銅の特徴や他の材質との違いを簡単解説!!
おはようございます!本日は材料シリーズ~銅編~です。
ご存じの方も多いと思いますが、わかりやすく解説していきますので、是非ご覧ください。
銅とは
銅はJIS記号では英語で銅を意味する"Copper"のCに続いて4桁の数字を付けることで表されます。
合金の種類によって1000系から7000系まであります。
銅の最も大きな特徴は導電率と熱伝導率が抜群にいいことです。
一方で高価な材料であるため、構造部品として使用することはほとんどありません。
すなわち、機械的性質ではなく、物理的性質と科学的性質を活かす材料です。
昔は農耕具や銅鐸に使われていました(耐食性に優れているため、多くは現在でも残っている)が、現代では優れた導電率や熱伝導性を活かして、情報通信や精密機器などの先端産業に使われています。
銅の特徴
銅は多くの性質を持った金属です。
中でも導電率の高さや熱伝導率の高さ、加工のしやすさが特徴で、その特徴を利用した製品によく使われます。
導電率、熱伝導性、加工性以外にも耐熱性、耐食性や金属光沢により外観が美しいなど多くの特徴があります。
・導電率が高い
銅の最大の特徴は導電率の高さです。
銀に次ぐ性質であり、価格との関係により電線などには銅が使用されています。
・熱伝導率が高い
熱の伝わりやすさは鉄鋼材料やアルミニウムよりも優れており、この性質は銅鍋が食材を均等に加熱できる点に表れています。
・加工性に優れている
銅が大昔から使われている理由の一つとして加工のしやすさがあり、特に切削加工や圧延加工に適しています。
またメッキやはんだ付けなどが容易な金属です。
・熱に弱い
200℃を超えると軟化するため、通常200℃以下で使用します。
低温側の劣化はないため、問題なく使用できます。
・耐食性が高い
耐食性にも優れており、中でも他の金属が苦手とする海水に対しても、良好な耐食性をもっています。
ただ、硝酸や塩酸、硫酸などの化学物質には侵されるため注意が必要です。
・見た目がキレイに仕上がる
金以外で唯一金色の光沢をもつ金属です。
そのため工芸品などにもよく使われます。
・磁性がない
非磁性を活かした用途として、磁気厳禁の電気機器の測定器や、化学工業の防爆用工具として使われています。
純銅とは
純銅とは工業用の銅合金の中でも、銅の割合が99.90%以上のものです。
純銅は、含まれる酸素の量によって、無酸素銅、タフピッチ銅、脱酸銅に分けられます。
無酸素銅とは酸素をほとんど含まない、純銅の中でも特に純度の高い銅です。
タフピッチ銅は微量の酸素を含み耐食性や耐候性が高い銅です。
脱酸銅は、リンなどの非金属の脱酸剤を微量に含む銅です。
水素脆化のリスクが少ないのが特徴です。
純銅の特徴
純銅は銅合金の中でも特に導電率や熱伝導率が高くなります。
また磁性がなく、磁石には引き寄せられません。
純銅のメリット・デメリット
メリット
・やわらかく加工しやすい
・酸やアルカリにも比較的強い
・導電性、熱伝導性が高い
短所
・重い
・腐食を防ぐためにはメッキが必要
・やわらかいため切削加工に注意が必要
純銅の用途
純銅は、高い熱伝導率を活かし、エアコンや冷蔵庫の伝熱管に使われます。
また磁気観測装置にも使用されています。
銅合金の種類
黄銅(真鍮)
黄銅とは、銅と亜鉛の合金で真鍮とも呼ばれます。
純銅に比べて展延性、熱間鍛造性、被削性に優れ、軽いのが特徴です。
金にも似た美しい金属光沢をもつ金属で、5円硬貨や電気部品、精密機械、楽器、装飾パーツなどにも使われます。
白銅
白銅とは、銅に10~30%程度のニッケルを混ぜたものです。
特に耐食性に優れ、展延性が高いのが特徴です。
ニッケルの割合が多くなると、銀のような美しい金属光沢をもつようになります。
50円硬貨、100円硬貨や熱交換器、食器などに使われます。
青銅
青銅とは、銅に錫を加えたものです。
大気中で少しずつ酸化し、表面に緑青が発生するのが特徴です。
純銅よりも硬い一方、融点が低いため、古くから金属として使われてきました。
10円硬貨や日用品に使われています。
高銅合金
高銅合金とは、銅合金の中でも銅の比率が96%以上のものです。
純銅と同じような熱伝導性や導電性を持ちながら、強度や耐熱性を増しているのが特徴です。
