NC旋盤の種類について解説していきます!
本日はNC旋盤の種類をわかりやすく解説していきます!
是非ご覧ください。

NC旋盤とは
NC旋盤の基本構造
NC旋盤(Numerical Control旋盤)は、数値制御によって自動的に切削加工を行う工作機械です。
基本的には、旋盤としての機構を持ちながら、操作を数値によって自動化している点が最大の特徴です。
主軸、チャック、刃物台、送り機構などの基本構造は汎用旋盤と共通していますが、そこにサーボモーターや制御基板、操作パネルが組み込まれることで自動制御が可能になります。
NC旋盤では、加工プログラム(Gコードなど)をもとに、工具の移動や主軸の回転、切込み量などを制御します。
作業者は一度プログラムを作成・入力すれば、同じ加工を繰り返し正確に行うことができるため、量産加工や高精度な部品の製造において強みを発揮します。
構造面では、主軸が材料を回転させ、刃物台に取り付けたバイトが直線的に移動して切削を行います。
Z軸(縦方向)、X軸(横方向)の2軸制御が基本で、より高機能なNC旋盤ではY軸やC軸、B軸の制御も可能です。
これにより、複雑な形状加工や偏心加工なども実現可能になります。
また、近年ではデジタル表示やタッチパネルが搭載されており、操作性も向上しています。
加えて、CAD/CAMとの連携によって、3Dデータから直接加工データを生成することも一般化しつつあります。
このように、NC旋盤は、精度・効率・再現性を兼ね備えた現代の工作機械として、金属加工や精密機械産業、航空宇宙、医療機器分野など、さまざまな製造現場で利用されています。
NC旋盤と汎用旋盤の違い
NC旋盤と汎用旋盤は、いずれも材料を回転させて工具で切削するという基本的な加工原理は同じですが、操作方法や用途、精度、作業効率の面で大きな違いがあります。
ここでは、両者の主な違いについて詳しく解説します。
まず、汎用旋盤は操作が手動であり、作業者がハンドルを使って刃物を動かしながら切削加工を行います。
加工には熟練の技術が必要で、作業者の経験に依存する部分が大きいです。
そのため、試作品の製作や少量生産、単純な形状の加工などには向いていますが、寸法の再現性や量産性には限界があります。
一方でNC旋盤は、加工プログラムを用いて工具の動きや主軸の回転、送り量などを自動制御します。
このため、同じプログラムで何十個、何百個といった製品を同じ精度で繰り返し加工することができます。
作業者の手によるばらつきがなくなり、品質の安定性が飛躍的に向上します。
また、加工時間も大幅に短縮され、生産性の向上につながります。
操作性の面でも違いがあります。
汎用旋盤は操作に熟練を要しますが、NC旋盤は一度プログラムを入力すれば、未経験者でも比較的容易に操作できるようになります。
もちろんプログラムの知識や段取り替えの技術は必要ですが、一度習得すれば高精度かつ高効率な加工が可能になります。
安全性にも違いがあります。
汎用旋盤では手動操作のため、万が一の接触事故や巻き込み事故が発生しやすい一方、NC旋盤では加工中に作業者が直接機械に触れることが少なく、安全性が高いとされています。
このように、汎用旋盤とNC旋盤は「職人の技術を活かすか」「自動制御で効率を重視するか」という点で大きく異なり、使い分けが重要です。
少量多品種の加工では汎用旋盤が活躍し、量産・高精度加工が求められる場面ではNC旋盤の導入が不可欠です。
NC旋盤の加工範囲と用途
NC旋盤は、自動車・航空機・医療機器・半導体・電子部品など、あらゆる産業分野で活用されており、その加工範囲の広さが大きな魅力です。
単に丸棒の外径加工を行うだけでなく、ネジ切り、溝入れ、テーパー加工、内径加工、ねじ山加工など、複雑かつ精密な形状に対応できるのが特徴です。
まず、基本的な加工内容としては「外径加工」があります。
材料の外周を削ることで、一定の径に仕上げたり、段差形状を作ったりします。
