プレス機械の種類などを徹底解説します!
本日はプレス機械について解説していきます。
種類や選び方などをご紹介していきますので、是非ご覧ください!!
目次
プレス加工の現場で活躍するプレス機械
プレス機械はプレス加工のための機械です。
金属の板材を金型に挟み、強い力をかけることで製品を成形。
加工速度が速く、同じ部品の大量生産に向いています。
多彩なプレス機械を組み合わせることで、複雑な形の成形もでき、切る・抜く・曲げるなど様々な工程で使われています。
加工精度は機械と金型で決まるため、作業者の熟練を要しません。
自動車業界をはじめ、金属加工を代表する機械として、世界中で広く使われています。
プレス加工の現場で活躍しているプレス機械
プレス機械には、汎用プレスから「せん断」や「曲げ」に特化した専用プレスまで、様々な種類があります。
こちらでは、プレス加工に使われるプレス機械についてまとめています。
汎用プレス機械
最も一般的なプレス機械です。
金型を交換することで、様々なプレス加工ができます。
自動プレス機械
長時間の稼働や無人の自動加工には、自動プレス機械が使われます。
高速精密プレス
高速精密プレスは順送り加工で使われる、自動プレス機械です。
加工内容によっては、5000spm(毎分5000回)の超高速プレスが可能。
ストレートサイド型(門型)で、高い精度と剛性を持っています。
機械の振動を防止するバランス装置や精度の高い送り装置を備え、リードフレーム・コネクタ・スイッチなど、精密電子部品の量産で使われています。
ダイイングプレス(ダイイングマシン)
ダイイングプレスは順送り加工で使われる、自動プレス機械です。
300spm(毎分300回)~の、高速連続プレスができます。
圧力能力600kN以下と小型の機械が多く、コストが低いのが特徴です。
ストレートサイド型(門型)で、高い精度と剛性を持っています。
従来のプレス加工とは逆のアンダードライブ方式のため、重心が低く精度が安定。
小型の電子部品や、半導体フィルム・プラスチック素材などのプレス加工にも使われています。
トランスファープレス
トランスファープレスは、トランスファープレス加工で使われる、自動プレス機械です。
板材をトランスファーフィーダで送りながら、複数の金型で自動プレス。
大型の機械が多く、ストレートサイド型(門型)で、高い精度と剛性を持っています。
自動車部品など、様々な自動プレスで使われます。
金型調整に使うダイスポッティングプレス
ダイスポッティングプレスは、ダイ(金型)の調整に使われる専用のプレス機械です。
量産前の金型の型合わせをすることで、かみ合い不良による破損を未然に防ぎます。
金型を定期点検し修正することで、精度の高いプレス加工が実現します。
専用プレス機械
シャーリングマシン
シャーリングマシンは「せん断加工」の切断工程で使われる機械で、せん断機とも呼ばれます。
金属の板を所定のサイズに切断し、プレス加工で使われるブランクを切り出し。
機械の上下には長い刃物がついており、上の刃を金属に押し付け直線状に切断します。
主に、4×8尺(約1.2m×2.4m)、5×10尺(約1.5m×3m)の定尺材をせん断。
鋼板をはじめ、アルミやステンレスなどの材料が切断されます。
タレットパンチプレス(タレパン)
タレットパンチプレス(タレパン)は、「抜き打ち」「穴あけ」で使われる機械の一つです。
圧力をかけて金属をパンチするため、プレス機械に分類されます。
タレット(金型ホルダ)に装着した様々なパンチ(金型)を、自動で交換しながら板材をパンチ。
仕組みは、書類に穴を開ける穴あけパンチと同じです。
通称タレパンとも呼ばれ、プレス加工や板金加工の現場で欠かすことのできない重要な機械として広く活用されています。
プレスブレーキ(ベンディングマシン)
プレスブレーキは、曲げ加工で使われる機械の一つです。
圧力をかけて金属の板を曲げるため、プレス機械に分類されます。
板材にはタレパンで打ち抜いたブランクや、圧延で伸ばされた圧延材が使われ、鋼板をはじめ板厚0.5~5mmほどのアルミやステンレスを曲げていきます。
ファインブランキングプレス(FBプレス)
ファインブランキングプレスは精密せん断加工で使われる機械の一つです。
圧力をかけて金属を打ち抜くため、プレス機械に分類。
通称FBプレスとも呼ばれ、切削加工に替わる最新技術としても注目されています。
スピニング加工機
スピニング加工は、板材を回転させながら、工具を当てる塑性加工法です。
板材をマンドレル(金型)に少しずつ押し付け、底つきのカップ状に成形。
プレス加工に比べ小さな力で加工することができます。
割型(ばらせる金型)を使うことで、口が狭いつぼ状の成形もできます。
(回転成形のため、箱型や異形の成形は難しくなります。)
新幹線や宇宙ロケットの先端など、高精度・大型製品の小ロット生産に適しています。
フォーミングマシン
フォーミングマシンは、様々な加工ユニットを連結したプレス機械の一つです。
フォーミングマシンで作られた金属部品は、自動車をはじめ、家電や建材など様々な分野で使われています。
