プリハードン鋼のメリットや用途など解説します!
本日はプリハードン鋼のメリットや用途について、解説していきます。
製造業の方にとっては当たり前のことかもしれませんが、是非ご覧ください♪
プリハードン鋼の種類と特性
プリハードン鋼とは、あらかじめ中程度の硬度に熱処理をした鋼材のことを言います。
JIS規格にはない鋼材で、名称はHPMxx、NAKxxなど、鋼材メーカーにより様々で、細かい特性などもメーカーによって違いがあります。
プリハードン鋼の多くは、機械加工がしやすいように、HRCが45以下程度の硬度に調整されているのが特徴です。
材料として用いる段階から硬度があるため、そのまま製品として用いたり、加工したりする場合もあります。
材質名称 | 硬度 | 特徴 |
HPM1 | HRC37~41 | 被削性 |
HPM7 | HRC29~33 | 被削性・溶接性・靭性・鏡面仕上げ性 |
HPM-MAGIC | HRC37~41 | 切削加工性・溶接性・靭性 |
NAK55 | HRC37~43 | 被削性・溶接性・鏡面仕上げ性・シボ加工性 |
NAK80 | HRC37~43 | 被削性・溶接性・耐摩耗性・靭性・鏡面仕上げ性・シボ加工性 |
G-STAR | HRC31~34 | 被削性・鏡面仕上げ性・シボ加工性・耐食性・熱処理可 |
S-STAR | HRC31~34 | 鏡面仕上げ性・耐食性・シボ加工性・熱処理可 |
DH2F | HRC37~41 | 被削性・耐溶損性 |
GO40F | HRC36~40 | 被削性・加工歪の低減 |
プリハードン鋼のメリットとデメリット
プリハードン鋼のメリット
プリハードン鋼の多くは、HRC45以下程度の硬度がありながらも、被削性に優れています。
また、機械加工後に焼入れ・焼戻しといった熱処理を行う必要がなく、作業工程およびコストの削減につながる点もメリットです。
通常SC材などの鋼材を使うと、焼入れや焼戻しが必要な場合でも、プリハードン鋼であれば熱処理の必要がなくなり、納期の短縮が期待できます。
焼入れ・焼戻しをせずに使用できるため、熱による歪みを考慮する必要もありません。
また、製品によっては、鋼材の芯部分にまで焼きが入っているものもあります。
通常の熱処理であれば、表面は硬くても、芯までは焼きが入りにくいです。
しかし、プリハードン鋼であれば、硬度の差が少なく、切削しても硬度のムラが少ないのが特徴です。
プリハードン鋼のデメリット
プリハードン鋼のデメリットとしては、機械加工が難しくなるHRC50を超えるような製品は、ほぼ販売されていないことです。
その他にも、熱処理をしても硬度が上がらない製品があります。
硬度が上がらない製品として挙げられるのが、NAKxxの鋼材です。
これはNAKxxの鋼材が、「時効硬化」または「析出硬化」と呼ばれる方法で硬度を上げているためです。
時効硬化・析出硬化とは、急冷した合金の時間経過による常温化により、合金元素がところどころに析出し、材料が硬くなる現象のことです。
このようにNAKxxの鋼材は、通常の熱処理とは異なる方法で硬度を上げていることから、焼入れ・焼戻しをしても硬度が上がりません。
プリハードン鋼の用途
プリハードン鋼は、主にプラスチック金型用、もしくは研削加工用として使用されています。
鋼材の種類によっては、ゴム金型や自動車部品、家電製品などに使われることもあります。
また、以下のような場合には、SC材の代わりに用いることがあります。
SC材の代わりに用いるケース
・熱処理による材料の変形や、寸法の変化をを避けたい場合
・焼入れ・焼戻しの作業工程を減らし、コストの削減と納期の短縮を求める場合
・要求される硬度が、そこまで高いものを必要としない場合
上記のような場合にプリハードン鋼を代用すれば、SC材を使うよりも使い勝手が良く、コスト面などでも恩恵を受けられるかもしれません。
SC材の硬度調整でお悩みの方は一度プリハードン鋼の検討もしてみてはいかがでしょうか?
【S45C】プリハードン鋼材での代用おすすめ例
S45CのHRC30指定の様に、硬度が通常の熱処理硬度よりも低く、かつ調質硬度より高い場合、プリハードン鋼を代用してみるのも一つの方法です。
S45Cの調質硬度は一般的にHRC20~25程度のため、焼入れ・焼戻しをして硬度を合わせる必要があります。
しかし、プリハードン鋼を利用すれば熱処理をする必要はなく、コストと時間の削減が可能です。
プラスチック金型や研削加工用としてだけでなく、上記のような状況でもプリハードン鋼は活用できます。
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