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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

切削油の種類や特徴、注意点など解説!

本日は切削油について解説していきます!
切削油の種類や特徴、注意点など解説していきますので是非ご覧ください♪

切削油の種類と特徴

油のイメージ

切削油は、水溶性と不水溶性の2種類に大きくは分けられ、さらにその中でも細分化されています。
種類ごとに特徴が異なるので、加工方法や素材に合わせて適した切削油を選定することが大切です。

水溶性切削油

水溶性切削油は、水で希釈して使用します。
不水溶性に比べて冷却性が高く、引火の危険性もないため使いやすいですが、劣化しやすいことから管理に注意が必要です。
また、水溶性切削油は成分と使用時の見た目から、エマルジョン、ソリュブル・ソリューションの3種類に分類されます。

エマルジョン(A1種)

鉱油などの不溶性の成分と、界面活性剤で作られた切削油がエマルジョンです。
名前の通り、水に溶かすと乳化(エマルジョン)して乳白色になります。
油の粒子が大きく、水溶性の中では最も潤滑性に優れているのが特徴です。
切削量が多く、大きな切削抵抗が発生する重切削にも使用できます。

ソリュブル(A2種)

界面活性剤のような水に溶ける成分のみ、または水に溶ける成分と鉱油などで作られた切削油がソリュブルです。
水に溶かすと半透明または透明になります。
潤滑性・洗浄性・冷却性のバランスが良好で、切削や研削など、幅広い用途で使用できるのが特徴です。

ソリューション(A3種)

ソリューションは油を一切含まず、水に溶ける成分で作られています。
本来は透明ですが、緑に着色されたものが多いです。
消泡性や冷却性が高いという特徴があり、研削加工で使用されます。

不水溶性切削油

不水溶性切削油は希釈せずに使うことから、ストレートオイルとも呼ばれます。
潤滑性や防錆性、浸透性に優れていて、高精度が求められる加工で使われますが、引火性があるため無人稼働における使用には向いていません。

不水溶性切削油は、摩擦面の油膜強度を高めるために添加する油性剤や極圧添加剤、防錆剤などの成分によって、活性形(N4種)と不活性形(N1種~N3種)の2種類に分けられます。

活性形は極圧添加剤が必ず含まれ、難削材や歯車加工などに最適です。
不活性形には極圧添加剤を含むものと含まないものがあり、銅に対する腐食性によりさらに3種類に分けられます。
主に軽切削や柔らかい被削材に適しているのが特徴です。

切削油の使用による効果

潤滑作用により摩擦を低減

切削油の潤滑作用によって、被削材と切削工具との間に生じる摩擦力を低減させることが可能です。
工具寿命の長期化や切削抵抗の低減、構成刃先の防止、加工面の仕上げ精度向上などが期待できます。
水溶性のものよりも、不溶性の切削油が優れているとされます。

冷却作用による工具と材料の保護

切削加工時には、工具とワークの摩擦によって600℃~1000℃もの高温が発生します。
切削油による冷却で発熱を抑えることで、工具の変形やワークの熱変異防止、加工精度向上、切削時間の短縮による作業の効率化などの効果があります。
冷却作用を重視する場合は、水溶性切削油が有効です。

洗浄作用でトラブルを防ぐ

切削油を使用することで、加工箇所から切粉を常に洗い流せる点もメリットです。
製品の傷つきや詰まり、加工不良を防止したり、工具を保護したりできます。
また、切削油によって湿潤した状態で切削するため、切粉の飛び散りを防ぐことも可能です。

防錆作用で機械と工具と製品を守る

切削直後の金属は被膜のないむき出しの状態で、非常に酸化しやすく、変質・変色の可能性も高い状態です。
また、機械や工具は高剛性のものほど錆に弱いという弱点がありますが、切削油は防錆効果が高いものもあるため、機械や工具、製品の保護にも役立ちます。
通常、防錆作用は不水溶性切削油の方が高いです。

切削油の給油方法

外部給油方式

クーラントホースと呼ばれる外部装置を使い、加工する部分に切削油を供給する方式が外部給油です。
手動でノズルの位置を調整するほか、NC制御で角度を調整できる場合もあります。