また、バイトを用いた「端面加工」や「内径加工」も可能で、素材の端を平らにしたり、穴をあけてその内壁を削ることもできます。
さらに、工具を交換することで「ネジ切り」や「溝加工」も自動的に行えます。
近年では、NC旋盤に複数の工具を取り付けられるタレット仕様や、Y軸やC軸などの複数軸を備えた複合加工機も増えており、同時にフライス加工やドリル加工まで対応するモデルも存在します。
これにより、1台の機械で旋盤加工+穴あけやキー溝加工まで一括で行えるようになり、段取り時間の削減や精度向上が実現しています。
また、対応できる材料も多岐にわたります。
鉄、ステンレス、アルミ、真鍮、チタン、樹脂など、あらゆる素材に対して適切な切削条件を設定することで高品質な加工が可能です。
特にNC旋盤は、切削条件を数値制御できるため、素材ごとに最適な回転数・送り速度を細かく設定でき、難削材の加工にも強みを発揮します。
用途の面では、例えば自動車産業ではエンジン部品、ブレーキ部品、シャフト、ネジなど、形状・精度ともに要求の高い部品の加工に使われます。
医療分野では、インプラントや特殊工具の精密加工に使われることも多く、バリのない清浄な仕上がりが求められます。
電子部品業界では、極小部品や複雑な形状の加工も可能で、高い繰り返し精度が必要な部品の製造にも最適です。
NC旋盤の強みは、「高精度・高効率・高再現性」の三拍子が揃っていることです。
そのため、試作から量産まで幅広い加工ニーズに対応できるほか、他の加工機と連携した自動化ラインにも組み込むことが可能です。
これにより、24時間稼働する無人運転ラインなども現実のものとなっており、今後もNC旋盤の活用はますます広がっていくと予想されます。
NC旋盤の分類
汎用型NC旋盤
汎用型NC旋盤とは、比較的シンプルな構造でありながら、数値制御機能を持たせたNC旋盤の基本形ともいえる機種です。
構造や機能は汎用旋盤に近く、操作性も比較的シンプルなため、初期導入や教育用途にも適しています。
NC旋盤の中では最も標準的なタイプであり、部品加工業を中心に多くの現場で使われています。
このタイプの旋盤は、X軸(工具の前後移動)とZ軸(工具の左右移動)の2軸制御が中心です。
工具は通常、刃物台に1本もしくは少数の工具を取り付け、加工ごとに工具交換を行います。
自動工具交換機(ATC)やタレット式の機構は備えていないか、あっても簡易なものに限られます。
その分、構造がシンプルで故障リスクが低く、保守も容易です。
汎用型NC旋盤の最大の特徴は、「シンプルで扱いやすい」という点にあります。
加工プログラムも比較的単純で、主軸回転・送り速度・切込み量などを数値で制御する程度で済むため、NCの基礎的な知識を学びたい現場や、少量生産を効率的に行いたい工場に適しています。
また、加工物のセットや段取りも手動で行うことが多く、作業者の介入度合いが高いのも特徴です。
一方で、汎用型NC旋盤は自動化・高機能化の面では制限があります。
例えば、多数の工具を用いた複雑な工程や、フライス加工などの複合加工には対応できません。
また、加工途中での自動測定や補正機能なども限定的です。
そのため、大量生産や多工程を一貫してこなすような高度な加工ラインでは、より進化したNC旋盤や複合加工機が選ばれます。
しかし、コストパフォーマンスの面では非常に優れており、小規模工場や個人事業レベルでも導入が可能です。
また、現場の技術者が微調整しながら使うことができるため、「汎用旋盤の延長」としても位置づけられます。
実際、手動の汎用旋盤からの置き換えとして、汎用型NC旋盤を導入するケースも多く見られます。
近年では、この汎用型にも操作パネルがタッチパネル化されていたり、Gコードだけでなく簡易プログラミング(対話型)機能を備えていたりと、利便性がさらに高まってきています。
「手動の感覚を残しつつ、数値制御による安定性と効率を加える」といった形で、非常に実用性の高いNC旋盤として評価されています。
タレット型NC旋盤
