CADとは?使用例やCADの種類を徹底解説
さて、本日は図面作成や加工用データの作成に使用されているCADについての記事を書きました。
多業種で使用されているCADについて、詳しい方もそうでない方も是非ご覧ください♪

CADとは
CAD(Computer Aided Design)とは、コンピュータを使って設計業務を支援する技術・ツールです。
手描きで図面を作成する従来の方法に比べ、圧倒的な精度とスピードで設計を進められるようになりました。
線を引くだけでなく、寸法管理、材料情報、構造シミュレーションまで行えるため、設計者の意図を正確に伝える役割も担います。
製造業においては、製品の形状検討から製造指示、品質管理資料の作成まで、幅広いプロセスにCADが活用されています。
CADの種類
CADには主に「2D CAD」と「3D CAD」があり、それぞれ用途が異なります。
2D CADは、寸法線や補助線などを使って正確な平面図を作成するのに適しており、部品図、組立図、工程表などで広く利用されます。
一方、3D CADは、設計物を立体的に表現できるため、設計ミスの早期発見、干渉チェック、流体解析などにも活用可能です。
最近では、2D図面と3Dモデルを統合して管理できるソフトも登場しており、より高度な設計管理が求められています。
製造業におけるCADの活用例
機械部品設計での活用
製造業の中でも、機械設計におけるCAD利用は特に重要です。
機械部品は寸法精度が製品性能に直結するため、設計段階での正確な図面作成が不可欠です。
3D CADを使用することで、組立シミュレーションやモーションチェックも可能になり、現場での組立ミス防止にもつながります。
また、設計した3Dデータを基にFEM解析(有限要素法解析)を実施し、耐久性や強度を事前に確認することも一般的になってきています。
これにより、試作・評価回数を減らし、開発期間短縮が実現できます。
板金加工におけるCAD利用
板金業界では、CADの展開機能が非常に重要視されています。
3Dモデルから自動で展開図を作成し、曲げや溶接を考慮した正確な展開寸法を導き出すことができます。
特に、板金専用CAD(例:SheetWorksなど)は、リブ補強やコーナー処理の自動化に対応しており、作業効率を大幅に向上させています。
さらに、加工機と直接連携できる機能を使えば、設計から製造への移行がシームレスになり、リードタイム短縮とコストダウンが図れます。
金型設計におけるCAD活用
金型製作では、高精度な3Dモデリングが必須です。
製品モデルを基に型割り、コア・キャビティ設計、冷却配管レイアウトなどを設計していきます。
金型専用CAD(例:Moldflow、Moldex3Dなど)では、射出成形時の樹脂流動解析や、充填、冷却、反りの予測も可能です。
これにより、成形不良を未然に防ぎ、試作回数の削減と高品質な金型作りが実現できます。
製造現場とCADデータの連携
CADとCAMの連携
設計データをスムーズに製造に活かすために、CADとCAM(Computer Aided Manufacturing)との連携は欠かせません。
設計者が作成した3Dモデルを、CAMソフトで加工用ツールパスに変換し、そのままNC工作機械へ送信できます。
これにより、従来手作業で行っていたNCプログラム作成工程が自動化され、人的ミスも大幅に減少します。
また、設計変更があった場合も、CADデータを更新するだけで加工プログラムを再生成できるため、迅速な対応が可能です。
3Dプリンターとの連携
試作や小ロット生産で活躍する3Dプリンターも、CADとの連携が進んでいます。
3D CADで設計したSTLデータを直接3Dプリンターに送信し、短期間で試作品を作成できます。
これにより、製品開発の初期段階で実物モデルを手に取って検証できるため、設計意図の共有や仕様改善がスピーディに進みます。
また、製造難易度の高い形状(中空構造や複雑内部構造)も容易に造形できるため、従来不可能だった設計が可能になります。
製造業で人気のCADソフト
AutoCAD
AutoCADは、2D・3D設計両方に対応できる高機能CADソフトウェアです。
製造業界では、主に2D図面作成で利用されるケースが多く、寸法管理、レイヤー管理、テンプレート作成機能などが充実しています。
また、スクリプトやカスタムツールを利用して、作業効率をさらに高めることができる点も大きな魅力です。
多くのベンダーがAutoCAD対応の部品データを提供しているため、設計作業の効率化が容易です。
