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ヘアライン仕上げとは?特徴・メリット・加工方法・用途まで徹底解説|ステンレスの美しい外観を実現する表面仕上げ

ヘアライン仕上げとは、金属表面に一定方向の細く長い研磨目を付ける表面仕上げ方法です。
美しい意匠性だけでなく、小さな傷を目立ちにくくする効果があり、建築金物や厨房機器、装飾部品、産業機械のカバーなど幅広い分野で採用されています。
特にステンレスとの相性が良く、高級感のある外観を実現できることから、多くの製品で標準的な仕上げとして利用されています。
本記事では、ヘアライン仕上げの基本知識から加工方法、メリット・デメリット、用途、設計時の注意点まで分かりやすく解説します。
また、株式会社アスクで実際に対応しているヘアライン材の板金加工や製作事例も交えながら紹介します。

株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
知っているようで知らない加工に関する知識をお届けします!

本記事の内容は、実務の参考情報としてご活用いただくことを目的としています。
素材の特性や加工結果につきましては、細かな条件や環境によって異なるケースがございます。実際の業務に適用される際は、JIS等の公的規格をご確認いただくほか、メーカーや加工業者が提供する各種資料などを併せてご参照ください。

ヘアライン仕上げとは

ヘアライン仕上げとは、金属表面に一定方向の細く長い研磨目(研磨傷)を付ける表面仕上げ方法の一つです。
その名のとおり、髪の毛(Hair)のような細く均一なラインが表面に現れることから「ヘアライン仕上げ(Hair Line:HL)」と呼ばれています。
主にステンレスやアルミニウムなどの金属材料に施され、光を適度に拡散させることで、鏡面仕上げとは異なる落ち着いた高級感を演出できる点が大きな特徴です。
ヘアライン仕上げは、見た目の美しさだけでなく、実用性にも優れています。
表面に細かなラインが入ることで、軽微な擦り傷や指紋が目立ちにくくなり、長期間にわたって美しい外観を維持しやすくなります。
そのため、建築金物やエレベーターの内装、厨房設備、店舗什器、医療機器、産業機械のカバーなど、デザイン性と耐久性の両方が求められる製品で幅広く採用されています。
また、ヘアライン仕上げには研磨方向という重要な要素があります。
一般的には長手方向にラインを揃えますが、製品の形状や設置方向によって最適な研磨方向は異なります。
複数の部品を組み合わせる製品では、研磨方向が揃っていないだけで完成品全体の印象が大きく変わってしまうため、設計段階からライン方向を考慮することが重要です。
株式会社アスクでは、ヘアライン仕上げそのものを専門に行っているわけではありませんが、お客様から支給されたヘアライン材を使用した板金加工や、ヘアライン仕上げが指定された部品の製作を行うことがあります。
加工時には、せっかくの美しい表面を傷つけないよう保護フィルムを活用し、養生を徹底しながら加工を進めています。
また、完成後もヘアラインの方向や外観品質を確認し、図面どおりの仕上がりになるよう品質管理を行っています。
ヘアライン仕上げでは加工技術だけでなく、「きれいな状態で納品する」という意識も非常に重要であり、アスクでもその点を大切にしています。

ヘアラインができる仕組み

ヘアライン仕上げは、研磨ベルトや研磨布に付着した研磨材(砥粒)によって、金属表面を一定方向に削ることで形成されます。
肉眼では非常に細かな傷ですが、それらが均一な方向に並ぶことで、美しいヘアライン模様として認識されます。
この細かな研磨目が光を一定方向へ拡散させるため、鏡面のような強い反射を抑え、上品で落ち着いた質感を生み出します。
ヘアラインの品質は、使用する研磨ベルトの粒度や送り速度、押し付ける圧力、加工回数などによって大きく変化します。
粒度が粗いほどラインははっきりと見え、力強い印象になります。
一方、粒度が細かくなるほどラインは繊細になり、滑らかで高級感のある仕上がりになります。
そのため、製品の用途やデザインに応じて最適な条件が選定されます。
また、ヘアライン加工では「ラインを途切れさせないこと」が重要です。
加工途中で速度が変化したり、材料がわずかに振動したりすると、研磨目にムラが発生し、美観を損ねる原因となります。
さらに、加工前に表面へ深い傷や打痕がある場合は、その傷がヘアライン加工後にも残ってしまうことがあるため、素材自体の品質管理も欠かせません。
アスクでは、ヘアライン仕上げが施された材料を加工する案件では、加工そのものよりも「仕上げ面を傷つけないこと」に重点を置いています。
レーザー加工や曲げ加工、穴あけ加工などを行う際には、作業台との接触や工具による擦り傷を防ぐため、保護材を活用しながら慎重に作業を進めています。
ヘアラインは一度傷が入ると部分補修が難しいため、加工技術だけでなく、作業環境や搬送方法まで含めた管理が、美しい製品を完成させるための重要なポイントになります。

