LINEでお問い合わせ

試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

クロムめっきとは?特徴など徹底解説します!

本日はクロムめっきについて解説していきます!
特徴など解説しますので、是非ご覧ください♪

クロムめっきとは

クロムめっきをした部品

クロムめっきとは、構成要素がクロムであるメッキを指します。
一般的にクロムめっきには大別して2種類があります。
装飾クロムめっきと硬質クロムめっき(ハードクロムともいう)です。

クロムという金属

金属加工の業界に携わったことのない方でも、もしかするとクロムという金属の名前は聞いたことがあるかもしれません。
なぜなら、先に挙げた装飾クロムめっきというのはアクセサリーなどの金属装飾品にも使われるからです。
デジタル大辞泉によるとクロムは、
・自然界にクロム鉄鉱として酸化物の形で存在している
・銀白色で硬い
・常温では極めて安定で錆びにくい
・耐食性・耐熱性に優れている
などの特徴を持つ金属であると定義づけられています。
したがって、クロムで構成されているメッキ被膜も同じ特徴・性質を有しているといえます。
また、表面処理分野の似た言葉にクロメートというものがありますが、こちらはクロムめっきとは全く別の表面処理になります。
クロムめっきは電気を用いる処理なのに対してクロメートは電気を用いず浸漬のみで被膜をつける処理であったり、クロムめっきがいわゆるシルバー色であるのに対してクロメートは青白いような色や黒など様々であったりします。

クロムめっきのメリット・デメリット

メリット

まず、とにかく見た目が美しいことが挙げられます。
アクセサリーに採用されるほど美しい光沢を放つという点は、クロムめっきの一番のメリットかと思います。
その高級感や清潔感によって、美術館で使う器具や医療の現場に採用されることもしばしば。
しかし、見た目だけではないところがクロムめっきのすごいところで、上に挙げたクロムの特徴の通り、さらに耐食性・耐熱性・耐摩耗性などに優れています。
装飾クロムめっきは、その高耐食性を活かしてアクセサリーだけでなく、自動車の外装にも用いられます。
具体的には、バイクのマフラーやシフトレバーなど、自動車関係の部品を多く扱っております。
硬質クロムめっきは、その耐摩耗性を活かして機械内部のシャフト(高速回転をするため徐々に摩耗する部分)に採用されています。
美観と高機能のハイブリッド、それがクロムめっきです。

デメリット

一般的にクロムめっきは電流効率が悪く、付きまわりが悪いといわれています。
したがって、電圧や温度管理、そして治具製作・考案を含め、ニッケルメッキや銅めっきに比べて品質を安定させるのが少し大変で、技術的に難しいメッキといえます。
硬質クロムめっきに関していえば、その電流効率の悪さ故、長時間の浸漬・処理が必要になっている実状があります。
また、電気を用いる電気メッキですので、弱電部や強電部という箇所が発生します。
装飾クロムめっきはかぶりやすい(強電部に出る白い筋、不良の一種)と言われており、ただでさえ付きまわりがあまり良くないにも関わらず、かといって電圧をあおればかぶってしまうという実は作業者泣かせのメッキなのです。
硬質クロムめっきにおいても、強電部には花咲きという不良が起きやすく、高品質なクロムめっきを安定的に出荷することはやさしいことではありません。
少しずつ少しずつ電圧・タクトを調整し、ちょうどいい点を見つける作業が必要になります。
弱電部に関しても、特に硬質クロムめっきに関しては、通常5μほどの膜厚を確保しなければなりませんが、凹部などの形状によっては補助陽極の設置による弱電部対策が必要になります。
また、電気メッキですので、ニッケルメッキと同じくパイプ内部などにメッキすることはかなり難しいといえます。

クロムめっきをした部品

さて、クロムめっきはネガティブなことばかりという印象がついてしまったかもしれませんが、クロムめっきはメッキとして非常に優れた性能を持つめっきです。
ただし、その恩恵を受けるのは簡単ではないということです。

メッキの歴史

蛇足とはなりますが、メッキの歴史についてお話ししたいと思います。
メッキの歴史は古代メソポタミア文明から始まります。
世界四大文明の一つ、メソポタミア文明ですが、実はメッキの発祥はこの文明といわれており、その歴史は4000年という驚きの長さになります。
当時行われていたのは錫めっきといわれるメッキで、現代と同様に耐食性や美観向上のため用いられていました。
それから時は経ち、修学旅行の定番スポットである奈良の大仏にもメッキが行われます。
この東大寺の大仏には水銀アマルガム法と呼ばれるメッキ方式が採用され、水銀820kg、金146kgもの材料が用いられたそうです。
水銀アマルガム法はいわゆる置換めっきの一種であり、当時のメッキと言えばこの置換めっきが一般的でしたが、1800年にイタリアのボルタがボルタ電池という電池を開発したことで、ここから徐々に電気メッキが浸透していきます。
そして、ついに日本でもある有名な藩が排出した人物によって電気メッキが運用され始めます。
西郷隆盛や大久保利通などを排出した九州の藩・・・そうです。
薩摩藩です。
1855年、薩摩藩の11代目藩主「島津斉彬」は日本初の電気メッキを行いました。
そこから工業化などを経て、メッキ業界は今のような形に落ち着いたのです。
私たちが今走っているレールは、メソポタミア文明人やボルタ、島津斉彬たちが作り上げたレールというわけです。

こちらの記事は三和鍍金様の記事を参照しております。

試作全国対応!
簡単・最短1時間お見積り

アスクならこんなお困りごとを解決します!

  • 他社では納期が間に合わないと言われた
  • 急な設計変更があった
  • 他社ではできないと言われた
  • 海外調達品の手直し・追加工
今すぐ無料でお見積りを依頼する

もっとアスクの事を知りたい!という方は
こちらもご覧ください!

株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
知っているようで知らない加工に関する知識をお届けします!

他、ブログ記事もご覧ください♪

動画の投稿もしておりますので良ければご覧ください♪