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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

穴加工の基本を伝授!

おはようございます!本日は切削加工の一つである穴加工の基本をお伝えします!
初心者の方は必見となりますので、是非ご覧ください♪

必達試作人
必達試作人
穴加工は大得意

機械部品における「穴」とは

エアー機材の試作品

穴は形状の一部なので、「他の形状と一緒に削るだけ」といったイメージが強いですが、実は切削加工業者は「穴」と「穴以外の形状」で加工工程を分けて考えます。
その中で、実際には色々な問題と遭遇します。

設計者からすると、軸を通したり、ねじ形状にして他の部品と締結するために利用したり、ピンを圧入して位置決めに使ったり、軽量化の肉抜きだったり、液体や気体の流路になったりと、穴は機械部品になくてはならない大事な形状です。
ところが加工業者からすると、内径や位置公差が厳しかったり、内面をキレイに仕上げなければいけなかったり、非常に気を遣うデリケートな要素です。

穴加工の基本系

ドリル穴のイメージ

切削加工の場合、穴は特殊な場合を除いてだいたいが次のような流れで加工します。
①センター穴をあける
②下穴をあける(ドリル加工)
③用途に応じて特定の加工を施す(リーマ加工、ねじ切り、ザグリ加工など)

いずれにせよ②の下穴をあけることが基本となります。
それぞれの加工について、少し詳しくご紹介します。

センター穴加工

センター穴というのは、下穴の案内となるとした窪みのことです。
センタードリルという専用の刃物で削って作ります。

なぜこのような窪みが必要かというと、下穴の穴位置を精度よく加工するためです。
ドリルの先端はそれほど切れ味が良いわけではないので、こういった窪みがないと最初の入り口で滑って位置がずれることがあります。
そのようなことがないように、あらかじめ小さな窪みをつけて、案内を作っておくわけです。
板金屋でいうところの、いわゆるポンチと同じ意味合いです。

ドリル加工

下穴の加工は、基本的にはドリルと呼ばれる刃物で加工します。
ドリルは穴あけ専用の刃物です。
機械の主軸に取り付けて回転させ、上下方向のみに直線的に上げ下げして掘り進んでいきます。

マシニングセンタなどのNC加工の場合は、ドリルサイクルと呼ばれるドリル加工用の専用コマンドを使ってNCプログラムを作成します。

ドリル加工は「主軸の回転数」、「掘り進む速度」、「1回の掘り込みごとに削る深さ」などでコントロールされます。
何回にも分けて上げ下げして掘り進みますので、ドリル加工であいた穴は内側が少しまだらで粗い状態です。
いわゆるキリ穴と呼ばれる状態です。
もちろん単に穴があいているだけで良ければキリ穴加工だけで大丈夫です。

リーマ加工

ピンの圧入や相手方部品の嵌め合いのためには、内面をよりキレイに、真ん丸で精度の高い穴をあける必要があります。
そんな時には、下穴加工の次にリーマ加工を施します。
直径が大きい場合は、ボーリング工具という刃物を使って仕上げたりもします。

リーマは側面に刃がついた刃物で、これを回転させながらゆっくりと下穴に通すことで、穴の内側の素材を少しだけそぎ落とします。
内側の表面だけを薄く削りますので、キレイな精度の高い穴があきます。

リーマは穴の直径に対して±0.01mm程度の寸法が要求される場合などに使用します。

タップ加工

相手部品とボルトで結合する場合には、ねじ穴が必要となります。
このようなねじ穴の加工には下穴加工のあとにタップ加工を施します。
タップと呼ばれるねじ切りの専用刃物で、NC加工の場合はタップサイクルと呼ばれる専用のNCプログラムを指定します。

タップは先端にギザギザの刃先が並んだ刃物です。
これを決まった比率の回転速度と送り速度で穴に入れていくと、らせん状のネジ穴が完成するのです。

ねじ穴加工には他にも、プラネットカッターと呼ばれる専用刃物を使う場合などもあります。

ザグリ加工

ボルトを通す穴で、ボルトの頭の座り部分(座面)が必要な時や、表面からボルトの頭が出っ張らないように窪ませる必要があるときには、ザグリという形状を施します。
ザグリは「座繰り」とも書きます。

ザグリ形状は下穴加工の次に、入り口部分を大きく窪ませるための加工を施すことで実現します。
通常のエンドミルで加工する事もできますが、規格のねじ用ザグリの場合はザグリ専用の刃物で削る場合が多いです。

