チタンの特徴や他の金属との違いを徹底解説していきます!
本日は材料解説シリーズ~チタン編~です!
特徴や他の金属との違いなど解説していきますので、是非ご覧ください♪
チタンとは
チタンを一言で表すと、高価で高品質な金属です。
銀色で硬く、他の金属よりも少し特別感のある金属で、鉄や銅、アルミニウムなど他の金属よりも、多方面で優れた金属です。
チタンの歴史
歴史というからには、そこには数々の逸話や古く長い経緯が・・・と思われるかもしれませんが、実はチタンが工業製品として使われだしたのは、今からまだ50年ほど前となります。
インターネットの歴史が1960年代から始まるので、チタンの実用化はネットの普及とあまり変わらないぐらいの新しい技術です。
古代から使われていた鉄や銅からすれば、まだ生まれたてぐらいの歴史しかないチタンですが、発見自体はもっと古くからされていたようです。
チタンの発見から抽出に至るまで
チタンを最初に発見したのは1791年、ウィリアム・グレゴーというイギリスの牧師でした。
鉱物学者でもあった彼は、発見場所のメナカンという場にちなんで、現在チタンと呼ばれているその未知の元素を「メナカイト」と命名します。
ところが、発見したはいいものの、この時はまだメナカイトは、広くは知れ渡らず、脚光を浴び始めたのは4年後の1795年で、ドイツの化学者マルティン・ハインリヒ・クラブロートが再発見した時でした。
彼はこの未知の元素を、ギリシア神話に出てくるティーターンという巨神にちなんで、「チタン」の名がつけられました。
しかしこのころ、チタンと鉱砂を分離する手法が存在しなかったため、ここから長いこと、チタンから不純物を取り除くための苦難が続きます。
チタンの抽出から実用に至るまで
純粋なチタンが世に誕生したのは、それから約100年がたった後の1910年、アメリカの科学者マシュー・A・ハンターが純度99.9%のチタンを鉱砂から抽出することに成功しました。
その後1946年、ルクセンブルクの工学者ウィリアム・クロールがクロール法というチタンの大量生産を可能にする製造工程を開発。
1950年代には、チタンが軍用機などに使われ始めました。
日本でチタンが民間で使われ始めたのは1970年代、チタンの民間利用のため、日本全国の加工業者たちが協力し、技術を積み重ねていきました。
その甲斐あってか2002年、世界で初めてのチタンを発色させる制御技術が確立。
チタンの生産規模も時が経つにつれ拡大していき、今では仕事や生活の必需品として扱われるまでに需要や技術も成長しました。
長いようで短いチタンの歴史ですが、見方を変えればまだまだ発展途上の金属ということになります。
その昔、グレゴーが発見した時点では何に使えるかもわからない道の金属でしたが、実用から50年たった今でも、チタンには何かに使えるかもしれない未知の可能性が残されているのです。
チタンのメリットとデメリット
チタンのメリット
強度が高い
チタンはとても強度が高い金属です。
チタンは丈夫で、強度は鉄のおよそ2倍、アルミの3倍となります。
強い衝撃を受けても壊れにくいため、高い強度が要求される航空機やロケットの部品に使われることもあります。
また、強度が高いだけではなく、しなりやすくもあり、少しぐらい曲げても元に戻る性質があります。
さらに、チタンは熱にも強く、鉄が約1530℃、銅が約1080℃、アルミが約660℃であることに比べ、チタンが溶ける温度は約1660℃と、熱に強い鉄よりもさらに強いです。
数ある金属の中でも、相当に高い強度と熱の耐性を持っている金属です。
耐食性が強い
チタンは錆びにくいです。
金属が錆びにくいことを、耐食性が高いという言葉で表します。
チタンは特に海水に強く、鉄や銅、サビにくいとされているアルミニウムよりもさらに耐食性が高い金属です。
この錆びにくい性質が、船の装甲板や橋の足など、海洋建造物の素材として非常に重宝されています。
軽い金属である
チタンは軽いです。
チタンは鉄の3分の2、銅と比べると半分程度の重さしかありません。
軽さの特徴を活かし、身近なアクセサリーや眼鏡、ゴルフクラブなどによく使われます。