No.4仕上げ・バイブレーションとの違い

ステンレスの表面仕上げには、ヘアライン仕上げ以外にも「No.4仕上げ」や「バイブレーション仕上げ」など、さまざまな種類があります。
それぞれ見た目や用途が異なるため、製品のデザインや使用環境に応じて適切な仕上げを選択することが重要です。
No.4仕上げは、ヘアラインとよく似た表面仕上げですが、研磨目がやや短く、方向性が比較的弱いのが特徴です。
ヘアラインよりも柔らかな印象となり、厨房設備や食品機械、シンクなどに多く採用されています。
一方、ヘアライン仕上げは研磨目が長く一直線に揃っているため、シャープで洗練された印象を与えます。
そのため、建築内装や店舗デザイン、エレベーターなど、意匠性を重視する製品でよく採用されています。
バイブレーション仕上げは、ヘアラインとは異なり、ランダムな円弧状や曲線状の研磨模様を付ける仕上げです。
光の反射が複雑になるため、指紋や細かな傷が非常に目立ちにくく、高級ブランドショップやホテルの内装、デザイン家具などで多く利用されています。
また、見る角度によって表情が変化するため、独特の高級感を演出できる点も特徴です。
図面では「HL」「No.4」「VB(バイブレーション)」などの表記で指定されることが一般的ですが、これらを誤って加工すると、完成後の外観が大きく変わってしまいます。
そのため、加工前には仕上げ記号だけでなく、研磨方向や保護フィルムの有無なども含めて確認することが重要です。
アスクでもヘアライン材を使用した板金加工では、図面に記載された仕上げ仕様を十分確認したうえで製作を進めています。
加工自体は通常の板金加工と大きく変わらなくても、完成後の見た目が重視されるため、表面保護や取り扱い方法には通常以上の注意を払っています。
美観品質が製品価値を左右する案件では、このような細かな管理が非常に重要になります。

ヘアライン材とは

ヘアライン仕上げとは

ヘアライン材とは、あらかじめ工場でヘアライン仕上げが施された金属板やコイル材のことを指します。
ステンレスやアルミニウムを中心に流通しており、メーカーで均一な品質のヘアライン加工が行われた状態で出荷されるため、高品質な外観を安定して確保できることが大きなメリットです。
製品メーカーでは、このヘアライン材を切断・曲げ・溶接・組立などの工程で加工し、完成品を製作します。
すでに美しい表面仕上げが施されているため、加工後に追加で全面研磨を行う必要がなく、生産効率の向上やコスト削減にもつながります。
ただし、その反面、加工中に傷が付くと修復が難しく、最悪の場合は材料交換が必要になるケースもあります。
そのため、ヘアライン材を扱う際には、保護フィルムを貼ったまま加工を行うことが一般的です。
また、作業台や金型、搬送時の接触面にも養生材を使用し、できる限り表面を傷つけない工夫が求められます。
さらに、曲げ加工では研磨方向との関係によって見え方が変わるため、加工前にライン方向を十分確認しておくことも重要です。
アスクでも、お客様から支給されたヘアライン材を使用した板金加工や機械加工に対応することがあります。ヘアライン加工を専門としているわけではありませんが、「仕上げ済み材料をいかにきれいな状態で製品化するか」を重視し、加工中の養生や完成後の外観確認を徹底しています。
実際の製作現場では、加工精度だけでなく、美しいヘアラインを維持したまま納品することも品質の一部と考えています。
ヘアライン材は意匠性を重視した製品に欠かせない材料であり、その魅力を最大限に活かすためには、材料選定だけでなく、加工・搬送・検査まで一貫した品質管理が重要です。