その他のプレス機械(鍛圧機械)
プレス機械にはその他にも、鍛圧機械と呼ばれる様々な種類があります。
これらの機械は、プレス機械と同じように圧力を使って金属を加工する機械ですが、ビレット(厚い金属材料)を加圧するため、より高い機械強度が求められます。
そのため、一般的なプレス機械とは区別されています。
鍛造機械
鍛造機械は、鍛造で使われる機械の一つです。
鍛造機械は金属をプレスするプレス機械の仲間ですが、ビレット(厚い金属材料)を加圧するため、より高い機械強度が求められます。
圧延機械
圧延は、金属をロールで押しつぶして伸ばす塑性加工の一つ。
大きな製鉄所から小さな町工場まで、様々な工場で使われる身近な加工法です。
インゴット(鋳塊)やスラブ(鋼片)などの金属のかたまりから、加工ワークのもととなる棒・板・形・管状の金属材料を量産。
圧延された金属の厚さは数百ミリから数ミクロンまで多岐にわたり、様々な製品に加工されます。
伸線・抽伸機
伸線機は、ダイで引抜いた線材をコイル状に巻き取る機械です。
巻き取る線材の長さは、数千メートルにも及びます。
伸線機は短頭伸線機と連続伸線機に分けられます。
抽伸機は、巻き取りができない太いバー材や管材を、直線状に引抜く機械です。
角棒材や異形棒材などのストレート製品の成形にも使われ、ダイの先端から出た材料を引き抜き台でつかみ、一気に引抜きます。
抽伸機はドローベンチと連続抽伸機に分けられます。
押出機
押出加工は、金属を金型の穴から押して出す塑性加工の一つです。
押出しは、引き抜きと合わせて、切削加工で使われるバー材の大量生産に欠かせません。
身近なアルミサッシをはじめ、ダイ(金型)の穴を変えることで、線・丸棒・角棒など、様々な形に対応。
圧延や引き抜き加工では作ることができない、ヒートシンク・ハニカム材などの複雑断面を持ったバー材の成形や、管・針金・チューブなどの芯材の加工もできます。
プレス機械の分類~駆動編~
プレス機械はラム(駆動部)を様々な動力でスライドさせることで、圧力をかけます。
プレス加工では、金型を押し付ける時間が長いほど成形が安定します。
(この現象を形状凍結といいます。)
そのため下死点(スライドの最下点)での加圧時間が長くなるよう、様々な工夫がされてます。
機械プレス
機械プレスは、フライホイールの回転をラムのスライド運動に換えて圧力をかけるプレス機械です。
1回ごとの圧力量が決まっているため、任意の位置でスライドを止めることはできません。
加工スピードが速く生産性が高いため、プレス機械の全体の約90%を占めます。
油圧式に比べメンテナンス性が高く、液漏れの心配もありません。
機械プレス
電動モータによる回転運動を、機械的機構によりスライドの直線運動に変えて、金型を介し素材を成形するプレスです。
液圧プレス
液圧プレスは、油圧や水圧でラムをスライドさせ圧力をかけるプレス機械です。
現場では、油圧による油圧プレスが広く使われています。
油圧プレスについて
油圧プレスは、油圧でラムをスライドさせ圧力をかけるプレス機械です。
油圧バルブのコントロールで、加圧パターンや加圧量を制御することができます。
ストロークが長いため、大きな絞り加工や曲げ加工に向いていますが、機械プレスに比べ加圧スピードは遅くなります。
(1~10mm/s程度)
■油圧プレス:
機械プレスではできない特殊な分野で活躍しています。
ほとんどが油圧作動プレスです。
水圧プレスについて
水圧プレスは、水圧でラムをスライドさせ圧力をかけるプレス機械です。
油圧プレスと比べ、液体メンテナンスが簡単でコストも低いため、大型の機械が多くあります。
圧力能力10000kN以上の超大型機械もあり、特大製品の成形もできます。
過熱による火災・事故などの心配がないため、熱間鍛造で使われます。
サーボプレス
サーボプレスは、サーボモータでラムを直接スライドさせるプレス機械です。
サーボモータでスライドを駆動するため、加圧力や加圧量を精密に制御することができます。
スライドをNC制御することで、マグネシウムなどの難加工材や、複雑なカタチのプレスもできるようになります。
加圧スピードの制御による生産性向上と、加圧量の制御による歩留まり低下を両立。
IoTによる加工データの蓄積で、工場の自動化も実現します。
ハイブリッド式プレス(油圧サーボプレス)
油圧とサーボモータを組み合わせたプレス機械です。
サーボモータで油圧ポンプを制御し、ラムをスライドさせます。
加圧力や加圧量を精密にコントロールしながら、油圧のパワーが発揮できます。
作動油や発熱も少なく、環境性能に優れたプレス機械です。
プレス機械の分類~フレーム編~
プレス機械は、本体のフレーム構造によって二つに分けられます。
C型プレス
C型プレスは、作業性重視のフレーム構造です。
横から見た形がCに似ていることに由来します。
加工エリアの左右と手前があいているため作業性が良く、単発プレスや産業用ロボットによるロボットラインに最適です。
構造がシンプルで低コストなため、小~中型のプレス機械に多く採用されています。
