造に使用されます。

ステンレス鋼(Stainless Steel)

ステンレス鋼は耐食性や耐久性に優れており、化学装置や医療機器、食品加工機器などに広く使用されます。

アルミニウム(Aluminum)

アルミニウムは軽量で耐食性があり、熱伝導性にも優れています。
電子部品や航空機部品、自動車部品などで使用されます。

ニッケル(Nickel)

ニッケルは耐食性と耐摩耗性に優れており、化学プラントや航空宇宙産業、電子機器などで使用されます。

チタン(Titanium)

チタンは軽量で強度があり、耐食性も高い特徴があります。
航空宇宙産業、医療機器、スポーツ用品などで使用されます。

非金属

セラミックス

セラミックス材料もエッチング加工に使用されます。
特に陶磁器やガラスなどの非金属材料で、エッチングによって精密な模様や装飾を作り出すことができます。

半導体

エッチング加工は半導体産業で広く使用されます。
シリコンやガリウムアーセニドなどの半導体材料の表面や構造を加工して、微細な回路パターンや素子を作り出します。

ポリマー(プラスチック)

エッチング加工はプラスチック製品の加工にも適用されます。
特にポリイミドやポリカーボネートなどの高温耐性や絶縁性のあるプラスチック材料が使用されます。

ガラス

エッチング加工はガラス製品の装飾やパターン形成にも使用されます。
ガラス表面にエッチング剤を適用することで、精密な模様や透明なエッチング効果を作り出すことができます。

エッチング加工の特徴

エッチング加工は、高精度で反復性のある加工方法であり、多様な材料に適用可能な特徴を持っています。
そのため、微細なパターンや構造を作成する必要がある様々な産業や技術分野で重要な役割を果たしています。

高精度

エッチング加工は、微細なパターンや構造を作り出すために非常に高い精度が求められます。
化学的または物理的な方法によって材料が削り取られるため、微細な特徴や複雑な形状を作成することが可能です。

反復性

エッチング加工は反復的に行うことができ、一度設計されたパターンや構造を複数の材料に対して再現することができます。
このため、大量生産や一貫性のある製品の製造に適しています。

無接触

エッチング加工は材料表面に化学的な反応を起こすことで削り取るため、物理的な接触は必要ありません。
これにより、材料の変形や損傷のリスクが低くなります。

選択的な加工

エッチング加工では、マスキング剤やエッチング剤を使用して特定の箇所を保護し、ほかの箇所を選択的に加工することができます。
これにより、複雑なパターンや微細な構造を作成することが可能です。

多様な材料への適用

エッチング加工は金属、セラミックス、半導体、プラスチック、ガラスなど様々な材料に適用することができます。
それぞれの材料に応じて適切なエッチング剤やプロセスを選択することで、幅広い応用が可能です。

ミクロ加工

エッチング加工は微細なスケールでの加工に適しています。
微細なパターンや構造を作り出すことができるため、マイクロエレクトロニクスや光学デバイス、バイオメディカルデバイスなどの分野で広く使用されています。

エッチング加工のメリット・デメリット

エッチング加工は高い精度や複雑なデザインの実現に優れていますが、加工速度や材料の制約、3次元形状の制約に留意する必要があります。
適切な材料と設計に基づいた選択が重要です。

メリット

高精度

エッチング加工は非常に高い精度で微細なパターンや構造を作り出すことができます。
微細な特徴を必要とする電子デバイスや精密部品の製造に適しています。

複雑な形状の実現

エッチング加工は非常に複雑な形状やデザインを作成することができます。
特に、微細な穴あけや細い線の形成に優れています。

多様な材料への適用

エッチング加工は金属、セラミックス、半導体、プラスチック、ガラスなど様々な材料に適用することができます。
それぞれの材料に応じて適切なエッチング剤やプロセスを選択することで、幅広い応用が可能です。

反復性と一貫性

エッチング加工は反復的に行うことができ、一度設計されたパターンや構造を複数の材料に対して再現することができます。
これにより、大量生産や一貫性のある製品の製造に適しています。

デメリット

加工速度

エッチング加工は通常、化学反応によって材料を削り取るため、加工速度が比較的遅いです。
特に深い加工や厚い材料には時間がかかる場合があります。

材料の制約

エッチング加工は特定の材料に対して、特定のエッチング剤や条件が必要です。
すべての材料がエッチングに適しているわけではなく、材料の選択に制約があります。

3次元形状の制約

エッチング加工は主に平面的な加工に適しており、3次元的な形状の作成には制約があります。
複雑な立体構造を必要とする場合は、ほかの加工方法が必要となることがあります。

安全性の注意

エッチング加工には化学薬品や酸性溶液を使用することがあります。
適切な安全対策と設備が必要であり、注意が必要です。

こちらの記事は岐阜精器工業㈱様の記事を参照しております。

メリット

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