SolidWorks
SolidWorksは、パラメトリックモデリング(寸法や拘束条件で形状制御)に優れた3D CADソフトであり、特に機械設計分野で高い評価を得ています。
部品設計だけでなく、アセンブリ機能を使って製品全体の動作シミュレーションや干渉チェックが可能です。
さらに、流体解析(CFD)や構造解析(FEM)モジュールも搭載できるため、設計段階で製品性能を事前に確認できます。
PDM(製品データ管理)機能と連携すれば、設計情報のバージョン管理やチーム設計も効率化されます。
Fusion 360
Fusion 360は、クラウドベースで動作する3D CAD/CAM/CAE統合型ソフトです。
個人から中小企業まで幅広く使われており、設計、解析、製造のすべてを一つのプラットフォームで完結できます。
特に、クラウド共有機能により、リモートチームでもリアルタイムで共同作業が可能です。
また、CAM機能が標準搭載されているため、3DモデルからすぐにNCデータを生成し、加工工程にスムーズに移行できます。
初期コストを抑えながら高機能CADを導入したい企業におすすめです。
今後のCADトレンド
クラウドベースCADの普及
近年、クラウドベースのCADソフトウェアが急速に普及しています。
従来のCADは高性能なワークステーションにインストールして使うのが一般的でしたが、クラウド型ではインターネット環境さえあれば、どこからでもアクセスできるようになりました。
これにより、在宅勤務や多拠点展開をしている企業でも、リアルタイムで設計データの共有や共同作業が可能になります。
また、クラウド上にデータが保存されるため、データロスリスクを軽減できる点もメリットです。
今後、より柔軟でスピーディな開発体制を実現するために、クラウド型CADの導入が加速するでしょう。
AI搭載CADの登場
AI(人工知能)技術を搭載した次世代CADも登場しつつあります。
AIは過去の設計データを学習し、設計者に対して最適な設計案を自動提案したり、エラーや設計ミスを事前に警告したりすることが可能です。
さらに、設計パターンの自動生成や、設計のバリエーション作成もAIが支援するため、従来よりも短時間で高品質な設計が実現できると期待されています。
将来的には、設計業務そのもののスタイルが大きく変わる可能性もあります。
ジェネレーティブデザインの普及
ジェネレーティブデザインとは、設計者が素材や荷重条件、目標仕様を設定すると、ソフトウェアが自動で最適な設計案を生成する技術です。
これまで人間が考えつかなかった斬新な形状や、構造的に理想的なデザインを作成できるため、特に軽量化やコスト削減が重要な航空宇宙、自動車分野で注目されています。
Fusion 360など一部のCADソフトにはすでに搭載されており、今後さらに製造業への適用が広がると予想されます。
CAD導入時の注意点
導入目的を明確にする
CAD導入で失敗しないためには、まず「何を目的に導入するのか」を明確にすることが重要です。
例えば、単なる図面作成を効率化したいのか、製品開発サイクルを短縮したいのか、それとも製造プロセス全体をデジタル化したいのかによって、選ぶべきソフトウェアや機能は異なります。
目的が曖昧なまま導入すると、結局使いこなせず、コストだけが無駄になるケースも少なくありません。
導入前に社内の要件を整理しましょう。
操作習熟と教育体制の整備
CADソフトは機能が多岐にわたるため、使いこなすには一定のトレーニングが必要です。
特に、3D CADは操作方法が直感的でない場合も多く、独学だけでは習熟に時間がかかることもあります。
そのため、導入時には、メーカーによるトレーニングプログラムの受講や、社内教育体制の整備が不可欠です。
また、操作マニュアルや設計ルールを社内で標準化しておくことで、ミス防止や効率向上にもつながります。
データ管理・運用ルールを作る
CADデータは企業の重要な資産です。
バージョン管理がされていなかったり、データの保存先がバラバラだったりすると、設計ミスや再設計などの無駄が発生します。
そのため、CAD導入と同時に、データの命名規則や保存ルール、アクセス権管理などを定める必要があります。
さらに、PDM(Product Data Management)システムを導入してデータ管理を自動化することで、大量の設計データを効率よく運用できるようになります。
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