ヘアライン仕上げのメリット・デメリット

美観性に優れる

ヘアライン仕上げが多くの製品に採用される最大の理由は、その優れた意匠性(デザイン性)にあります。
金属表面に一定方向へ細く長い研磨目を付けることで、鏡面仕上げのように強く光を反射することなく、落ち着いた質感と高級感を演出できます。
光の当たり方によって繊細に表情が変化するため、シンプルな金属製品でも存在感が生まれ、上品な印象を与えることができます。
特にステンレスとの相性は非常に良く、建築金物やエレベーターの内装、店舗什器、厨房設備、医療機器など、人の目に触れる製品で数多く採用されています。
ヘアラインの直線的な模様は清潔感や精密さを感じさせるため、デザイン性だけでなく、品質の高さを視覚的に伝える効果も期待できます。
また、ヘアライン仕上げは、周囲の景色を映し込む鏡面仕上げとは異なり、反射を適度に抑えられる点も大きなメリットです。
照明の映り込みが少ないため、屋内外を問わず落ち着いた印象を保ちやすく、オフィスビルや商業施設、公共施設などでも多く採用されています。
さらに、ヘアラインは研磨方向を統一することで、製品全体に一体感が生まれます。
大型のカバーや複数のパネルを組み合わせた製品では、研磨方向を揃えるだけで高級感が大きく向上します。
一方で、方向がバラバラになると違和感が目立ちやすくなるため、設計段階から研磨方向を意識することが重要です。
株式会社アスクでも、ヘアライン材を使用した板金加工を行う際には、図面に記載された研磨方向を十分確認して製作しています。
ヘアライン加工そのものを主力としているわけではありませんが、せっかくの美しい外観を損なわないよう、加工時の保護や完成後の外観確認を徹底しています。
意匠性を重視する製品では、寸法精度だけでなく「見た目の品質」も製品価値の一部であると考え、細部まで丁寧な加工を心掛けています。

傷が目立ちにくい理由

ヘアライン仕上げは、「傷が付きにくい」のではなく、「傷が目立ちにくい」という特徴があります。
この違いを理解することは、ヘアライン仕上げを採用するうえで非常に重要です。
通常の金属表面は平滑であるため、小さな擦り傷が付くと光の反射が変化し、傷が目立ちやすくなります。
一方、ヘアライン仕上げでは、もともと表面全体に均一な研磨目が入っているため、日常使用で発生する細かな擦り傷が既存のラインと馴染みやすくなります。
その結果、多少の使用傷であれば目立ちにくく、美しい外観を長期間維持しやすいのです。
特に、エレベーターの操作盤やドア、厨房機器、店舗のカウンターなど、人が頻繁に触れる場所ではこの効果が大きく発揮されます。
日常的に手や荷物が接触する環境でも、小さな擦り傷が周囲のヘアラインに溶け込み、外観の劣化を感じにくくなります。
ただし、深い引っかき傷や打痕はヘアラインでも隠すことはできません。
また、ヘアライン方向と直角に付いた傷は比較的目立ちやすいため、製品の取り扱いには十分注意が必要です。
加工時や搬送時に金属同士が接触すると、簡単に傷が付いてしまう場合もあります。
アスクでも、ヘアライン材を加工する際は、材料の保護フィルムをできるだけ剥がさずに加工を進めています。
また、加工台との接触や部品同士の擦れや、搬送時にも細心の注意を払っています。
ヘアライン材は加工技術だけでなく、取り扱い方法によって製品品質が左右されるため、「傷を付けない環境づくり」も重要な工程の一つと考えています。

汚れやメンテナンス性

ヘアライン仕上げは、美しい外観だけでなく、日常的なメンテナンスのしやすさにも優れています。
鏡面仕上げでは指紋や油汚れが目立ちやすく、頻繁な清掃が必要になりますが、ヘアライン仕上げでは細かな研磨目が光を分散させるため、同じ汚れでも比較的目立ちにくいという特徴があります。
特にステンレス製の厨房設備や店舗什器では、水滴や指紋が付着することは避けられませんが、ヘアライン仕上げであれば清潔感を保ちやすく、多くの施設で採用されています。
また、日常の清掃は柔らかい布で拭き取る程度で十分な場合が多く、軽度の汚れであれば中性洗剤を使用するだけで簡単に除去できます。
ただし、清掃方法には注意が必要です。
金属たわしや研磨剤入りスポンジを使用すると、既存のヘアラインを傷付けてしまい、部分的に光沢が変わることがあります。
また、ヘアライン方向とは異なる方向に強く擦ると、新たな傷が目立つ原因になります。
そのため、清掃する際はヘアラインの方向に沿って優しく拭き取ることが推奨されます。
屋外で使用される場合は、雨水や排気ガスなどによる汚れが付着することがあります。
長期間放置するとシミや腐食の原因になる場合もあるため、定期的な清掃が美観維持につながります。
アスクでは、ヘアライン材を加工した製品を納品する際にも、仕上げ面に汚れや指紋が付着しないよう最終工程まで保護フィルムを残すことがあります。
また、検査時には表面状態も確認し、美観品質を保った状態で出荷できるよう管理しています。
ヘアライン仕上げは「加工して終わり」ではなく、納品時まできれいな状態を維持することも重要な品質管理の一部です。