内部給油方式

工作機械の主軸や工具に設けられた供給口から、切削油を供給するのが内部給油方式です。
外部給油方式に比べると高圧かつ正確に切削油を供給できます。
深穴や溝加工など、切削油が届きにくい加工に最適です。
切削工具の先端から切削油を噴射する方式と、主軸の周辺に設けられた穴から切削油を噴射する方式の2種類に分けられます。

切削油を選定する際のポイント

被削材から選定する

潤滑性が要求される鋼の切削には、水溶性ではエマルジョン、不水溶性では活性形が適しています。
鋳鉄の場合は防錆が重要なため、不水溶性の使用が適切です。
アルミ合金では、変色抑制に配慮された切削油を選定します。
銅合金の加工においては、不水溶性の中でも活性形は銅腐食性があるため避けなければなりません。

加工方法から選定する

加工方法から切削油を選定することも可能です。
旋盤加工は高速加工が求められるため、冷却性に優れた水溶性が適しています。
フライス加工ではチッピング防止のため、不水溶性の切削油が持つ潤滑性が求められます。
穴あけ加工は冷却性が重要なことから、水溶性のエマルジョンが使われることが多いです。

研削加工では摩擦熱の発生を抑制するための潤滑性と、発生した熱を除去するための冷却性が重要となり、水溶性のソリュブルが適しています。

環境への配慮を条件にする

環境適合の視点から、近年は廃油を焼却処分する際にダイオキシンを発生させないために塩素フリーの切削油が増えており、PRTR法によって指定された物質を含まない切削油も販売されています。

また、廃棄物削減を目指して切削油を使用しない、または少ない使用量で加工するドライ加工やミスト加工が実用化されている例もありますが、全ての加工に適用するのは困難です。
切削油を長期使用するために、耐劣化性に優れた切削油を選定したうえで、適切な管理を行いましょう。

切削油を使用する際の注意点

切削油の飛散による影響

切削油を使用する加工では、作業中に油剤が飛散するオイルミストによって壁や床が汚れて滑りやすくなります。
飛散した油剤は人体にも影響があるため、切削油の種類や供給量などの見直し、ダクトの設置など飛散の抑制に心掛けましょう。

皮膚への付着に注意

切削油が皮膚に付着すると、油による刺激やかぶれが起こる危険があります。
皮膚の露出が少ない作業服や手袋などを使用し、皮膚への付着を防ぐことが重要です。

目や鼻を保護

切削油が目に入ると炎症を起こす危険があり、飛散した切削油には切りくずが含まれている可能性もあるなど、作業には危険を伴います。
切削油のにおいやオイルミストを吸い込むことで気分が悪くなったり頭痛がしたりなどの症状を引き起こすことも考えられるので、切削油の使用時は必ず保護メガネとマスクを着用し、目や鼻を保護しましょう。

水溶性切削油は希釈方法にも注意

水溶性切削油を使用して加工を行う際には、切削油の希釈方法にも注意が必要です。
特に、水に溶けない成分が含まれているエマルジョンの水溶性切削油の場合は、希釈方法を間違えると乳化しないなどの不具合が起こる可能性があります。

種類にかかわらず、水溶性切削油を希釈する際は希釈用の水をタンクなどに入れた後、原液を入れるのがポイントです。
原液から先に入れると、均一に溶けない恐れがあります。

また、原液を投入した後はすぐにかき混ぜることも重要です。

日常管理が大切

切削油の性能を保つためには、日常的な管理や点検は重要です。
特に水溶性切削油は、休み明けなど長期間機械を放置すると異臭を感じる場合があります。
この異臭は、切削油に含まれた鉱油や界面活性剤、混入した潤滑剤などが原因で菌が増殖し、切削油が腐敗してしまったことが原因です。

異臭を防ぐためには防腐剤の使用や濃度管理によって腐食を防ぎ、切りくずと浮上油を除去して劣化を防がなければなりません。
また、酸性やアルカリ性の度合いを示すpHを使って管理するのも有効です。
pHは0~14の範囲で表され、7の中性を基準に、14に近づくほどアルカリ性が、0に近づくほど酸性に傾いていることを表します。
水に溶かしてすぐの水溶性切削油は通常8~10程度の弱アルカリ性ですが、腐敗が進むと酸性に近づくため、劣化しているかを示す基準にできます。

不水溶性切削油では、切りくずや異物、水分、他の油分などの混入に注意し、粘度低下を抑えることが大切です。

こちらの記事はSAKUSAKU様の記事を参照しております。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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