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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

マシニングセンタの縦型と横型の違い

本日はマシニングセンタの縦型と横型の違いについて検証していきます!
是非ご覧ください♪

必達試作人
必達試作人
アスクはマシニングセンタも所有しております

基本構造の違い

縦型マシニングセンタの構造と特徴

縦型マシニングセンタ(Vertical Machining Center、略称VMC)は、主軸が垂直方向に配置された構造の工作機械です。
テーブルが水平に設置され、ワーク(加工対象物)をその上に固定して、上から下へ工具が動いて切削を行います。
この構造により、重力の影響でワークの固定が安定しやすく、工具交換や段取り作業も視認性が高く容易に行えるという利点があります。
縦型の最大の特長は、構造が比較的シンプルであり、初期導入コストが低い点にあります。
設置面積もコンパクトであるため、中小規模の工場や限られたスペースでの導入に適しています。
また、操作性にも優れており、特に作業者が機械操作に不慣れな場合でも、扱いやすい構造になっています。
縦型マシニングセンタは、電子部品や医療機器、自動車の小物部品など、比較的小さな部品の加工に多く使われています。
段取り替えが容易なため、多品種少量生産にも向いており、試作品の加工や短納期対応にも柔軟です。
反面、加工できる面が主に上面または垂直面に限定されるため、複数面の加工が必要な場合には段取り替えやジグの工夫が必要になります。
切りくず処理においては、切削時に発生する切りくずがワークの上に堆積しやすいため、こまめな清掃やエアブローが必要となる点には注意が必要です。
この点は、後述する横型との大きな違いの一つです。とはいえ、縦型のコストパフォーマンスの高さと使い勝手の良さから、多くの加工現場で幅広く採用されています。

横型マシニングセンタの構造と特徴

横型マシニングセンタ(Horizontal Machining Center、略称HMC)は、主軸が水平方向に配置された構造の工作機械です。
ワークは主にロータリーテーブル(B軸テーブル)やパレット上に固定され、横から工具が進入して加工を行います。
主軸が水平方向にあることで、加工中に発生した切りくずが自然と重力で下に落ちる構造となっており、加工エリアが常にクリーンに保たれやすいという利点があります。
横型のもう一つの大きな特長は、ワークの多面加工に対応しやすい点です。
B軸付きのロータリーテーブルを活用することで、ワークを回転させながら異なる面を一度の段取りで連続して加工することが可能です。
これにより、段取り回数が減少し、加工精度の向上と工数の削減が実現できます。
特に、工程集約や無人運転が求められる量産現場において、横型の導入は大きな効果を発揮します。
ただし、横型マシニングセンタは構造が複雑で、縦型と比較すると本体価格が高額になります。
また、自動パレットチェンジャーやツールマガジンの装備などで更なるコストが発生する場合もあります。
そのため、導入には十分な設備投資が必要であり、生産量や加工対象に応じた慎重な判断が求められます。
設置面積も縦型より広くなる傾向にあるため、工場レイアウトや搬送経路も考慮する必要があります。
しかし、長期的に見れば、横型は高効率な加工と安定稼働を実現できるため、量産体制を築く企業にとっては非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

加工対象や用途の違い

弊社所有の縦型マシニングセンタ

導入コストの比較

縦型と横型マシニングセンタを導入する際の最大の違いの一つは、その初期導入コストにあります。
一般的に、縦型マシニングセンタのほうが本体価格は低く、装置構成もシンプルであるため、周辺機器のコストも抑えられます。
これに対して、横型は構造が複雑であるうえに、多面加工や自動化運用を前提とした機種が多く、ロータリーテーブルやパレットチェンジャーなどの装備を含めると、初期投資はかなり高額になる傾向があります。
たとえば、縦型であれば1000万円未満からの機種も多く存在し、中小企業や試作専門の工場でも比較的導入しやすいのが特徴です。
一方、横型では2000万円以上が一般的で、さらに自動化装備を整えると1億円近くになることもあります。
そのため、導入の際には、単なる装置価格だけでなく、工場のレイアウト変更費用、ツーリング・治具費用、オペレーターの習熟に要する教育コストなども含めたトータルコストを慎重に検討する必要があります。
また、縦型は初期投資を抑えられる反面、段取り替えの頻度が増えたり、切りくず処理の手間がかかることによって、運用コストがやや高くなる可能性もあります。
逆に横型は、自動化や工程集約によって人件費を抑え、長期的にはコスト効率を高められるポテンシャルがあります。
このように、短期的な導入コストと、長期的な運用コストのバランスを見極めることが、機種選定において非常に重要です。

加工精度と加工能力の違い

縦型と横型マシニングセンタの違いは、加工精度や加工能力にも表れます。
一般的に、横型マシニングセンタは構造的に剛性が高く、振動を抑えた安定した加工が可能であるため、加工精度の面で優れていると評価されています。
特に、長時間にわたる連続加工や重切削を伴う工程では、その差が顕著に現れます。
横型ではB軸テーブルによってワークの姿勢を変えながら多面加工を行えるため、段取り替えなしで複雑な形状の加工が可能です。
これにより、再位置決めによる精度低下のリスクを回避し、高い同軸度・平行度・直角度を確保しやすくなります。
また、加工中に切りくずが重力で自然に落下する構造も、加工面の清浄性を保ち、加工精度に好影響を与える要因の一つです。
一方、縦型は構造がシンプルでコンパクトな反面、加工方向が主に上から下の一方向に限定されるため、多面加工には不向きな面があります。
複数の面を加工するには、ワークを手動で段取り替えする必要があり、その都度、位置精度や芯出しに注意しなければなりません。
そのため、工程が多くなるほど、累積誤差が発生しやすくなります。
ただし、縦型でも高精度なリニアガイドや最新制御装置を搭載することで、かなりの精度を実現できる機種も存在します。
また、比較的小型の部品加工や、精度要求がさほど厳しくない用途においては、縦型で十分対応可能です。
加工精度と能力に関しては、対象となる部品の大きさや形状、精度要求に応じた選定が不可欠です。