各エンドミルの特徴

■穴

センタードリル 穴あけ前のセンター穴をあける専用の刃物
ドリル

下穴をあける刃物
コーティングをしているものもある

リーマ

高精度な穴を仕上げる刃物
ブローチ式などもある

タップ

ねじを切るための刃物
切りくずを排出するための溝がある

ザグリ

曲面を加工するための刃物
先端が下穴に入り、刃のついた2段目で削る

■形状

フラットエンドミル 平らな面を加工するための刃物
ボールエンドミル

曲面を加工するための刃物
先端が半球となっている

ラフィングエンドミル

粗加工をするための刃物
刃先が欠けないよう少し丸まっている

スロッター 横溝を加工するための刃物

よくあるトラブル

下穴

穴に関して一番問題を引き起こす要因が、下穴という存在です。
ねじ穴にするにしても、リーマ穴をあけるにしても、まずは下穴をあけることが必要です。

貫通の穴ならば問題になることは少ないですが、途中で穴が行き止まりになっている「止まり穴」に、こういったタップやリーマの加工を施す場合は要注意です。

タップやリーマといった刃物は、穴にスムーズに入るように先端が若干細くなっています。
この細くなっている部分は、本来加工したい形状からすると不完全な形です。

そのため、加工が有効となる部分を十分に穴の中に沈めないといけないので、下穴はこれらの加工で必要な深さ以上にしておかないといけません。

しばしば目にするのが、裏面との余裕が少ない止まり穴に対して、ねじ穴やリーマ穴が指定されている場合です。
このような場合は、ねじ穴やリーマ穴の有効長を確保するために、下穴が裏側まで突き破ってしまうこともあります。

実際の製作の段階になってからこのようなトラブルが起きないために、ねじ穴などについては下穴の深さを十分に取ることをあらかじめ想定した設計であれば助かります。

また、止まり穴の先端は大抵ドリルの先端形状がそのまま残ります。
加工側の事情をわかっておられる設計者さんは、止まり穴の底部分は「ドリル先端形状でOK」や、先端形状そのものを図面で描いてくれていますが、底面が平らな止まり穴だと困ってしまうこともあります。

どうしても平らな面が必要あのであれば、様々な方法があります。
例えば、ドリルで浅めの下穴をあけてから、先端が平らなエンドミルで底面を削ってしまう方法などです。

縁際の穴

穴で問題になるもう一つの大きな要因は、縁際にあいた穴です。

穴加工は素材をドリルで掻き分けていくので、加工中は外へ外へという力が働きます。
側面の縁までの距離がすれすれのところに穴をあけようとすると、側面が加工の力を支えきれずにモコっと膨らんでしまうことがあります。

こういった縁際の穴は強度的にも弱いので、そもそも設計上おすすめできるものではありません。

上記のような状況を避けるためにも、最低でも直径分程度は縁との距離を確保していた方が良いでしょう。
特にねじ穴についてはこういった現象が起こりやすいので、注意が必要です。

それでもどうしても設計上距離が確保できない場合は、穴あけ加工後に側面を加工する工程とすることで、このような盛り上がりを回避することも可能です。
このような場合、加工工程が穴あけ加工によって左右されますので、コストアップの要因となります。

また、底面ギリギリまで穴をあけるような場合も、底面に盛り上がりができる可能性がありますので、注意が必要です。

裏ザグリ

ボルト結合をするような加工部品で代表的な形状として、フランジ形状があります。
パイプ状の部品同士を面と面で繋げるような平面形状です。

両端面にフランジ形状の付いた部品で、ボルト結合用のザグリが指定されるようなケースがあります。
通常のザグリ穴に対して、このような形状を「裏ザグリ」などと呼ぶことがあります。
通常の方向からすると裏側にザグリ穴がついているということです。

このような設計にしてしまう気持ちもわかりますが、このようなアンダーカットになってしまう裏ザグリは加工が困難です。

実際には、このような裏ザグリ専用の特殊刃物がいくつか存在し、加工できないこともありませんが、当然通常の工程とは異なるのでコスト的にも高くつきます。

穴の深さ

よく目にするのが、穴の直径に対して20倍や30倍になる深さの穴やに、±0.01mm程度の穴径公差や0.02などの位置度が指定されている場合です。

穴加工では直径の8倍程度の深さであれば高精度に加工できます。
それ以上の深さになると、深穴用の長いドリルによる穴加工や、ガンドリル・BTAと呼ばれる機械で穴加工だけ別工程で施します。
ガンドリルやBTAは長い専用の刃物をゆっくりと深く入れて、深穴を加工する専用加工機です。

こういった穴は、深くなればなるほど曲がっていきますし、穴径も広がっていきます。
ホーニング加工という高精度な深穴を加工できる方法もありますが、下穴が曲がっていれば限界があります。
こういった場合は型彫放電加工を使うという選択肢もあります。

いずれにしろ、形状によって深い穴を精度良く加工するのには限度があることを覚えておいた方が良いでしょう。
直感的ではありますが、まずは直径の8倍程度が判断基準となります。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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