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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

金属に施す塗装とは?その目的と重要性

本日は金属塗装について解説していきたいと思います。
是非ご覧ください♪

必達試作人
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金属塗装の役割と目的

金属に塗装を施す最大の目的は、防錆(ぼうせい)と耐久性の向上です。

金属に塗装を施す最大の目的は、防錆(ぼうせい)と耐久性の向上です。
金属は空気中の酸素や水分と反応して酸化し、いずれは錆(さび)として劣化が進みます。
塗装はその酸化を防ぐ「バリア」のような役割を果たし、金属の表面を覆うことで外部の環境要因から保護します。
また、塗装は製品の見た目を整えるための「意匠性」も持っています。
たとえば自動車のボディカラー、建材の外装仕上げ、家電製品の色などは、すべて塗装によって表現されています。
さらに、塗装は製品の識別や安全性の向上にも使われ、例えば配管の色分けや工場内の機械に使う警告色などもその一例です。
このように、金属塗装は機能性・美観・安全性を実現するための多目的な技術であり、現代の製造業において必要不可欠な工程といえます。

塗装と金属表面処理の違い

塗装と似た目的で行われる処理に、メッキ処理や陽極酸化処理(アルマイト処理)などの「金属表面処理」があります。
これらはすべて金属の保護や美観の向上を目的としていますが、それぞれのアプローチは異なります。
塗装は、金属表面に塗料を塗布して乾燥・硬化させることで、外部環境からの保護膜を形成します。
使用される塗料の種類によって性能や見た目が変わり、施工方法も吹き付けや浸漬(ディッピング)など様々です。
一方、メッキ処理は、金属表面に別の金属層を化学反応または電気的に形成する方法です。
ニッケルメッキや亜鉛メッキがよく知られており、錆の発生を抑制する効果があります。
アルマイト処理は主にアルミニウムに対して行われる酸化皮膜形成処理で、腐食耐性や硬度の向上に寄与します。
これらの処理と塗装は併用されることもあり、複数の機能を持たせるために工程設計がなされることもあります。

金属塗装の種類と特徴

焼付塗装

焼付塗装は、塗布した塗料を高温で加熱し、化学反応によって塗膜を硬化させる塗装方法です。
主に使用されるのはメラミン樹脂やアクリル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化型塗料で、これらは加熱することで硬く、耐久性のある塗膜を形成します。
塗装後は150〜200℃の温度で焼き付けられ、その過程で塗料が硬化して密着性の高い仕上がりになります。
この塗装は、特に機械部品や自動車の外装、家電製品のフレームなどで多用されており、耐摩耗性や耐候性、耐薬品性にも優れています。
ただし、高温で加熱する必要があるため、プラスチックなどの熱に弱い素材には適用できず、金属でも形状によっては熱変形のリスクも考慮しなければなりません。

粉体塗装(パウダーコーティング)

粉体塗装は、塗料を粉末状にして金属表面に静電気などで付着させた後、高温で焼き付けて溶融・硬化させる方式の塗装です。
塗料に溶剤を使わないため、VOC(揮発性有機化合物)排出が少なく、環境に優しいという利点があります。
塗膜は非常に厚く均一に仕上がり、耐候性・耐衝撃性・耐食性に優れています。
さらに、使用されなかった粉体塗料は回収して再利用できるため、経済的かつ環境配慮型の塗装方法とされています。
この方法は、鉄骨構造物や屋外設備、電化製品の外装など、広範な用途に適しており、見た目の美しさだけでなく、機能面でも高い評価を得ています。

ウレタン塗装とアクリル塗装

塗装のイメージ

ウレタン塗装は、ポリウレタン樹脂をベースとした塗料を用いた塗装で、柔軟性と密着性、耐摩耗性に優れています。
自動車やバイクの外装、工作機械のフレームなど、振動や衝撃が加わる場所に適しています。
乾燥後の塗膜は硬くても割れにくく、曲面や細かい部分への追従性も高いのが特徴です。
一方、アクリル塗装は、透明性と光沢感に優れ、塗膜の仕上がりが美しいため、家具やインテリア、家庭用製品に多く使われています。
比較的短時間で乾燥するため、生産効率が求められる製品にも適しています。
ただし、ウレタン塗装に比べてやや耐久性は劣るため、用途に応じて適切な使い分けが必要です。

金属塗装の工程と前処理

脱脂・洗浄処理

金属表面には、加工時に使用された切削油やグリース、指紋などの有機汚れが残っています。
これらの油分は塗料の密着を妨げる原因となるため、塗装前には必ず脱脂・洗浄を行います。
一般的には、アルカリ洗浄剤や中性洗剤を使用して超音波洗浄や浸漬洗浄を行い、流水で十分にすすぎます。
脱脂処理が不十分だと、塗装後に塗膜が剥がれる、ピンホールが生じる、ブリスターが発生するなどの不良につながります。
この工程は一見地味ですが、塗装品質を左右する非常に重要なステップであり、量産品ではこの工程の自動化や工程管理も徹底されています。

化成処理(リン酸亜鉛処理・クロメート処理など)