さすがに、軽さに定評のあるアルミにはかないませんが、高い強度と耐食性を持ちながらこの軽さなので、他のメジャーな金属と比較しても、抜群の性質を持っている金属と評価されます。
安全性が高い
チタンは体にやさしく安全な金属です。
金属アレルギーを持つ人に対しても、アレルギーが起こりにくく、有毒性もないので、医療用の道具や体内に埋め込む器具にも使用されます。
金属アレルギーは、金属と汗などの水が触れることによって、イオンが発生し、それが原因となって起こります。
チタンの場合、イオンがほとんど発生しないため、金属アレルギーを引き起こしにくいと言われています。
他にも、チタンには熱や電気を通しにくい特徴や、環境にも優しいメリットもあります。
他の金属と比べてメリットが多く、多岐にわたる分野で活用される万能な素材、それがチタンです。
チタンの種類
チタンには多くの種類があり、より錆びにくいチタンや、より強度の増しているチタン、よりしなやかに曲がるチタンなど、性質も様々です。
たくさんの性質の中から適切なチタンを選択し、製品を作ります。
海の中で使用する製品なら、より錆びにくい性質のチタンを、丈夫で壊れにくい製品を作るなら、より強度が高い性質のチタンを選びます。
チタンには非常にたくさんの種類がありますが、大きく分けて、純チタンとチタン合金の2種類に分けられます。
純チタンもチタン合金もそこからさらに細かく分けられており、それぞれ性質が少し違います。
純チタン
純チタンは、純度の高いチタンです。
正確にはわずかに他の成分が含まれますが、それでも純チタンと呼びます。
純チタンの方が国内で一般的に使われており、チタン合金よりも安価で加工がしやすいです。
チタン合金
チタン合金はアルミニウムやニッケルなど、他の素材を混ぜて作られたチタンです。
混ぜる素材によって、純チタンよりも強度や耐食性などを向上させることができ、軽量のチタン合金でも高い性質の金属が作れます。
しかし、純チタンよりも価格が高かったり、加工やチタン合金そのものの製法が難しかったり、扱うハードルが高くなってしまうのが難点です。
ただでさえ扱いが難しいチタンですが、チタン合金はさらに玄人向けといった印象です。
チタンの用途
純チタンの用途は主に国内向けで、化学工業や電力、建築・土木産業など、チタン合金は諸外国向けで、主に航空機産業に使われています。
さらには、医療器具や宇宙開発設備などの直接命にかかわりそうな分野までも幅広く活用され、日進月歩でチタンの用途が広がっています。
その他、チタンの用途は様々あります。
以下、具体的なチタンの用途の一覧です。
その他チタンの用途一覧 | |
日用品 | 時計、アクセサリー、ピアス、眼鏡フレーム、タイピン、ハサミ、髭剃り、ライター、剣道面、電池カメラ、水筒、中華鍋、フライパン、包丁、家具、筆記具、印鑑、名刺入れ、パソコンケース |
自動車部品 | バルブ、リテイナー、マフラー、バルブスプリング、ボルト、ナット、ホイール、タンクローリー |
自転車部品 | フレーム、ペダル、リム、スポーク |
ゴルフ用品 | シャフト、ゴルフクラブ |
登山用品 | アイゼン、コッフェル、ピッケル |
通信・光学機器 | 露光装置、海底中継具、光通信 |
化学工業 | 電解層、熱交換機、電極、タンクローリー、滅菌装置、バルブ、ポンプ、遠心分離機 |
医療・健康 | 手術用器具、ペースメーカー、歯科材料、車いす、ステッキ、アルカリイオン浄水器電極、ピンセット |
建築・土木 | 屋根、外壁、標識、海上橋脚、ナット、モニュメント、配管、飾り金物、スタッドボルト |
機体部品 | スポイラー、エンジンナセル、フラッグ、バルクヘッド、ボルト、ナット |
航空・宇宙 | ジェットエンジン部品、ロケット部品、ケーシング、ファン用ブレード、ディスク、ベーン、圧縮機、スタブシャフト |
上の一覧以外にも使われているところはたくさんあります。
身近なところでも身近じゃないところでも、チタンは世界中で使われています。
実用化されてから約50年、チタンはすでに私たちの生活にはなくてはならないものになっています。
チタンを含め、色々な金属が私たちの生活を支えてくれています。
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