タレット型NC旋盤は、NC旋盤の中でも非常に多くの加工現場で使用されている汎用性の高いタイプです。
「タレット(Turret)」とは、回転式の工具台を意味し、この旋盤では工具を円盤状のタレットに複数装着しておき、プログラムに応じて自動で工具を切り替えながら加工を進めることができます。
これにより、段取り時間の短縮と加工効率の大幅な向上が実現されます。
タレット型NC旋盤は通常、8~12本の工具をタレットに装着できる仕様となっており、荒削り・仕上げ・溝加工・ねじ切り・内径加工など、複数の加工工程を1回の段取りで連続して行うことが可能です。
従来の汎用型NC旋盤では、各工程ごとに手動で工具を取り替える必要がありましたが、このタレット機構によって工具交換が自動化され、無人運転にも対応しやすくなりました。
もう一つの大きな利点は、段取りミスや加工ミスのリスクが減ることです。
手動交換ではどうしてもヒューマンエラーが起きやすく、精度のバラツキも発生しがちですが、タレット型ではあらかじめ定義したツール番号に応じて自動で工具が切り替わるため、高い再現性と精度を保つことができます。
また、工具の摩耗や折損にもセンサーで対応できる機種も増えており、トラブルへの対応力も向上しています。
タレット型NC旋盤は、生産性の高さから中量~大量生産に適しており、自動車や機械部品業界など、同一形状の部品を連続して作る現場で特に重宝されています。
さらに、近年ではタレットに駆動工具(モータ付き工具)を搭載できるタイプも普及しており、旋盤加工だけでなく、ドリル加工やフライス加工を1台で行える「簡易複合加工機」としての役割も果たします。
操作においては、従来のGコードによるプログラミングに加え、対話式プログラムやCAD/CAMとの連携によって、より柔軟かつ効率的な加工が可能になっています。
特に多品種少量生産が求められる現場では、段取りの迅速化とプログラムの再利用性が大きな武器となります。
一方で、機構が複雑になるぶん、本体価格やメンテナンス費用は汎用型に比べて高めになる傾向があります。
また、工具のレイアウトや交換のタイミング管理など、より高度な知識や経験も必要です。
そのため、導入にはオペレーターの教育や段取り技術の整備も欠かせません。
とはいえ、加工の自動化・省人化が求められる現代の製造現場において、タレット型NC旋盤はもはやスタンダードともいえる存在です。
中~高精度な部品を効率よく生産したい現場にとって、最適な選択肢となるでしょう。
複合加工機型NC旋盤
複合加工機型NC旋盤(複合旋盤)は、旋削加工だけでなく、フライス加工や穴あけ、タッピングなどの加工も1台で行える高機能なNC旋盤です。
多軸制御を駆使し、1回の段取りで複数の工程を完結できることから、近年では高度な加工が求められる製造現場で急速に導入が進んでいます。
複合加工機型NC旋盤の最大の特徴は、「回転工具(駆動工具)」を搭載している点にあります。
これにより、従来はフライス盤やマシニングセンタで行っていた加工、たとえば側面への穴あけやキー溝加工、ポケット加工なども可能になります。
また、Y軸制御やC軸制御、B軸(工具主軸の傾き制御)などを持つ機種では、さらに複雑な立体加工も実現できます。
もう一つの大きな利点は、ワークの“全加工”ができることです。
従来、旋盤での加工後にマシニングセンタへ移動して追加工を行っていたような部品も、複合加工機型NC旋盤であれば一貫して加工できます。
これにより、段取り回数の削減・精度の維持・工数削減・省スペース化など、数多くのメリットを得ることができます。
代表的な例としては、メカニカルシール部品、タービンシャフト、航空機部品など、工程が多く精度の高い部品の加工があります。
また、医療や精密機器分野でも、複雑な3D形状や微細加工が要求される場面で力を発揮します。
特に多品種少量の生産にも強く、段取り時間が短縮されることで、生産効率を大きく向上させることが可能です。
さらに、自動化対応の高さも複合加工機型の魅力です。