注意すべきデメリット

ヘアライン仕上げには多くのメリットがありますが、採用する際にはいくつか注意すべき点もあります。
最も大きなデメリットは、仕上げ面に傷が付くと部分補修が難しいことです。
ヘアラインは一定方向へ均一な研磨目が入っているため、一部分だけを研磨すると、その箇所だけ研磨目が変わり、周囲との違いが目立ってしまいます。
そのため、深い傷や打痕が発生した場合には、部品全体を再研磨したり、場合によっては材料ごと交換したりする必要があるケースもあります。
また、溶接を行う場合にも注意が必要です。
溶接部周辺は熱によって変色し、既存のヘアラインが消えてしまいます。
外観品質が重視される製品では、溶接後に再度ヘアライン加工を施す必要があり、その分コストや加工時間が増加する場合があります。
さらに、ヘアラインには方向性があるため、部品ごとにライン方向が異なると完成品全体の統一感が失われます。
設計図面では「ヘアライン方向」を明記することが望ましく、組み立て後の見え方まで考慮した設計が重要になります。
加工時にも保護フィルムの剥がれや工具との接触によって傷が入りやすいため、通常の材料以上に丁寧な取り扱いが求められます。
加工品質だけでなく、搬送や保管方法も製品の外観品質に大きく影響します。
アスクでもヘアライン材の加工案件では、まず図面内容を十分確認し、加工方法や搬送方法を検討したうえで製作を進めています。
ヘアライン仕上げを専門に行う機会は多くありませんが、「加工中に傷を付けないこと」が最も重要なポイントであると考えています。
そのため、保護フィルムの活用や養生、完成後の外観検査まで細心の注意を払い、お客様が求める美しい仕上がりを維持できるよう努めています。

ヘアライン加工の方法

ヘアライン加工の方法

ベルト研磨による加工

ヘアライン仕上げは、一般的に「ベルト研磨(ベルトサンダー加工)」と呼ばれる方法で行われます。
研磨ベルトに砥粒(研磨材)が付着しており、そのベルトを高速で回転させながら金属表面を一定方向に研磨することで、細く均一な研磨目を形成します。
この直線状の研磨目が、ヘアライン特有の美しい外観を生み出しています。
研磨ベルトにはさまざまな粒度(番手)があり、粒度が粗いほど研磨目は深くはっきりと現れます。
一方、粒度が細かくなるとラインは繊細になり、より上品で滑らかな印象になります。
そのため、建築金物や装飾部品では細かなヘアラインが採用されることが多く、工業製品では用途に応じて適切な番手が選択されています。
加工時には、研磨ベルトの送り速度や押し付ける力も重要です。
速度が一定でなかったり、圧力にムラがあったりすると、ラインの太さや深さが均一にならず、美観を損ねる原因になります。
また、一度付いたムラを部分的に修正することは難しく、場合によっては全面を再研磨する必要があります。
さらに、大型のステンレス板や長尺材では、途中で研磨目が途切れないよう一方向に連続して加工する必要があります。
研磨方向が途中で変わると、光の反射に違和感が生じ、完成品の品質が低下してしまいます。
株式会社アスクでは、ヘアライン仕上げそのものを社内で専門的に施工する機会は多くありませんが、ヘアライン加工済みの材料を使用した製品や、加工後に協力会社でヘアライン仕上げを行う案件に対応することがあります。
その際は、後工程で美しいヘアラインが仕上がることを前提に、切断や曲げ加工の精度を確保し、表面に不要な傷や打痕を付けないよう細心の注意を払っています。
ヘアライン仕上げは最後の研磨だけではなく、それ以前の加工品質も完成度に大きく影響するため、一つひとつの工程を丁寧に行うことが重要です。

