A6061の特徴や他のアルミとの違い、解説します!!
本日はA6061についての解説をしていきたいと思います!
特徴や他のアルミとの違いをご紹介していきますので、是非ご覧ください♪
A6061とは
A6061はアルミニウムにマグネシウムとシリコンを加えた【Al-Mg-Si(6000)系】のアルミ合金です。
No.6000系のアルミ合金は、熱伝導率の関係で、溶接個所や周辺部位にまで熱による強度低下が起きるため、ボルトやナットなどの機械的な接合で用いられることが多い材料です。
A6061も同様の特徴がある一方で、耐食性に優れているため、自動車用部品などに採用されています。
A6061の特徴(耐食性)
A6061は耐食性に優れていますが、溶接接手強度は低い特徴があります。
しかし、T6処理(液体化処理後、人工時効硬化処理を施したもの)を施すことで、引っ張り強さは260N/㎟以上、耐力は240N/㎟以上まで強度を高めることが可能です。
流通している材料の形状は、丸棒と板が一般的です。
A6061の化学成分
JIS規格の【JIS H 4040:2015アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている化学成分は下記表のとおりです。
合金番号 | Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | Ti | その他a) | Al | |
個々 | 合計 | ||||||||||
A6061 | 0.40~0.8 | 0.7以下 | 0.15~0.40 | 0.15以下 | 0.8~1.2 | 0.04~0.35 | 0.25以下 | 0.15以下 | 0.05以下 | 0.15以下 | 残部 |
注記
a):その他の元素とは、この表で示されていないが存在の予知される場合または通常の分析過程において、規定の値を超える恐れがある場合に、製造業者の判断によって分析する元素である。
個々の値は、表で示されている元素以外の個々の成分値であり、合計の値は、個々の成分値を合計したものである。
A6061の機械的性質
JIS規格の【JIS H 4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線】にて記載されている機械的性質は下記表のとおりです。
A6061の押出棒の機械的性質
合金番号 | 質別a) | 引張試験 | |||||
径、厚さまたは対辺距離mm | 断面積 ㎠ | 引張強さ N/㎟ | 耐力 N/㎟ | 伸びb) % | |||
A50mm | A | ||||||
6061 | Oe) | すべて | - | 145以下 | 110以下 | 16以上 | - |
T4d) T4511d |
すべて | - | 180以上 | 110以上 | 16以上 | 14以上 | |
T42f) | すべて | - | 175以上 | 85以上 | 16以上 | - | |
T6d) T62f) T6511d) |
6以下 | - | 260以上 | 240以上 | 8以上 | 7以上 | |
6を超え | - | 260以上 | 240以上 | 10以上 | 9以上 |
A6061の引き抜き棒及び引き抜き線の機械的性質
合金番号 | 質別a) | 引張試験 | |||||
径、厚さまたは対辺距離 mm | 断面積 ㎠ | 引張強さ N/㎟ | 耐力 N/㎟ | 伸びb) % | |||
A50mm | A | ||||||
6061 | Oe) | 3以下 | |||||
H13 | 3以上10以下 | - | 155以上205以下 | - | - | ||
H18 | 10以下 | - | 210以上 | - | - | - | |
T39d) | 6以下 | - | 310以上 | - | - | - | |
6を超え | - | 260以上 | - | - | - | ||
T4 | 3以下 | - | 205以上 | - | - | - | |
3を超え100以下 | 300以下 | 205以上 | 110以上 | 18以上 | 16以上 | ||
T42f) | 3以下 | - | 205以上 | - | - | - | |
3を超え100以下 | 300以下 | 205以上 | 95以上 | 18以上 | - | ||
T6 T62f) |
3以下 | - | 290以上 | - | - | - | |
3を超え100以下 | 300以下 | 290以上 | 240以上 | 10以上 | 9以上 | ||
T89d) | 6以下 | - | 300以上 | - | - | - |
※注記
a):質別は、JIS H 0001による
b):伸びの測定は、標点距離の異なる次の二つの方法のいずれかを採用する。
特に、注文者からの指定がない場合は、A50mmによる。
ただし、A50mmの規定がない場合は、Aによる。
A50mm:50mm標点距離における伸び
A:5.65√S0の標点距離における伸び(S0:試験片の平行部の断面積、㎟)
d):押出後の冷却が制御され、室温で固溶状態が保たれた材料に適用してもよい。
e):質別Oの材料は、質別T42またはT62の材料の基礎となるものであり、注文者からの要求がある場合は、注文者において適切な熱処理をした場合に、質別T42またはT62の材料の性能を保証しなければならない
f):質別T42の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて液体化処理後、十分な安定状態で自然時効硬化処理をした場合に適用する。
また、質別T62の材料の機械的性質は、注文者が質別Oの材料を用いて液体化処理後、人工時効硬化処理した場合に適用する。
ただし、注文者において液体化処理する前に何らかの冷間加工または熱間加工した場合には、規格値より低くなる場合がある。
A6061の物理的性質
質別 | 導電率 (20℃,IACS,%) |
熱伝導率 (25℃,kW/(m・℃)) |
線膨張係数 (20~100℃×10-6) |
縦弾性係数 (×1000Kg/kgf/㎟) |
比重 | 溶解温度範囲(℃) |
T4 | 40 | 0.15 | 23.6 | 7.00 | 2.70 | 582~652 |
T6 | 43 | 0.17 | 23.6 | 7.00 | 2.70 | 582~652 |
A6061の用途
A6061は耐食性に優れる一方で、溶接性に劣ることから以下のような用途に採用されています。
用途例:ボルトやリベット接合の構造用材・自動車用部品など
A6061の使い分け
A6061とA5052の使い分け
A5052は耐食性・溶接性に優れているのが特徴です。
また、強度についてもアルミ合金の中では中程度の数値を示しています。
A6061は耐食性が高く、T6処理を行うことで高い強度を得られますが、溶接接手強度が低い点はデメリットです。
これらを比較すると、強度はA6061のほうが優れており、溶接接手としてはA6061のほうが不向きのため、強度を重視したい場合はA6061を、溶接が必要な製品を作る場合はA5052を用いるのがおすすめです。
A6061とA2017の使い分け
A2017はアルミ合金のなかでも優れた強度を持ち、T6処理を施したA6061よりも強度が高い特徴があります。
しかし耐食性に関しては劣るので、強度を重視したい場合はA2017を、ある程度の強度と耐食性を備えた材料を使いたい場合はA6061を使うのがおすすめです。
こちらの記事はMitsuri Media様の記事を参照しております。
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