ロボットによる自動ワーク搬送や、バー材供給装置との連携により、24時間無人運転も現実のものとなっています。
スマートファクトリーの一環として、IoT連携・遠隔監視・稼働率管理などにも対応でき、次世代のものづくりに不可欠な設備として注目されています。
ただし、複合加工機型NC旋盤はその高機能性ゆえに、機械本体の価格が高額になりがちで、操作やプログラミングも複雑です。
特に多軸制御を活用するには、3D CAD/CAMとの連携や高度な加工知識が必要になるため、導入後の教育・トレーニング体制をしっかり整えることが重要です。
また、複数の工程を1台で担うため、トラブル時のライン停止リスクも大きくなります。
とはいえ、その高い加工能力と一貫生産性は他に代えがたく、高精度かつ多機能な加工を求める現代の製造業において、非常に強力な選択肢です。
コストを抑えつつ高付加価値な部品を生産したい中堅・大手企業にとっては、まさに理想的なNC旋盤といえるでしょう。
CNC自動旋盤
CNC自動旋盤(CNC自動機、スイス式自動旋盤とも)は、主に細長い棒材を材料として、長時間にわたって連続加工を行うのに適したNC旋盤です。
小径部品や精密部品の量産に特化した構造を持ち、自動車・医療・電子部品業界などで広く使用されています。
「CNC複合自動旋盤」とも呼ばれ、駆動工具や多軸制御を備えた高機能な機種も増えてきています。
CNC自動旋盤の最大の特徴は、ガイドブッシュ構造にあります。
これは、加工中のワークが主軸から常に一定の距離でガイドされる仕組みであり、特に長尺ワークを加工する際に振動やたわみを抑えるのに効果的です。
この構造によって、極めて高精度な加工が可能になるとともに、安定した自動運転が実現できます。
また、CNC自動旋盤は基本的にバー材(丸棒)を材料供給装置から連続的に供給し、加工が終わるごとに次のバー材が自動で送り出されるため、長時間の無人運転が可能です。
工具交換やワーク搬出入の自動化も進んでおり、量産における高い生産性が大きな魅力です。
加工できる内容も年々進化しており、背面加工ユニットやY軸制御、回転工具などの導入により、前後両面の加工や複雑な穴あけ・フライス加工まで対応可能な複合型自動旋盤も登場しています。
これにより、1台で部品の全加工を完結できるケースも多く、部品の精度や再現性も向上しています。
CNC自動旋盤は特に次のような用途に向いています。
・医療用部品(骨スクリュー、インプラント、注射針)
・自動車部品(燃料噴射ノズル、シャフト)
・電子機器部品(コネクタピン、微小ねじ)
・時計・精密機器の内部部品
一方で、CNC自動旋盤は機械構造が非常に複雑であるため、導入コストが高く、操作やプログラミングも専門的になります。
また、加工対象となる材料サイズや形状に制限があり、棒材径が20mm以下の小径品が中心となります。中~大径部品には不向きで、汎用性は限定されます。
それでも、小径かつ複雑な精密部品の大量生産を求める現場では、非常に高い生産効率と精度、そして自動化性能を誇る理想的な設備です。
特に人手不足が深刻な昨今、CNC自動旋盤による無人化・省人化は、製造業における重要なソリューションとなっています。
加工対象や生産体制に応じたNC旋盤の選び方
NC旋盤は非常に多様な種類があり、それぞれに特徴や得意分野が異なります。
したがって、導入の際には「どんな部品をどれだけの数量で、どれくらいの精度で加工するのか」という観点で機種選定を行うことが重要です。
本章では、加工対象や生産体制に応じて最適なNC旋盤を選ぶためのポイントを解説します。
少量多品種生産に向くNC旋盤
近年、特に中小企業を中心に需要が高まっているのが「少量多品種生産」です。
多品種とは、製品バリエーションが多く、1品目あたりの生産数量が少ないことを意味します。
このような生産体制においては、段取り替えの速さや柔軟なプログラミング対応力が求められます。