研磨目の方向が重要な理由

ヘアライン仕上げでは、「どの方向に研磨目を入れるか」が製品の見た目を大きく左右します。
同じ材料でも研磨方向が異なるだけで、光の反射や製品全体の印象は大きく変わるため、設計段階から方向を決めておくことが重要です。
例えば、縦長の制御盤や扉ではヘアラインを縦方向に揃えることで、高さを強調したシャープな印象になります。
一方、横方向にラインを入れると安定感や落ち着いた印象を与えることができます。
建築金物やエレベーターの内装などでは、この視覚効果も考慮して研磨方向が指定されることが少なくありません。
また、一つの製品を複数の部品で構成する場合は、すべての部品で研磨方向を統一することが重要です。
一部だけ方向が異なると、光の当たり方によって色味や質感が違って見え、完成品としての一体感が失われてしまいます。
そのため、図面には「HL方向」や矢印で研磨方向が指示されることが一般的です。
曲げ加工を行う場合にも、ライン方向は注意が必要です。
曲げた後に研磨目がどのように見えるかを事前に検討しておかないと、完成後に設計イメージと異なる外観になることがあります。
特に意匠性が重視される製品では、加工順序も含めて検討する必要があります。
アスクでもヘアライン材を使用した板金加工では、図面に記載されたライン方向を必ず確認し、切断や曲げの向きを決定しています。
通常の板金加工では気にならないような細かな違いでも、ヘアライン仕上げでは完成品の品質に大きく影響するためです。
お客様が求める外観品質を実現するためには、寸法精度だけでなく、「どの方向に仕上げが見えるか」という視点も非常に重要であると考えています。

板金加工との組み合わせ

ヘアライン仕上げは、板金加工と組み合わせて使用されるケースが非常に多い表面仕上げです。
ステンレス製のカバーや制御盤、筐体、店舗什器、厨房設備などでは、ヘアライン材を切断・曲げ・溶接して製品を完成させることが一般的です。
しかし、ヘアライン材は通常の材料と比べて取り扱いに注意が必要です。
加工中に工具や作業台と擦れたり、材料同士が接触したりすると、仕上げ面に傷が付く可能性があります。
そのため、多くの場合は保護フィルムを貼ったまま加工を行い、完成直前までフィルムを剥がさないようにします。
レーザー加工やタレットパンチ加工では、加工熱やバリによって保護フィルムが傷む場合もあるため、加工条件を適切に設定することも重要です。
また、曲げ加工では金型との接触による擦り傷を防ぐため、専用の保護シートや養生材を使用することがあります。
さらに、溶接を伴う製品では、溶接熱による焼けや変色が発生するため、仕上げ方法をあらかじめ考慮して設計する必要があります。
外観を重視する製品では、溶接後にヘアラインを再加工するケースもありますが、追加工程となるためコストや納期にも影響します。
アスクでは、ヘアライン材を使用した板金加工を行う際には、加工方法だけでなく「傷を付けない工程づくり」を重視しています。
加工中の養生や搬送方法、保管方法まで含めて管理し、製品価値を損なわないよう取り組んでいます。
ヘアライン材は一般的な板金材料以上に丁寧な取り扱いが求められるため、一つひとつの工程で細かな配慮が必要になります。

ヘアライン仕上げの用途

建築金物

ヘアライン仕上げは、建築金物の分野で最も多く採用されている表面仕上げの一つです。
ビルや商業施設、マンション、公共施設などでは、ドアや手すり、パネル、壁面材、化粧カバーなど、さまざまな場所でヘアライン仕上げのステンレス製品を見ることができます。
建築分野で採用される理由は、落ち着いた高級感と耐久性を兼ね備えているためです。
鏡面仕上げのように周囲の景色を映し込み過ぎず、自然な光沢を持つため、どのような建築デザインにも調和しやすい特徴があります。
また、細かな研磨目によって軽微な擦り傷が目立ちにくく、多くの人が利用する施設でも美しい外観を維持しやすい点も評価されています。
屋外で使用される建築金物では、雨風や紫外線、砂ぼこりなどの影響を受けますが、ステンレス製ヘアライン材は耐食性に優れているため、長期間にわたり安定した性能を維持できます。
ただし、沿岸地域では塩害対策として定期的な清掃が推奨されます。
設計時には、研磨方向を統一することも重要です。
大型パネルや連続した壁面では、ヘアラインの方向が揃っていることで建物全体に一体感が生まれます。
反対に方向が揃っていないと、光の反射が異なり違和感のある仕上がりになることがあります。
アスクでも建築設備に使用されるステンレス部品や化粧カバーなどの加工を行うことがあります。
ヘアライン材を使用する案件では、加工精度だけでなく、美観を維持したまま納品することを重視し、保護フィルムや養生材を活用しながら丁寧な加工を行っています。

