バーリング加工のメリットや用途を徹底解説!!
本日はバーリング加工について解説していきます。
メリットや用途など掘り下げていきますので、是非ご覧ください♪
バーリング加工とは
バーリング加工とは、板金に開けた穴の周囲に立ち上がり(フランジ)をつける加工のことで、フランジ加工とも呼ばれます。
板厚の薄い板金に穴をあけてねじをはめ込む場合、穴の開口部に立ち上がりを作る事で、ねじがかかるねじ山を確保し、はめ込みを強化できます。
通常は、板金に下穴をあけ、下穴よりごくわずかにサイズが大きいパンチを押し込みながら、縁の一部を伸ばして立ち上がりを作ります。
バーリング加工は「ふつうバーリング」と「しごきバーリング」という2つの方法に分類されます。
ふつうバーリングは、加工する材料の板厚と同じ寸法でクリアランスを取って加工する方法です。
通常の製品図に表記されているバーリング寸法の穴径(dm)と高さ(h)を元に、下穴径(d)を求めます。
しごきバーリングでは、板厚よりも約60~70%ほど小さいクリアランスを取ります。
その結果、材料が圧縮されて立ち上がりの厚みを均一化することができます。
多くの場合、ねじ山を増やすこと、ピンやパイプをはめ込めるようにすることなどの目的でバーリング加工が採用されます。
設計業界では、ねじ山は最低でも3山かかるようにするのが一般的ですが、板厚が薄い場合など3山確保できない場合、バーリング加工の指示が出され、ねじの3山分が確保されます。
バーリング加工で対応できない場合
板金の板厚や素材の種類によっては、バーリング加工ではねじを通して固定するのに不十分な場合があります。
その場合、バーリング加工した穴にタップ加工を追加する方法が有効です。
タップ加工を施すことを「タップを切る」と言い、ねじをはめ込むためにタップと呼ばれる工具を使って、穴の内側にねじがかかる凹凸(ねじ山)をつけます。
●タップ加工の手順
①タップハンドルにねじ穴と同じサイズのタップを取り付ける
②タップを穴に垂直に立てる
③潤滑油を穴にかけながら丁寧に左右半周ずつねじを切っていく
バーリング加工の用途
ねじ穴としてのバーリング加工:電子機器、家電など
パイプ結合のためのバーリング加工:ビルなどの建築配管・サニタリー配管、大型真空容器、エネルギー供給パイプライン、構造物ポール、食品業界など
食品業界では、バーリング加工の滑らかな形状によって、配管が詰まりにくく汚れにくいという点から、調味料の製造などの場面で加工製品が多く取り入られています。
他にも幅広い分野や場所で使用されており、今後も高い需要が見込めます。
永久結合
バーリング加工を応用する方法として永久結合があります。
永久結合は、2枚の板金を一度にバーリング加工することで結合する方法です。
具体的には、穴の縁を円錐状に面取りする皿もみ加工と組み合わせ、溶接の様に永久的に結合させます。
材料の一部に金型を押し当てて、突起を成形するまでの作業をタレットパンチプレス加工(NCT)一台で行うことができ、効率が上がります。
パイプの結合
バーリング加工を用いたパイプ結合は、丸パイプなどに使用されます。
従来の溶接よりも欠陥が出にくく、分岐部を母管から直接塑性加工ができる点が特徴です。
バーリングの高さを利用し、丸パイプの方を穴に通す方法が一般的で、パイプに傷がつかないようにバーリングの角を取って丸くすることも有効です。
バーリング加工の指示方法
図面
図面におけるバーリング加工指示は、通常はねじ径(呼び寸法)とバーリングの立ち上がり方向を明記します。
例えば「M2バーリング(紙面表側方向突き出し)」といった内容です。
もしタップ加工が必要な場合、タップの指示を別途明確に入れる必要があります。
その場合、「M2バーリング、タップ加工、並目(紙面表側方向突き出し)」といった書き方がわかりやすいでしょう。
3Dデータ
近年では、2Dの図面だけではなく3DCADデータで設計する企業や製作所が増えています。
発注時に3Dデータを使用すると、材料全体を図面上で回転でき、形状の認識が瞬時に可能です。
図面と共に3Dデータを提出するとスムーズです。
バーリング加工のメリット
汚れがたまりにくい
パイプ結合のバーリング加工における大きなメリットの一つが、汚れがたまりにくい点です。
一般的な溶接では母材と分岐部の付け根が角となり、汚れがたまりやすくなります。
この部分は水などを当てる洗浄では落としづらく、ブラシなどを使って汚れを取る必要があります。
一方、バーリング加工では付け根部分はR状になるため、汚れがたまりにくく、洗浄時に汚れを取ることも簡単です。
低コストで強固なねじ穴の作成が可能
バーリング加工では、ひずみなど元の材料への影響が少なく済むため、低コストで強固なねじ穴が作成できます。
ねじ穴を作る方法にはカシメナットや溶接ナットを穴部に取り付ける等方法はありますが、どれも追加部品が必要で、コストがかかってしまいます。
一方バーリング加工では、追加部品は不要で、比較的加工も簡単であるため低コストで済みます。
複雑な設計にも対応できる
一つの配管にいくつもの分岐を作る際、バーリング加工によって高い結合状態を保つことができます。
そのため、イベントや建築ショーの展示物など、より複雑な設計にも対応が可能です。
バーリング加工のデメリット
ねじのつけ外しが多い箇所には向かない
バーリング加工は、ねじの締結力を安いコストで上げることができる一方、ねじのつけ外しが多い場所には不向きです。
ねじ山はたくさん作ることができず、つけ外しを繰り返しているうちにねじ山をつぶしてしまう可能性が出てきます。
ねじ山はつぶれるとねじとして使えなくなってしまうため、このような箇所への使用は避けるべきでしょう。
材質は硬いものに限られる
バーリング加工は材料の一部を伸ばして使うため、硬い素材が適しており、柔らかいアルミなどの材質は避けた方が無難です。
どうしてもねじ固定が必要な場合は、締結不良にならないようカシメナットなどの使用を検討すると良いでしょう。
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