このようなニーズに適したNC旋盤は、以下のようなものです。
・タレット型NC旋盤(駆動工具付き)
複数の工具を素早く切り替えられるため、工程ごとに工具を手動交換する手間が省け、加工時間の短縮が図れます。
駆動工具が付いていれば、穴あけや軽いフライス加工も可能となり、工程集約が進みます。
・対話式プログラム対応機
プログラムをコードで打ち込むのではなく、画面上の選択操作で設定できる「対話式NC装置」は、段取りのたびに新たな図面に対応する少量多品種に最適です。
・CAD/CAM連携機種
CADデータからNCプログラムを自動生成できる機種もおすすめです。
人手によるプログラム作成の負担を軽減でき、試作や設計変更にも迅速に対応できます。
また、加工途中で試作検証が入る可能性がある場合には、切削速度の調整や送り速度の可変が容易な機種、オペレーターが容易に介入できる開放性の高い機構も重要です。
量産加工に向くNC旋盤
量産加工とは、同じ形状の部品を大量に、かつ一定の品質で安定して生産することを目的とした生産体制です。
このような生産においては、「加工スピード」「自動化」「加工の安定性」が重要な選定基準となります。
加工単価を下げて競争力を高めるには、機械そのものの性能だけでなく、周辺設備との連携や保守性まで考慮したNC旋盤の選定が必要です。
量産加工に向いている主なNC旋盤のタイプは以下の通りです。
◾️ CNC自動旋盤(スイス式自動旋盤)
細長い棒材を連続供給しながら高速で加工するCNC自動旋盤は、小径部品の量産に特化しています。
材料供給装置(バーフィーダー)を備えることで、24時間無人稼働が可能となり、人的コストを大幅に削減できます。
さらに、背面加工ユニットや駆動工具を搭載した複合タイプであれば、複数の工程を1台で完結でき、部品精度のバラつきも抑えられます。
この種の旋盤は、医療機器、自動車の燃料系部品、電子部品など、微細かつ精密な量産部品に最適です。
◾️ 2スピンドル・2タレットNC旋盤
加工速度の高速化と段取りの短縮を両立するには、2スピンドル2タレットタイプのNC旋盤が有効です。
主軸が2つあることで、前後両面の加工を一貫して行えるだけでなく、タレットが2つあることで工具交換時間の削減と同時加工が可能になります。
たとえば、片方の主軸でワークの前面を加工している間に、もう片方で背面の加工が進むといった並列加工ができ、生産サイクルを大幅に短縮できます。
さらに、Y軸やC軸の制御が追加された機種であれば、複雑形状の加工にも対応でき、加工の自由度も高くなります。
◾️ ロボット連携・自動搬送システム対応機
量産においては、「無人化・省人化」が大きなテーマとなります。
そのため、NC旋盤とロボットアーム、パレットチェンジャー、AGV(無人搬送車)などの自動搬送システムとの連携がスムーズに行えるかも重要です。
特に、加工後のワークの取り出しや次ワークの自動供給が一貫して行える環境では、深夜・休日の無人運転が現実となり、生産性を劇的に向上させることができます。
複雑形状や高精度加工に向くNC旋盤
近年の製造現場では、製品の小型化や高機能化に伴い、より複雑な形状や高精度が求められる部品の加工が増えています。
これに対応するためには、単純な旋削加工だけでなく、ミーリング、穴あけ、タップ、さらには複数面にわたる多軸制御加工を1台で行えるようなNC旋盤が必要です。
こうした要求に応えるために用いられるのが、複合加工機能を備えた高機能NC旋盤です。
◾️ 複合加工機(ミーリング機能付きNC旋盤)
複合加工機は、旋削加工とミーリング加工の両方を1台で行えるNC旋盤です。
主軸の回転によってワークを削るだけでなく、工具側にも回転機構(駆動工具)を搭載し、側面や端面にフライス加工、穴あけ、ネジ切りなどの加工を追加できます。
これにより、複数の工作機械を使わずに1台で全加工を完結できるため、精度のばらつきや段取り工数の削減につながります。
