LINEでお問い合わせ

試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

金属の性質や特性について解説します!!

本日は金属について解説していきます!
性質や特性など詳しく解説していきますので、是非ご覧ください♪

必達試作人
必達試作人
金属について学んでいくがよい!

金属の5大特性

金属

金属は、加工性と実用性という観点から、重要な5つの特性を備えています。
・押し広げたり伸ばしたりといった「展延性」
・構造材として使えるほどの「強度」
・常温・常圧で固体(水銀を除く)でありながら熱に融ける「溶融性」
・電気や熱をよく伝える良導体が多く、「導電性や熱伝導性」が高い
・金属特有の「光沢」

金属が昔から今まで広く普及してるのは、このような様々な特性から金属が扱いやすく役に立ったからです。

金属が常温で固体であり、優れた展延性と溶融性を持つことは、金属を加工しやすくした1つの理由でしょう。
また、金属の強度に関する多様性や良導体の存在は、用途を広いものにしています。
さらに金属光沢は、美しいというだけでなく、鏡に利用できるという点でも有用です。

展延性

展延性は、材料が割れたりちぎれたりせず、柔軟に変形する性質を指します。
展性と延性という性質をまとめたものだといえばよりわかりやすいでしょう。

展性は、圧縮する力を加えたときに変形する性質です。
具体的には、展性に優れた金属は、ロールで延ばす圧延などによって板状や棒状に成形することができます。

一方、延性は材料に引っ張る力を加えたときに変形する性質のことを表します。
例えば針金は、延性の高い金属の塊を穴のあいた金型に固定し、金属の一端を金型の穴から引っ張ることで成形されます。

展性と延性について、一概に一方が高ければもう一方も高いわけではありませんが、プレスなどの加工方法では両方の性質が重要になってきます。
プレスは一見すると、金属を金型で上下から挟み込むため、展性のみに左右されるように思えます。
しかし、金型は複雑な形状をしていることがあるため、ある部分では圧縮し、他の部分では引っ張っているといったことがあるのです。

このように、展延性が高いほど金属の加工性は上がりますが、それは同時に金属が柔らかいことを意味します。
用途にもよりますが、金属の強みは加工性と硬さなどの強度とのバランスが良いものを選択できることにあります。

強度

金属は、人間が扱ってきた様々な材料の中でも強度が高い物質だと考えられています。
しかし、一概に金属の強度といっても、硬度や靭性、脆性、剛性など、強度には多くの種類があります。

硬度

硬度は、材料の変形しにくさや傷つきにくさを表します。
実際には金属の硬度は、圧力が加えられたときのくぼみの面積や深さから評価されます。

硬度は、構造を保持する金属などに用いる場合には重要な指標です。
しかし、硬度が高いほど展延性は低くなり、切削などの加工も難しくなるため加工性は下がります。

また、一般に硬度が高い金属は脆くなる傾向があります。

脆性

脆性は材料の脆さを表し、脆性が高いほど変形せずに割れやすかったり壊れやすかったりします。
変形せずに破壊してしまう性質なので、脆性が高いほど展延性は低くなります。

靭性

靭性は、脆性とは逆に、材料の破壊しづらさを表す指標で、粘り強さを表すとも言い換えられます。
それは例えば、長い期間金属に圧力を加え続けたとき、少しずつ変形していくものの破壊するまでには至らない。
このような金属が靭性が高いといわれます。

また、靭性が高いほど展延性は高いですが、かと言って柔らかいというわけではありません。
金属、特に鉄鋼などは、靭性が高いうえに硬度もある材料であるために、これほどまで広く普及しているのです。

剛性

剛性は、歪みにくさや弾性変形のしづらさを表す指標です。
つまり、材料に力を加えたとき、元の形状に戻るような変形範囲での変形しづらさを表します。

金属に力を加えて変形させても、力を抜けば金属は元の形状に戻ります。
しかし、加える力を大きくしていくと、一定の大きさの力を超えた時点で変形は固定(塑性変形)し、元の形状に戻らなくなります。
元の形状に戻る変形を弾性変形と言い、弾性変形に抗う性質を剛性といいます。

剛性は、加工時の被削材の変形しにくさでもあるため、加工精度にかかわる性質でもあります。
ただしほとんどの場合、問題となるのは材料の剛性ではなく工作機械の剛性の方です。
工作機械の剛性が低い場合、加工中の工具は材料との接触により弾性変形してしまいます。
そのため、設計した寸法まで加工したつもりでも、工具の弾性変形の分だけずれてしまう可能性があるのです。

溶融性

金属が常温で固体であり、かつ熱で溶けることも、金属を利用するときや加工するときに重要となります。
鉄とアルミの融点はそれぞれ1540℃と660℃ですが、これらは人工的に得られる温度でありながら、常温とかけ離れている温度です。

そのため金属は、溶かした金属を型に流し込む鋳造という加工法で、複雑な形状を簡単に成形できます。
そして冷やされて出来上がった金属製品は、溶けてしまったり柔らかくなってしまったりといった心配をすることなく利用できます。