脱脂・洗浄の次に行われるのが化成処理です。
これは金属表面に化学反応を用いて微細な結晶皮膜を形成し、塗料の密着性を高める処理です。
鋼材にはリン酸亜鉛処理が多く使われ、皮膜が錆の進行を抑え、塗料との密着を強化します。
アルミにはクロメート処理(もしくはノンクロム化成処理)が行われ、腐食耐性が向上します。
これらの処理により、塗膜の耐久性が飛躍的に高まるため、重要な前処理工程として定着しています。

塗装・乾燥・検査

前処理を終えた金属は、塗装本番の工程に入ります。
スプレーガンを使った吹き付け塗装が一般的ですが、ディッピング(浸漬)や静電塗装、ロールコーターなども使用されます。
塗装後は、乾燥炉に入れて一定の温度で加熱し塗膜を硬化させます。
使用する塗料によって乾燥温度や時間が異なり、品質管理の重要なポイントとなります。
最終的に、塗膜の厚みや密着性、外観、色むらの有無などを検査し、規格を満たしているかを確認します。
不具合が見つかった場合は再塗装や補修を行うこともあります。

金属塗装の注意点とトラブル対策

金属のイメージ

塗装不良の原因と対策

塗装には「はがれ」「ブリスター」「ピンホール」「色むら」などの不良が起こることがあります。
これらは前処理の不備、塗料の混合不良、乾燥温度の不適正、作業環境の埃などが原因で発生します。
対策としては、脱脂や化成処理の工程管理を徹底すること、塗料の使用期限や混合比率を守ること、塗装環境のクリーン化が重要です。
特に清浄度が求められる精密機器部品では、クリーンルーム内での塗装が行われる場合もあります。

環境負荷と対応策

従来の溶剤系塗料はVOC(揮発性有機化合物)を含み、大気汚染や作業者の健康被害の原因となっていました。
これに対して、水性塗料や粉体塗装といった環境対応型塗装が主流となりつつあります。
また、塗装ブースの換気や排気処理設備の整備、作業者への保護具の支給、定期的な健康診断なども重要です。
環境に配慮した製造体制を整えることは、企業の社会的責任としても重視されており、ISO14001の取得などが推進されています。

用途別にみる金属塗装の選定基準

自動車部品への塗装

自動車に使われる金属部品の塗装は、外観の美しさだけでなく、高い耐候性・耐腐食性・耐摩耗性が求められます。
とくにボディ部分には複数層の塗膜(プライマー、中塗り、トップコート)を形成し、過酷な外部環境から車体を守る構造が一般的です。
部品によっては焼付塗装やウレタン塗装が使われ、内装部品には意匠性を重視した塗装が行われます。
また、下回り部品には耐塩害性を高めた塗装処理が行われ、特に融雪剤の影響を受けやすい地域では防錆処理の徹底が必要です。
塗装後の品質検査では、外観チェックに加えてクロスカット試験、塩水噴霧試験などを通じて長期耐久性を確認します。

屋外構造物・建材への塗装

建築用の鉄骨や外装パネルなどの屋外構造物には、紫外線・雨風・塩害といった自然環境に耐える塗装が求められます。
代表的な処理としては粉体塗装やフッ素系樹脂塗装などがあり、これらは高い耐候性を持ち、長期間にわたって美観と機能性を保ちます。
また、鋼材には溶融亜鉛メッキ+塗装のように複合処理が行われることも多く、防錆性能を二重に確保します。
塗膜の厚さや均一性、施工方法による耐久年数の差が出やすいため、使用環境に応じた仕様選定が重要です。
JISや建築基準法などの規格を遵守することも求められるため、設計段階から塗装仕様を明確に定める必要があります。

精密機器・電子部品への塗装

精密機器や電子部品の塗装には、導電性・絶縁性・電磁波シールド性など、特殊な機能が求められる場合があります。
また、クリーンルーム内での製造が必要なケースもあり、異物混入や塗膜不良の防止が重要な課題となります。
塗料としては、静電気防止機能を持つ導電性塗料や、EMC対策用の金属粉体を含む塗料などが用いられ、塗装工程も高精度な制御が求められます。
電子基板に対するコーティングでは、マスキングによる絶縁エリアの確保も重要です。
これらの製品では、塗装の機能性が製品性能そのものに直結するため、通常の工業塗装以上に高度な品質管理体制が必要とされます。

今後の技術動向と金属塗装の進化

ナノテク塗料や高機能塗料の進展

近年では、ナノテクノロジーを応用した塗料が開発されており、従来の塗膜よりも薄く、しかも高い防汚性や耐熱性を持つものが登場しています。
たとえば、自己洗浄機能を備えたフッ素系ナノ塗料や、紫外線カット機能を持つUVカット塗料などが注目を集めています。
こうした塗料は、自動車や建築分野だけでなく、医療機器や航空宇宙産業でも応用が進められており、今後さらに多機能化・高機能化が期待されます。

自動化・AI技術の導入

塗装工程の自動化も進化しています。
近年では、ロボットアームとAI画像解析を組み合わせた自動塗装システムが実用化されており、塗膜の厚みや仕上がりをリアルタイムでチェックしながら均一な塗装を実現することが可能となっています。
人手不足への対応や、生産効率・品質の向上を目的に、多くの製造現場で導入が加速しています。
将来的には、AIが塗装不良を予測・防止する仕組みも確立されていくと見込まれており、スマートファクトリー化の一環として注目されています。

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【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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