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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

仕上げ作業で行うバリ取りについて詳しく解説します!

こんにちわ!
本日は仕上げの工程で行うバリ取りについて、記事を書いていきたいと思います!
製造業に携わっている方であれば当たり前のことかもしれないですが、本日もお付き合いください♪

必達試作人
必達試作人
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バリとは

バリとは、金属や樹脂などを加工した際に発生する、意図しない形の突起のことを言います。
より簡単に説明すると、加工時に発生するトゲやギザギザなどのことです。

ちなみにJIS規格では「かどのエッジにおける、幾何学的な形状の外側の残留物で、機械加工または成形工程における部品上の残留物」と定義されています。
また金属鋳造や樹脂成型においては、型の隙間から素材がにじみ出ることがあります。
にじみ出た素材が尖った形状になったものもバリの一種です。

バリは品質面でさまざまなトラブルを引き起こします。
よって生産現場では、必要に応じてこのバリを取り除く作業「バリ取り」を行う必要があります。

図面の「バリなきこと」とは

図面に記載された「バリなきこと」とは、その名の通りバリがないよう仕上げることです。
基本的にバリは取らないといけないものなので、金属や樹脂の加工用図面には大抵「バリなきこと」と記載されています。

多くの生産現場では、バリの除去方法や寸法までは指定されません。
バリ取りの細かい作業内容は、暗黙の了解や作業者の感覚で決められているのが現状です。

バリが引き起こすトラブル

①部品を組み付ける際のトラブル

バリは突起状の形状であるため、組み付けの邪魔をします。
具体的には、バリと隣接部品の干渉です。
組み付け部にバリがあると、部品が正しく組み付けられないトラブルにつながります。

②性能に関するトラブル

鋭利な形状のバリは、製品の性能に影響します。
バリが摺動部などに発生することで、設計段階で想定した性能が発揮できない可能性があります。

③使用時にバリが脱落するトラブル

ほとんどのバリは薄く、機械的な強度を持っていません。
そのためバリがある部位に油などを流したり、衝撃や摺動などの力がかかったりすると、バリが意図せずとれる事もあります。
脱落したバリは周囲の部品を傷つけたり、流路を塞いだりする可能性があります。

④取り扱う人のトラブル

特に金属素材に発生するバリは鋭利なため、カミソリのように人の肌を傷つけます。
工場内の作業者がバリで手を切り労災になるケースなど、重大な問題に発展するケースも少なくありません。

バリはなぜ発生するのか?

バリ
切削・研削加工の場合

切削・研削加工では、刃物や砥石が素材に食い込んでいく際に周辺の組織が逃げ、微細な塑性流動を起こします。
簡単に言うと、こんにゃくのようなゲル状の物体を指で強く押した際の変化です。

ゲル状の物体を指で強く押すと、押した部分はへこみますが、その周囲は軽く盛り上がります。
この現象に近いイメージです。
素材へと工具が入っていく部位も、その周辺の組織が工具から逃げ、バリが発生します。
また素材から工具が出ていく部位では、素材の組織が押し流され、切り屑が引きちぎられることでバリが発生します。

せん断加工の場合

プレス加工などのせん断加工の場合、素材が引きちぎられる過程でバリが発生します。
素材が引きちぎられる際、素材の一部がダイやポンチのクリアランスに流れ込むことが原因です。
粘土を両手に持ち、上下方向に引きちぎった際の断面をイメージするといいでしょう。
せん断加工時のバリは、基本的に素材の抜け側に発生します。

鋳造・射出成型加工の場合

鋳造や樹脂の射出成型加工では、型の合わせ目に生じる微細な隙間に素材が流れ込み、そのまま凝固することでバリが発生します。
羽根つきたい焼きのはみ出した部分をイメージするといいでしょう。

なお鋳造や樹脂の射出成型加工で生じるバリは「PLバリ」と呼ばれることもあります。
切削・研削加工やプレス加工の場合、塑性変形しやすい素材であるほどバリが発生しやすいです。
しかし鋳造や樹脂の射出成型加工で生じるバリは、素材の塑性変形しやすさに由来しません。

バリの抑制方法

素材によるバリ抑制

切削・研削・プレス加工などでは、素材の塑性によりバリが発生します。
よって塑性変形しにくい素材を選べば、バリの抑制は可能です。

ただし塑性変形しにくい素材は、一概に加工が難しくなりやすいです。
また求められる機械的性質を満たしつつ、バリが発生しにくい素材を選ぶのが難しいケースも少なくありません。
素材によるバリ抑制が実現できるのは、限定的な条件下のみであることに留意しましょう。

形状によるバリ抑制

バリ

小さな形状変更でもバリ抑制につながります。
バリは鋭角のエッジ上で大きくなりやすいです。
よって素材の加工面を鈍角化させる加工を実施すれば、バリ抑制効果を期待できます。

例えば、「隅R」「面取り」「加工部の平面化」のような加工です。
また形状によってバリを抑制する場合、前加工の精度や品質要求を見直すことも重要です。
例えば前加工で発生したバリが大きすぎると、工具によってはバリが取れないこともあります。

またピン角確保などの品質要求が厳しすぎると、工具でバリを取ったとしても、微細な2次バリでNGとなるケースも多いです。
つまり設計の段階から、バリについて考えておく必要があります。

加工によるバリ抑制

工具を変更したり、加工の軌跡を変更したりすることでバリを小さくできることもあります。
特にエンドミルなどの回転工具においては、ツールの回転方向と刃物の移動方向の組み合わせによる抑制が効果的です。
急激な加工を控えることもバリ抑制効果があります。