また近年では、レーザーによって金属を融点や沸点まで容易に加熱できるようになっています。
これにより、金属の切断や穴あけ、溶接など、多様な加工が可能になっています。

導電性・熱伝導性

金属の電気や熱に対する伝導性の高さも、非金属にはない重要な特性です。
例えば、銅やアルミが電線や電子機器の銅線などに、鉄やアルミなどが熱交換器やフライパンなどの調理器具に用いられています。

一般に非金属材料の伝導性は、金属の10~100分の1と低いので、近年に至るまで導電性・熱伝導性を活かした材料は金属だけでした。
最近では、導電性高分子材料などが開発されていますが、コストや性能の面から用途は限られているようです。

一方、金属における電気の伝導は金属中の自由電子によって、熱の伝導は自由電子と金属原子の振動の伝達によって実現されています。
しかし、不純物が多い場合や高温である場合を除き、熱の伝導も自由電子の寄与がほとんどです。
そのため、導電性が高い金属は熱伝導性も高い傾向があり、伝導率は共通して上から銀、銅、金、アルミという順番になっています。

銀の伝導性が最も高いのですが、、コストの面から工業材料としては銅が多く使われています。
しかし近年では、より低コストで新たな合金が開発されているアルミへの代替も進んでいます。

光沢

金属光沢という特性もまた、金属の実用性に大きく貢献しています。

金属光沢はよく磨いた金属表面に現れる性質ですが、これは金属が可視光のほとんどを反射する性質を持っていることに由来しています。
特に銀は、可視光の全域で反射率が高いため、鏡として利用するのに最適な材料となっています。

一方、非金属でも光沢をもつ材料はあります。
しかし、ガラスの光沢や宝石の光沢など、金属の代替となるものではありません。

金属結合とは

イオン結合

イオン結合は、電子を放出または受け取りやすい原子同士で生じます。
電子を放出した原子は正電荷に帯電して陽イオン、電子を受け取った原子は負電荷に帯電して陰イオンになります。
この陽イオンと陰イオンが静電気力によって引き合い結合することをイオン結合といい、イオン結合によって形成された結晶をイオン結晶といいます。

例外もありますが一般に、金属原子が陽イオンに、非金属原子が陰イオンになります。
つまり、イオン結合はおおよそ、金属原子と非金属原子が結合するときに起こります。
代表的な例には塩(NaCl)がありますが、赤サビ(Fe203)や黒サビ(Fe304)といった酸化鉄、銅のサビである酸化銅(CuO)もイオン結合で生じます。

イオン結晶はおおよそ、硬いことが多いですが脆くて壊れやすい性質を持ちます。
それは、結晶が結合してしている面でずれたとき、静電気力による反発が起こるためです。
また、固体の状態では電気を通しませんが、融点を超えて液体になった状態や水溶液に溶かした状態では電気を通します。

共有結合

共有結合は、電子をひきつけやすい原子が同様な性質を持つ原子と電子を共有することで生じます。
この結合は、おおよそ、非金属元素間で生じ、分子を形成します。
また、同種元素間で最も強く結合します。
なぜなら、異種元素間だと電子を引き付けようとする度合いが異なり、共有した電子の位置の偏りが生じるためです。

例としては、酸素(O2)や水素(H2)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)などが挙げられ、ほとんどが常温・常圧下で気体の状態をとります。
それに伴い、融点や沸点は極めて低くなっています。

しかし近年では、常温で固体であり軽量かつ高強度な炭素繊維などの共有結合で結びついた材料が開発され、航空機や鉄道車両などで金属材料との代替が進んでいます。
融点も3650℃と高く、導電性や熱伝導性にも優れるため、超高温環境で用いられる電子機器などへも用途があります。
しかし、高価で加工が困難なため、金属との代替は限られたものとなっています。

金属結合

金属結合は、金属が陽イオンになりやすいことから生じます。
金属が集合すると、各原子は集合体内に電子を放出。
これを共有し合うことで金属は安定します。
ちなみにこの安定は、量子学的な効果に由来し、電子の位置に自由度があるほど、その運動性に自由度が増すことから来ています。

この共有された電子は自由電子と呼ばれ、この自由電子によって金属の様々な特性が実現されています。

例えば高い導電性・熱伝導性は、その伝導を担う自由電子が一つの原子に束縛されないことによります。
金属光沢もまた、自由電子の存在に由来します。
様々な大きさのエネルギーを吸収できる自由電子は、広範囲の波長の光を吸収することができ、即座に光を放出します。
この高い反射性が、金属に光沢を生み出しています。

金属の高い展延性も、金属結合の仕組みに由来しています。
金属結合では、結合に貢献している電子でも、近くの電子と位置を交換したり移動したりできます。
そのため、金属は力を加えて結合面がずれても、ずれたところで原子同士は再結合できます。
それにより、金属は変形しやすくなっています。

また、鉄に炭素を加えると硬くなるように、金属は異種金属を加えると展延性が下がり硬くなる傾向があります。
これは、力を加えたときに生じるずれが異種金属によって抑えられるためです。
金属はこのほか、欠陥や転位(線上の欠陥)が内部にあっても硬くなりますが、異種金属はこれらの欠陥を働きにくくするため、さらに硬度を向上させます。