縦型と横型の比較表

項目 縦型マシニングセンタ(VMC) 横型マシニングセンタ(HMC)
主軸方向 垂直(上から下へ工具が動く) 水平(横から工具が進入)
ワーク固定方式 水平テーブル上に固定 パレットまたはB軸ロータリーテーブルに固定
特徴 構造がシンプル・視認性が高く操作が容易 多面加工が可能・無人化や自動化に適している
切りくず処理 ワーク上に溜まりやすい、清掃が必要 自然に落下しやすく清潔を保ちやすい
加工対象 小物部品(電子部品、医療機器、試作品など) 中〜大型部品や多面加工が必要な部品
段取り 多面加工には段取り替えやジグが必要 B軸回転で段取り回数を削減可能
導入コスト 比較的安価(1000万円未満から) 高額(2000万円〜1億円程度)
設置面積 コンパクトで省スペース 広い設置スペースが必要
運用コスト・生産効率 段取り・清掃の手間あり 無人化や工程集約により高効率
適した生産形態 多品種少量生産、試作など 少品種大量生産、自動運転ライン

生産性と加工効率の違い

マシニングセンタ

生産性の違い

生産性とは、限られた時間・人員・資源の中でどれだけ多くの製品を効率的に生産できるかを表す指標です。
この観点から見ると、横型マシニングセンタは縦型に比べて圧倒的に高い生産性を実現できます。
横型マシニングセンタは、多面加工に対応したB軸テーブルや自動パレットチェンジャー(APC)などの自動化機能を備えることが多く、無人運転や24時間稼働に適しています。
これにより、段取り替えやワーク交換にかかる時間を最小限に抑え、稼働率を最大限に高めることができます。
工程集約が可能なため、複数工程を一台の機械でこなすことも可能で、作業効率と生産性が大きく向上します。
一方、縦型マシニングセンタは多品種少量生産や試作などに適しているものの、段取り回数が多く、作業者の介入も頻繁に必要です。
これは、生産サイクルの効率が落ち、トータルの生産数量が限定される要因となります。
特に、再段取りや切りくず清掃に時間がかかることで、実稼働時間が短縮され、生産性の低下に繋がることがあります。
したがって、生産性を重視する量産ラインや自動化工場においては、横型の方が圧倒的に有利です。
一方、柔軟性が求められる現場では、縦型の生産性でも十分に対応可能なケースが多いです。

加工効率の違い

加工効率とは、加工1回あたりの時間や工程をいかに短縮・簡素化できるかを指し、段取り・切削時間・工具交換時間などの最適化が重要な要素です。
横型マシニングセンタは、段取りを減らせる構造に加えて、切りくずが自然落下するため、加工途中での干渉や清掃の中断が少なく、連続加工に向いています。
また、B軸テーブルによりワークの向きを自動で変えられるため、複数面の加工が一回の段取りで完了します。
これにより、作業時間の短縮と同時に、累積誤差の発生リスクも抑えられます。
さらに、自動工具交換装置(ATC)やツールプリセッターとの連携により、加工サイクル中の無駄な時間を極限まで削減することが可能です。
これらすべてが加工効率の向上に貢献します。
一方、縦型マシニングセンタは、ワークの加工面が上面に限定されやすく、複数面の加工には段取り替えや再固定が必要になります。
工具交換やセッティングの頻度も増えるため、加工1回あたりの工数が増える傾向があります。
ただし、加工面が常に見やすく、セッティング作業がしやすい点は、初心者や短時間の加工には大きなメリットです。
したがって、加工効率の面でも横型の方が有利とされますが、短時間の簡易加工や限定的な用途では縦型の効率も十分に通用します。

縦型と横型の選定ポイント

マシニングセンタの選定においては、単にスペックや価格だけでなく、加工内容や生産形態、自社の製造体制との適合性を総合的に判断することが重要です。
以下に、縦型と横型の選定時に考慮すべき主なポイントを紹介します。

加工対象の大きさ・形状・数量

・縦型(VMC) は、比較的小型で単純形状の部品を短期間で多品種加工するのに適しています。
特に試作や少量多品種生産を行う現場では、段取りのしやすさや導入コストの低さが大きなメリットになります。

・横型(HMC) は、ワークの多面加工が必要な場合や中〜大型部品を長時間・高精度で加工する必要がある場合に有利です。
工程集約や無人運転を視野に入れる場合には、横型が適しています。

生産効率と自動化の必要性

・縦型は、立ち上げが早く、段取りや操作も容易なため、短納期での対応力に優れています。
ただし、加工工程が増えると手動の段取り替えが必要になるため、工数や精度への影響を考慮する必要があります。

・横型は、B軸テーブルやパレットチェンジャーによって複数面の自動加工が可能で、少人数・長時間稼働に対応できます。
量産体制や自動化を進める企業には最適です。

設備投資と将来性

・初期投資を抑えつつ、迅速に生産を始めたい場合は縦型が有利です。
特に小規模な工場や事業の立ち上げフェーズでは、費用対効果が高い選択肢となります。

・長期的な視点で、安定した高効率の生産体制を構築したい場合は、横型の導入によって工数削減と品質安定を図ることが可能です。
設備投資の回収計画も含めて中長期の経営戦略に基づく判断が求められます。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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