具体的には1回の加工における削り代を小さくしたり、送り速度を下げたりする方法です。
組織の塑性流動の量を小さくすることで、バリを小さくできます。
またバリを小さくするだけでなく、取りやすくするアプローチも有効です。
具体的には加工の順番や刃物の送り方向を調整し、バリの出る向きを変えます。

バリの種類

①ポアソンバリ

工作物のエッジが切削方向に対して直交方向に圧縮変形されて発生するバリを「ポアソンバリ」と呼びます。
切削開始時(工具の工作物への食い込み時)に生じるバリはエントランスバリ、切削中に側方に生じるバリはサイドバリとも呼ばれます。

②ロールオーバーバリ

工作物エッジから工具が離れる際、塑性流動が生じることで、組織が切削方向の自由両側へ押し出されて発生するバリを「ロールオーバーバリ」と呼びます。
離脱せずに残留した切り屑の一部でもあります。
ロールオーバーバリは延性に富んだ軟質金属材料に多いのが特徴です。

③引きちぎりバリ

切削の開始点または終了点の工作物エッジにおいて、引きちぎり現象にによって生じるバリを「引きちぎりバリ」と呼びます。
突切り加工の切削開始点や、ねじ切り加工の切削終了点において生成されやすいバリです。

④切断バリ

切断面の中心部にて、へそ状に残留するバリを「切断バリ」と呼びます。
切断バリが生じる加工は、突切り加工や鋸引き加工などです。
切断が終了する直前に、工作物の自重や振動などによって生じます。

バリ取りの方法

工具を使ったバリ取り

バリ取り
専用手工具

刃物で対象部をなぞったり、砥石やカッターを回転させたりしてバリを取ります。
専用手工具ははんだごて程度の持ち運びができる大きさであり、片手で持って操作します。

研磨工具

バリ取りの工具

研磨でバリを除去します。
棒状のやすりを作業者が自ら動かす方法もあれば、研磨ベルトや研磨ディスクへと加工物を押し当てる方法もあります。

ブラシ

ナイロンや金属などのブラシで加工物を擦り、バリを除去します。
ハンドツールや大きな機械でブラシを回転させ、そこに加工物を押し当てる方法もあります。

専用機を使ったバリ取り
バレル加工

バレル加工では、バレル槽に加工物と研磨メディア・水・コンパウンドを入れ、回転や振動を与えます。
槽の中で加工物が研磨メディアと擦れ合い、エッジやバリが落とされる仕組みです。
バレル加工のメリットは、バリ取りだけでなく、研磨やエッジ仕上げなどの工程もまとめてすませられる点。
ただし加工の精度を均一に保つのが難しく、打痕が発生する可能性がある点などがデメリットです。

ブラスト・液体ホーニング・ウォータージェット・ショットピーニング

ブラスト・液体ホーニング・ウォータージェット・ショットピーニングは、砂や砥粒、水などを加工物に噴射してバリを取る方法です。
噴射物が加工物に当たる力や、加工物の表面を滑走する力を利用しています。
噴射時は水(加工液)や空気の圧力を利用したり、ローターで噴射したりします。

噴射剤に用いられるのは、「砂」「樹脂やガラスのパウダー」「ドライアイスペレット」「金属球」などです。
噴射方法やノズルの形状によって、加工する範囲を広くしたり狭くしたりする調整も可能です。
細かな調整ができるため、穴や溝のような細かい部分の加工や、複数加工物の同時加工にも適用できます。

砥粒流動加工

砥粒流動加工とは、研磨メディアを加工物の内部に押し流す加工方法のことです。
研磨メディアは粘弾性媒体(ガムやオイルのようにネバネバした媒体)と研磨剤を混ぜて作られています。
砥石流動加工は主に穴のバリ取りに用いられます。
複雑な形状の加工物や高硬度材料のバリ取りもできるのが特徴です。

サーマルデバリング

サーマルデバリングとは、燃焼によってバリを除去する加工方法のことです。
布や繊維で行われる毛羽焼きををイメージするとよいでしょう。
具体的には、メタンや水素などの可燃性ガスと酸素を混合した気体を、加工物が入れられた密閉容器内で加圧します。

加圧後にスパークプラグで点火すると、エンジン内部のような瞬間的な燃焼が発生します。
バリは酸化物となって加工物から脱落します。
瞬間的な加熱であるため、薄くとがったバリ部分のみ燃焼し、加工物本体は燃焼しません。

サーマルデバリングのメリットは、工具が届かないような深い位置にあるバリを除去できる点です。
ただし大きな機械が必要であったり、厳重な安全管理が求められたりする点から、近年は採用される機会が減りつつあります。

電解加工・科学的除去

電解加工と科学的除去は、どちらもバリを溶かして除去する加工方法です。
機械的な加工でないため、2次バリの発生がありません。
加えて常温で加工できるので、熱などによるひずみが発生しないのが特徴です。

電解加工は、バリ発生部以外を絶縁皮膜でマスキングし、バリのみを溶かします。
処理時間が短く、量産ラインに最適です。
化学的除去では、マスキングをせず、加工物の表面すべてをわずかに溶解させます。

バリは組織が不均一で他の部位に比べて溶解しやすいため、マスキングなしでバリのみを除去できます。
マイクロバリの除去に適しており、加工物全体の表面を滑らかにできる点がメリットです。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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