複合加工機とは?マシニングセンタとの違いや魅力をご紹介!
旋盤やフライス盤をはじめ、工作機械には用途に応じて多くの種類があります。
その中で近年普及が進んでいるのが「複合加工機(ターニングセンタ)」です。
弊社でも所有している複合加工機とは、どのような加工を行える機械なのでしょうか?
この記事では複合加工機の特徴や行える加工、魅力についてご紹介していきます!
是非ご覧ください♪

複合加工機とは
複合加工機は、旋削(旋盤)加工とマシニング(フライス)加工を1台で行える工作機械です。
通常、旋盤加工は円筒状の素材に回転を与え、バイトと呼ばれる工具で削る方法ですが、複合加工機ではさらに工具が複数軸方向に動くことで、穴あけやフライス加工も同時に実施可能です。
これにより、1台の機械で多工程の加工を連続的に行えるため、段取り替えの手間や精度低下のリスクを抑えられます。
主軸(スピンドル)と刃物台(タレット)に加え、B軸と呼ばれる傾斜軸を備えたタイプもあり、自由度の高い立体的な加工が可能になります。
対応する加工内容の種類
複合加工機は、旋削(旋盤)加工とマシニング加工の両方を1台で実行できるハイブリッドな工作機械であり、その対応可能な加工範囲は非常に広範です。
以下では、具体的な加工内容を分けて詳しく説明します。
1. 旋削加工(Turning)
複合加工機の基本機能の一つが旋削加工です。
これは、素材(ワーク)を回転させながらバイトと呼ばれる切削工具で削る加工で、主に円筒状や円錐状の外形加工、内径加工(中ぐり)に使用されます。
例えば、シャフト、軸受、スリーブなどの円形部品の製作に適しており、寸法精度や真円度が要求される部品でも高い精度で仕上げることが可能です。
2. フライス加工(Milling)
旋削に加えて、工具主軸を回転させて切削を行うフライス加工にも対応しています。
これにより、平面加工や段差加工、ポケット(くぼみ)加工、キー溝加工などの平面的な形状や、複雑な3次元形状の加工が可能です。
特にB軸(傾斜軸)を搭載したモデルでは、斜めの面に対しても直接フライス加工ができ、従来は傾斜治具などを使っていた工程が不要になります。
3. 穴あけ加工(Drilling)
複合加工機では、ワークを回転させながら、または停止させた状態でドリル工具を用いた穴あけが可能です。
穴位置は軸方向だけでなく、側面や斜面などにも対応しており、複雑な穴配置や深穴加工も1チャッキングで実現できます。
多くの機種は工具マガジンを搭載しており、ドリル工具を自動交換して複数の穴を連続的に加工できます。
4. タップ加工/ねじ切り(Tapping / Threading)
穴あけ後のねじ切り加工にも対応しており、タップ加工(雌ねじ)や、ねじ切りバイトによる雄ねじ加工が行えます。
C軸制御(回転軸の精密制御)により、スピンドルの回転と工具の送りを同期させ、正確なねじピッチと深さを確保することができます。
これにより、ボルトやネジ穴のある機構部品の一括加工が可能です。
5. 溝加工(Grooving / Key Slotting)
外径や内径に対する溝加工、あるいはキー溝のような特定形状のスロット加工にも対応しています。
旋盤としての刃物台(タレット)に専用工具を装着することで、V溝やU溝などさまざまな溝形状を効率よく加工可能です。
フライス加工との組み合わせで、異なる方向の溝を1工程で仕上げられるのも複合加工機の強みです。
6. 側面加工・斜面加工(Side / Angular Machining)
B軸やY軸を用いて、ワークの側面や斜面に対する加工が可能です。
これにより、従来の工作機械では複数の工程や段取りが必要だった斜め穴や傾斜面の加工も、1台で対応できます。
航空機部品や金型のような複雑形状部品において、高い自由度と加工精度を発揮します。
7. 同時5軸加工(Simultaneous 5-Axis Machining)
高機能な複合加工機では、同時5軸制御が可能で、XYZ軸に加え、回転軸(C軸)や傾斜軸(B軸)を同時に制御して、球体や曲面、ねじれ面といった自由曲面の加工が行えます。
特に航空宇宙、医療、自動車レース部品など、3次元的な精密形状が必要な加工に最適です。
マシニングセンタとの違い
/p>
加工工程の統合性
マシニングセンタは主にフライス加工や穴あけに特化していますが、複合加工機はそれに旋削加工機能を統合した構成です。
たとえば、マシニングセンタでしかできないような側面のフライス加工や傾斜面の加工を、複合加工機ではワンチャック(1回のワーク固定)でこなすことができます。
これは工程の統合により、加工精度を飛躍的に向上させるだけでなく、作業効率や納期短縮にも大きく貢献します。
機械構造と操作性の違い
マシニングセンタは一般的にXYZ軸を基軸にして工具を動かしますが、複合加工機ではこれに加えて回転軸(C軸)、傾斜軸(B軸)、時には同時5軸制御が加わるため、操作性とプログラミングの難易度はやや上がります。
その分、工程集約が可能で、従来なら複数の工作機械を要した加工が1台で完結します。
オペレーターにはCAM(コンピュータ支援製造)知識やNCプログラミング技術が求められることが多く、教育やスキルアップも重要なテーマです。
複合加工機の導入メリット
工程集約による生産性向上
従来、旋盤とマシニングセンタで分業されていた加工を1台でこなすことで、段取り替えやワークの移動、再固定による誤差がなくなります。
これにより、トータルの加工時間が大幅に短縮され、精度のバラつきも抑えられます。
小ロット多品種の加工が求められる現代の製造業において、複合加工機の導入は、リードタイム短縮やジャストインタイム生産への対応に大きな力を発揮します。
設備投資の合理化と省スペース化
複数台の工作機械やそのための人員、設置スペースを一台に集約できるため、初期投資こそ高額ですが、長期的に見れば大幅なコストダウンにつながります。
加工中に工具交換や別工程の準備も進められる「同時加工」機能を備えた機種では、完全な自動運転も可能となり、夜間や休日の無人稼働にも対応。
生産性の最大化と省人化を両立できます。
複合加工機導入時の注意点
導入コストと回収の見極め
複合加工機は高性能である反面、1台あたりの価格は一般的なNC旋盤やマシニングセンタよりも高額になります。
そのため、投資回収計画を慎重に立てることが重要です。
加工品の種類や数量、生産サイクルとのマッチングを事前に評価し、シミュレーションによって最適なスペックの機種を選定する必要があります。
不要な機能が多すぎると逆に効率が落ちることもあるため、選定時の見極めが重要です。
オペレーターのスキルと教育
複合加工機の操作には、NC旋盤やマシニングセンタ以上の複雑な知識が求められます。
多軸制御や同時加工、工具補正の理解、干渉チェックなどが必須で、CAMソフトやシミュレーションソフトとの連携も日常的です。
したがって、導入にあたってはオペレーターの教育計画も並行して立てるべきです。
社内教育や外部研修、ベンダーによるトレーニングの活用も効果的です。
複合旋盤の加工品の見積り依頼ならアスクへ
試作品や小ロットの加工も大歓迎!
特に手のひらサイズの部品製作を得意としています。
アスクなら、試作品のお見積もりが最短1時間で可能!!
お気軽にお問い合わせください。
試作全国対応!
簡単・最短1時間お見積り
他、ブログ記事もご覧ください♪
動画の投稿もしておりますので良ければご覧ください♪