金属の代表的な種類

鉄は、人類が最も広く大量に利用している金属です。
ですが、実際に使用されている鉄のほとんどは炭素を0.02%~2.1%含んだ銅、及び炭素を2.1%~6.7%含んだ鋳鉄と呼ばれる材料です。
工業的に利用される鉄鋼材料には、さらにシリコンやマンガンなども少量含有されており、用途に応じて多様な合金が用いられています。

例えば、自動車に用いられる高張力鋼(ハイテン)と呼ばれる鋼材では、炭素の添加量や合金元素を調整するだけでなく、加工中の温度を調整することで結晶構造や組織までをも制御しています。

このように鉄鋼は、多様な種類がありますが、おおよそ共通して靭性と加工性を両立している加工しやすい材料です。
しかし、湿気によってサビを生じ、酸によって溶解することがあるので防サビなどの処置が必要不可欠となっています。

アルミニウム

ジュラルミン

アルミニウムは、比重が鉄の約3分の1と軽い金属ですが、柔らかいために合金にして用いることが多い金属です。
例えば、アルミニウムに少量の銅などを加えたジュラルミンは、航空機の構造材に使用されるほど高強度になります。

特性としては、耐食性に優れる、毒性がない、伝導性が高いなど豊富な利点を持っています。
そのため、食品容器や電線などに広く用いられ、強度の高い合金では車両や船舶、航空機などに使われています。

一方、合金の種類によって違いはあるものの、一般に加工性が高く、プレス成形や鍛造、切削に押出成形、鋳造など、多様な加工法で対応することができます。

ステンレス

ステンレスは鉄鋼の一つであり、鉄鋼の中でも特殊鋼と分類される金属です。
具体的には、炭素含有量1.2%以下、クロム含有量10.5%以上の鋼と定義されます。

特性は、表面に酸化被膜を形成するため錆びにくく、鉄よりも硬く靭性があります。
そのため、鉄よりも高い展延性を活かした圧延やプレス成形に向いている一方、切削は鉄よりも困難になります。

用途としては、サビに強いだけでなく低コストでもあるため、サッシや屋根、門扉、エスカレーターなどの建材、また台所のシンクなど、水回り製品によく用いられています。

ステンレスには多く種類がありますが、代表的なものにはSUS304があります。
SUS304には18%のクロムと8%のニッケル、マンガンなどを少量含有しており、ステンレスの中では加工性が良いとされています。

銅は、電気や熱の伝導性が非常に高い金属で、展延性も高いことから加工性にも優れています。
また、殺菌作用や光沢の美しさ、耐食性から身の回りの製品に多く使用されています。
これらの特性から、食器や調理器具などのキッチン用品などに用いられており、高級感のある製品として一定の需要があります。

銅の耐食性ですが、これは赤褐色の純銅表面に褐色や黒色の酸化銅による酸化被膜が生成され、青緑色の炭酸銅になることで発揮されます。
この炭酸銅は緑青(ろくしょう)と呼ばれており、内部の腐食を防ぐ効果や抗菌効果があります。
ですが、緑青は日本では昭和後期まで毒性があると考えられていました。
しかしこれは誤りであり、その毒性は現在では完全に否定されています。

銅は上述したように、その高い導電性から電線や電子機器の銅線などに用いられています。
銅は柔らかいため、これを克服した亜鉛との合金である真鍮や、スズとの合金である青銅が生み出されました。

真鍮

真鍮は、銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上のものを言います。
真鍮で作られている5円硬貨などのように、黄金色に近い黄色を示すため黄銅とも呼ばれています。

また真鍮では、亜鉛の含有量を変えたり他の元素を添加したりすることで、多様な合金が作られています。
例えば、亜鉛が約30%七三黄銅、亜鉛が約40%の六四黄銅などがあります。
一般に亜鉛の含有量を増すごとに硬くなりますが脆さも増すため、含有割合45%以上では実用に適していません。

特性としては、導電性・熱伝導性が高く、展延性に優れています。
硬度も高すぎるということはないため、切削加工しやすく高度な精密加工を必要とする部品の素材として用いられています。
ただし腐食が早く、放置しているだけでも含有している銅で黒色に変化していきます。

用途は多種多様で、コネクターやコンセント、ねじやボルト、時計の精密加工部品など、身の回りの様々なところで使用されています。

金属加工の見積り依頼ならアスクへ

試作品や小ロットの加工も大歓迎!
特に手のひらサイズの部品製作を得意としています。
アスクなら、試作品のお見積もりが最短1時間で可能!!
お気軽にお問い合わせください。

試作全国対応!
簡単・最短1時間お見積り

アスクならこんなお困りごとを解決します!

  • 他社では納期が間に合わないと言われた
  • 急な設計変更があった
  • 他社ではできないと言われた
  • 海外調達品の手直し・追加工
今すぐ無料でお見積りを依頼する

もっとアスクの事を知りたい!という方は
こちらもご覧ください!


株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
知っているようで知らない加工に関する知識をお届けします!

ブログ記事も投稿しておりますので是非ご覧ください♪



他の動画ご覧ください♪