パソコンやスマートフォンなどの精密機器や、自動車の部品にも使われています。
また高銅合金は、添加される金属により性質が変わり、ベリリウム銅合金は導電性とバネ特性を備えた材料になります。
銅合金を使った切削加工のポイント
純銅や銅合金は、柔らかい金属です。
そのため超硬合金のような削りにくさはない一方、やわらかい故に削りにくくなる場合があります。
粘り気が強くバリが出やすい
銅は柔らかいだけでなく展延性も高く、粘り気のある金属です。
そのため切削加工においても、削られた材料が離れていく際に粘るため、バリが出やすくなります。
切削時の熱で溶着しやすい
やわらかく粘り気があることに加え、融点が低いため、加工熱によって切粉が融解することがあります。
そうすると工具の先に溶けた切粉が付着する、溶着が発生することがあります。
切削に伴って発生する熱を逃がすため、クーラントを使用する必要がありますが、このときに水溶性のクーラントを使用すると腐食によって変色してしまう場合があります。
油性のクーラントを使用するといいでしょう。
切削の際の注意点
粘り気のある金属のため、切削抵抗を少なくするのがポイントです。
そのため切れ味が鋭く、すくい角の大きい工具を使うといいでしょう。
また切削速度を上げ、高速での切削条件に設定するのも効果的です。
銅と他金属や樹脂との比較
材質 | 銅(C1100など) | 鉄(SS400など) | ステンレス(SUS304など) | アルミ(A5052など) | 樹脂(合成樹脂など) |
耐食性 | ○ | × | ◎ | ◎ | ◎ |
加工性 | ○ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
耐熱性 | ○ | ○ | ○ | × | × |
強度 | × | ○ | ○ | △ | × |
導電性 | ◎ | △ | △ | ◎ | × |
熱伝導性 | ◎ | ○ | △ | ◎ | × |
磁性 | なし | あり | 加工・規格による | なし | なし |
溶接性 | × | ○ | ○ | △ | × |
特徴 | 熱伝導性・導電性が非常に優れた材質。一方、強度と溶接性に劣る | QCD全面でバランスがとれており、強度も高い、非常に汎用性のある材質 | 炭素とクロムを含んだ鉄の合金鋼。耐食性に優れているため、錆びなどの起きやすい屋外で使われることが多い | 合金の種類に依らず、軽さが特徴の材質。また、導電性・熱伝導性もかなり優れている。一方、強度と耐熱性が劣っている | プラスチックのこと。生産方法によって様々な樹脂ができますが、耐食性や加工性に優れていることや強度が低い事、熱や電気を伝えにくい事は多くの樹脂に共通した性質である |
銅合金の表記
銅合金の材料表記は、Cuの頭文字であるCから始まり、4桁の数字と記号によってあらわされます。
この4桁の数字は合金系と合金番号を表し、それに続くアルファベット記号は形状と製造条件を示します。
そのあとにハイフンを付けて調質記号が入ります。
銅記号
銅を意味するCです。
銅合金の材料表記はすべてCから始まります。
合金番号
1000番台:純銅、銅合金系
2000番台:Cu-Zn系合金、一般的な黄銅はここに含まれます。
3000番台:Cu-Zn-Pb系合金、快削黄銅といわれる切削性に優れた黄銅です。
4000番台:Cu-Zn-Sn系合金、すず入り黄銅とよばれます。
5000番台:Cu-Sn-P系合金、リン青銅と呼ばれる素材です。
6000番台:Cu-Al-Fe-Mn-Ni系合金、アルミニウム青銅という素材です。
強度が高く、耐食性・耐海水性・耐摩耗性が高いのが特徴です。
7000番台:Cu-Ni-Fe-Mn系合金、白銅と呼ばれる素材です。
調質記号
-F:製造のまま
-O:焼きなまし
-H:加工硬化
-1/4H:1/4硬化
-1/2H:1/2硬化
-OM:ミルハードン材 軟質
-HM:ミルハードン材 硬質
-SR:応力除去
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こちらの記事はmeviy様の記事を参照しております。
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