エレベーター

ヘアライン仕上げは、エレベーターの内装や外装でも非常に多く採用されています。
エレベーターの扉や操作パネル、側壁、天井パネルなどにはヘアライン仕上げのステンレスが使用されることが一般的で、多くの人が日常的に目にする代表的な用途の一つです。
エレベーターは毎日多くの人が利用するため、指紋や擦り傷が付きやすい環境です。
そのため、美観を長期間維持できるヘアライン仕上げは非常に適しています。
細かな研磨目が日常使用で発生する小さな傷を目立ちにくくし、鏡面仕上げよりもメンテナンス性に優れている点が採用理由となっています。
また、ヘアライン仕上げは照明の反射を抑えるため、エレベーター内部が落ち着いた印象になります。
ホテルや高級マンション、オフィスビルでは、高級感を演出するためにも積極的に採用されています。
エレベーター部品では複数のパネルを組み合わせるため、ヘアライン方向をすべて統一することが欠かせません。
わずかな方向の違いでも、完成後に光の反射が変わり、品質に大きく影響することがあります。
アスクではエレベーター部品を専門に製作しているわけではありませんが、同様に外観品質が求められるステンレス製カバーやパネルの加工実績があります。
図面どおりの加工精度に加え、美しい仕上げ面を維持するための取り扱いにも十分配慮しています。

厨房設備

厨房設備は、ヘアライン仕上げが最も広く普及している用途の一つです。
業務用厨房や食品工場では、作業台、シンク、収納棚、レンジフード、調理機器カバーなど、多くの設備でヘアライン仕上げのステンレスが採用されています。
厨房では毎日水や油、洗剤などを使用するため、耐食性と清掃性が非常に重要になります。
ステンレス製ヘアライン材は錆びにくく、汚れも比較的目立ちにくいため、衛生管理が求められる環境に適しています。
さらに、鏡面仕上げよりも指紋や水滴が目立ちにくいため、清潔感を維持しやすいこともメリットです。
食品工場や飲食店では毎日の清掃が欠かせませんが、ヘアライン仕上げであれば柔らかい布と中性洗剤で比較的簡単に美観を維持できます。
ただし、金属たわしなどで強く擦ると研磨目が乱れるため、適切な清掃方法を守ることが重要です。

制御盤

制御盤や操作盤の外装にもヘアライン仕上げは多く採用されています。
産業機械や製造設備では、ステンレス製制御盤が使用されることが多く、特に食品機械や医療設備、半導体製造装置では、ヘアライン仕上げが標準仕様となるケースも少なくありません。
制御盤は工場内だけでなく、お客様の目に触れる場所へ設置されることもあるため、機能性だけでなく外観品質も重要になります。
ヘアライン仕上げは機械的でシャープな印象を与え、設備全体の品質感を向上させる効果があります。
また、日常点検で扉を開閉することが多いため、小さな擦り傷が付きやすい部位でもあります。
ヘアライン仕上げはそのような細かな傷を目立ちにくくするため、長期間美しい外観を維持しやすいというメリットがあります。
アスクでは、制御盤カバーや機械カバーなどの板金加工を数多く行っています。
ヘアライン材を使用する案件では、レーザー加工や曲げ加工の際に保護フィルムを活用し、外観品質を維持した状態で納品できるよう管理を徹底しています。

医療機器

医療機器や医療設備でもヘアライン仕上げは広く使用されています。
診療台や医療機器の外装、検査装置、滅菌設備、手術室設備など、清潔さと耐久性が求められる製品では、ステンレス製ヘアライン材が数多く採用されています。
医療現場ではアルコールや薬品による消毒が頻繁に行われるため、耐食性の高いステンレスが適しています。
さらにヘアライン仕上げは汚れや細かな傷が目立ちにくく、衛生的な印象を維持しやすいことも大きなメリットです。
また、医療機器は患者や医療従事者が直接目にする製品でもあるため、機能だけでなく安心感を与える外観も重要になります。
ヘアライン特有の落ち着いた質感は、清潔で信頼感のある印象を与える要素として評価されています。
アスクでも医療機器関連部品の加工実績があり、美観品質が求められる製品では、加工精度だけでなく仕上げ面の保護や外観検査まで丁寧に対応しています。

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