特に、C軸(主軸の回転方向制御)やY軸(上下方向への工具移動)を備えた機種では、円周上の任意の位置に正確な穴を空ける、斜め方向にフライス加工を行うなど、複雑形状の部品加工が可能です。
航空機、半導体装置、医療機器など、微細かつ複雑な部品を必要とする業界で重宝されています。
◾️ 高精度対応NC旋盤(熱変位補正・高剛性構造)
高精度加工を実現するためには、機械構造そのものの剛性や、温度による寸法変化(熱変位)への対策も重要です。
近年では、熱変位自動補正機能や熱対称構造設計を取り入れた高精度対応NC旋盤が登場しており、加工中の寸法変動を最小限に抑えられるようになっています。
また、リニアスケールによるフィードバック制御や、サーボモーターの高分解能制御技術を活用することで、ミクロン単位の精度での加工が可能となり、特に公差の厳しい金型部品や精密シャフト、光学部品などの製造に適しています。
◾️ 工程集約による品質と効率の両立
複雑形状や高精度部品の製造では、従来複数の工程に分けて行っていた作業を、1台で完結できる「工程集約」が大きなメリットとなります。
複数工程間での位置ずれやチャック替えによる誤差を防ぎ、段取りミスや加工不良のリスクを低減できます。
また、工程数が減ることでリードタイムの短縮や在庫削減も期待でき、全体の生産性向上にもつながります。
自動化・無人化を重視した選定
現在の製造現場では、「人手不足」や「コスト削減」、「24時間体制での稼働」などを背景に、自動化・無人化へのニーズが年々高まっています。
NC旋盤においても、それに対応したシステム構成や機種の選定が不可欠です。
この項目では、自動化・無人化を前提としたNC旋盤の選び方について解説します。
◾️ 自動供給・排出システムとの連携
無人運転を実現するためにまず必要なのが、材料の自動供給と製品の自動取り出しです。
これには以下のような装置や機能が関係します。
・バーフィーダー(材料供給装置)
主に棒材加工で使用される装置で、NC旋盤へ自動的に材料を供給します。
バー材がなくなるまで連続加工が可能になるため、深夜や休日でも無人運転が可能になります。
・パーツキャッチャー/パーツコンベア
加工が終わったワークを機外に排出し、自動で回収箱などへ移動させる装置です。
搬出動作まで自動化されることで、機械の完全自動運転が成立します。
・ロボットアームとの連携
ワークの着脱、段取り替えなどをロボットが代行するシステムも増えています。
最近では協働ロボット(人と同じ空間で安全に作業できるロボット)との連携も進んでおり、スペース効率も高いのが特長です。
◾️ パレットチェンジャー・治具の自動交換
複数品種を自動で切り替えて加工するためには、ワーク保持用のパレットや治具の自動交換機能も重要です。
NC旋盤にパレットチェンジャーを備えることで、1種類の加工が終了したら、別の品種のワークに自動的に切り替えることが可能となり、夜間や週末の「無人連続多品種加工」が実現します。
また、ツーリング(工具)自体の自動交換機能も併せて導入すれば、さらに柔軟な生産体制が構築できます。
◾️ 稼働監視・遠隔制御機能
無人化を進める上で見落とせないのが、トラブルの発生時に即座に対応できる「監視システム」の導入です。
近年のNC旋盤では、ネットワーク経由での稼働監視やスマートフォン・タブレットによる遠隔通知などに対応したモデルも登場しています。
こうした監視システムにより、工具摩耗や異常振動、加工不良の兆候を早期に検知して知らせてくれるため、機械停止による損失リスクを最小限に抑えることができます。
◾️ 無人化を見据えたレイアウト設計も重要
自動化を意識した設備導入では、機械単体の性能だけでなく、「工場全体のレイアウト設計」も重要です。
例えば、複数台のNC旋盤を並べ、中央に材料供給ロボットを配置することで、1台のオペレーターで複数ラインを管理する体制も実現可能です。
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