フレーム剛性は落ちるため、機械のゆがみ(口開き)に注意が必要です。
圧力能力2500kNまでの機械が多いですが、高強度フレームを採用した機種もあります。
ストレートサイド型プレス(門型プレス)
ストレートサイド型プレスは、剛性重視のフレーム構造です。
門型プレスとも呼ばれます。
本体の四隅を柱で支えているため剛性に優れますが、加工エリアに柱があるため作業性は低下。
ゆがみに強いため、中~大型のプレス機械や鍛造プレスに多く採用されています。
C型プレスと比べ、加工精度が高く、振動・騒音が少なくなります。
圧力能力2500kN以上の機械が多くあります。
プレス機械の材料供給装置(アンコイラ)
アンコイラは、コイル材の材料の巻きをほぐすための装置です。
巻きほぐしによるループ(たるみ)を調整することで、スムーズに材料を供給します。
またコイル材の巻きぐせやひずみを矯正するレベラーも使われています。
材料を複数のロールに通すことで、巻きぐせを取り除き加工不良を防止します。
製品スペック
リールスタンド | 軽量なコイル材(100kg程度)で使われる、小型アンコイラです。 コイル材の中心軸をモータで回転させ、巻きほぐします。 |
マンドレル | 重量のあるコイル材で使われる、アンコイラです。 コイル材の保持具(マンドレル)をモータで回転させ、巻きほぐします。 |
コイルクレードル | 厚板や重量のあるコイル材で使われる、アンコイラです。 2本のロール(ピンチロール)でコイル材を引き出し巻きほぐします。 マンドレルに比べ、コイル材のセットが簡単です。 |
水平アンコイラ | コイル材を横に寝かして設置する、アンコイラです。 縦に積み重ねができ、コイル材の交換時間も短縮できます。 材料がねじれるため、薄板のコイル材に限られます。 |
プレス機械作業主任者について
プレス機械を5台以上設置する工場では、労働災害を防止するため、プレス機械作業主任者技能講習を修了したプレス機械作業主任者を選任する必要があります。
プレス機械作業主任者とは
プレス機械及びその安全装置の点検をし、それらに異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとり、切り替えキースイッチがあるものはキーの保管をし、金型の取り付け取り外し及び調整の作業を直接指揮する責任者です。
プレス機械の選び方~3つの能力~
プレス機械の選定は、「加圧能力」「トルク能力」「仕事能力」の3要素が重要になります。
プレス加工の内容によって最適な能力は変わります。
圧力能力
圧力能力は、プレス機械が耐えることのできる最大加圧量です。
キロニュートン(kN)で表されます。
圧力能力を超える加圧は、機械の歪や、金型の破損につながります。
プレス加工の内容に合わせて、余裕を持った選定が重要です。
トルク能力(能力発生位置)
トルク能力は、プレス機械のスペック上の加圧能力(公称圧力)が発生する位置です。
金型の下死点(スライドの最下点)からの距離で表されます。
絞り加工など、高い位置から加圧が始まる加工で重要になります。
仕事能力
仕事能力とは、プレス1回あたりの放出エネルギー量です。
キロジュール(kJ)で表されます。
放出エネルギーが多いほど、作業エネルギーの蓄積が必要です。
絞り加工や冷間鍛造など、大きなエネルギーを必要とする加工で重要になります。
プレス機械のスペックの見方
ストローク長さ
ストローク長さは、スライドの稼働距離です。
プレス加工の内容によって、適切なストローク長さは変わります。
・せん断加工の場合:加工深さが浅いため、ストロークが短い機種が適します。
・絞り加工の場合:加工深さが長いため、ストロークが長い機種が適します。
・トランスファー加工の場合:送り装置が稼働するため、ストロークの確保が必要です。
連続ストローク数
連続ストローク数は、無負荷状態での、1分間のストローク回数です。
ストロークパーミニッツ(spm)で表されます。
ストローク長さが短いほどストローク数は上がり、生産性があがります。
連続プレス加工で重要になる能力です。
ダイハイト
ダイハイトは、ボルスター(加工テーブル)上面からスライドの下死点までの距離です。
金型の最大サイズ(高さ)の目安となる数値です。
ダイハイトを超える高さの金型は、取付できません。
スライド調節量
スライドの上下の調節可能量です。
調節量が大きいほど、使える金型の種類が広がります。
ダイハイトからスライド調節量を引いた数値が、金型の最小サイズ(低さ)になります。
スライド面積
スライドの面積です。
金型(上型)を取り付けるために使われます。
ボルスター面積
ボルスター(加工テーブル)の面積です。
金型(下型)を取り付けるために使われます。
ボルスターへの局所的な加圧を防ぐため、金型の設置面積はボルスター面積の約2/3以上が目安となります。
こちらの記事ははじめの工作機械様の記事を参照しております。
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