LINEでお問い合わせ

試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

Dカットの意味や用途など解説していきます!

本日はDカットについて解説していきます!
Dカットの意味や用途など解説していくので、是非ご覧ください♪

Dカットの意味

Dカットとは、トルクを出力する軸に対する加工方法の一つです。
このような軸を出力軸と呼びますが、その軸の断面を「D」の形状となるように削り取る加工のことです。

出力軸の多くは、丸棒の形です。
そのため、出力軸を他の部品と結合して、トルクをその部品に伝えようとしても、そのままでは空回りしてしまいます。
Dカットは、この出力軸に引っかかりができるように加工し、その部品と強固に締結できるようにします。

Dカットの加工には、フライス加工などの切削加工が採用されますが、精密性を必要とする場合には、研削加工なども用いられます。

5軸加工機

Dカットを施した出力軸をDカット軸と呼びますが、出力軸の形状には、他に丸軸やキー溝軸などがあります。
これらの軸の形状は、軸の締結先の形状や締結方法などに合わせて選択されます。
例えばDカット軸では、ねじ締結やクランプ締結といった締結方法が採用されます。

Dカット軸は、多数のギアを組み合わせたギアボックスやモーターなどで用いられている機械要素です。
ギアボックスを通して伝達されてきたトルクや、モーターで発生させたトルクを別の装置に伝達する部分に使用されています。
従ってDカット軸には、ギアやモーターを備えた家電製品や産業機械、自動車などの幅広い用途があります。

丸軸について

丸軸は、丸棒の形状を持った出力軸のことです。
そのため、トルクを別の部品に伝達しようとしても引っかかりがなく、そのままでは空回りしてしまいます。
しかし丸軸には、丸軸に適した締結先の形状や締結方法が存在します。

キー溝軸について

キー溝軸は、キー溝と呼ばれるキーをはめ込む穴を持った出力軸のことです。
キーを使用する場合、締結先の部品にもキー溝があります。
そして、キー溝軸と締結先部品の双方のキー溝にキーを楔のようにはめ込むことで、これらを締結します。

なお、キーの寸法はJIS規格で標準化されているので、通常はその規格に合わせてキー溝も成形します。

Dカット軸の固定方法

Dカット軸は、別の部品と固定するための機械要素です。
ここでは、Dカット軸の代表的な固定方法であるねじ締結とクランプ締結、また、Dカットが適さない場合に採用されることがある面圧締結、ピン締結についても説明します。

ねじ締結

ねじ締結は、ねじをDカット軸の平面部に当てて押さえつけることで締結する方法です。
セットスクリューとも呼ばれます。
また、このときのネジとして、六角穴付き止めネジが用いられることが多々あります。

取付や取り外しが容易な方法です。
しかし、ねじの締付で軸が破損したり振動などでネジが緩んでしまったりする場合があります。
また、ねじによって加えられる力の向きが一方向であるため、Dカット軸と締結対象の中心がずれやすいという欠点もあります。

他の締結方法に比べて簡単に固定できる方法ですが、欠点が多く、締結の強さもあまり強くはありません。

より強固に締結する方法として、軸を押さえつけるねじを増やすという手段があります。
そのために、軸をもう一部分カットし、カットした平面部をもう一つのねじで押さえつけます。
これにより、軸の強度は低下しますが、締結の強さは向上します。

ねじ締結は、Dカット軸に対する固定方法として一般的な方法です。
しかし、その欠点や締結力の弱さが問題になることがあります。
その場合、より高い締結力が得られるキー溝軸のねじ締結が採用されます。

キー溝軸にねじ締結を適用する場合、キー溝にキーを差し込んだうえで、キーを固定するためにねじで締め付けます。
このキーは、締結先の部品と軸のキー溝にぴったりとはまるようになっているので、Dカット軸のねじ締結に比べて高い締結力が得られます。

クランプ締結

クランプ締結は、工具のクランプと同様の仕組みで、Dカット軸を挟んで締結する方法です。

締結対象となる部品は、Dカット軸の断面形状に合わせた穴とその穴に続く切込みがあります。
そして、この切込みをネジで締め付けることで、Dカット軸と部品を固定します。

締結先の部品に対して、Dカット軸の断面形状に合わせた加工が必要です。
この加工には、ワイヤー放電加工機などが主に用いられていますが、形状によっては、ボール盤とノコ盤だけでも加工できます。

このようにクランプ締結では、多くの場合に締結先の部品を用意しなくてはならないという欠点があります。
しかし、強固に締結できる方法であるため、十分なトルク伝達が期待できます。

なお、クランプ締結は、キー溝軸にも適用されることがある方法です。
この場合、キー溝にキーを差し込んだうえで、切込みをネジで締め付けて締結します。
Dカット軸に適用した場合と同様、強固に締結できますが、軸と締結先の部品、そしてキーの精密な加工が必要となります。

面圧締結

面圧締結は、軸と締結先の部品との間の摩擦抵抗によって固定する方法です。
締結先の部品には、円形の穴と穴に続く切込みがあります。
そして、この切込みをネジで締め付け、それによって発生する面圧で締結します。

他の締結方法では固定角度が一方向に固定されてしまうのに対して、面圧締結であれば固定方向が自在に変更可能である点、締結先の部品に対する加工が不要、回転のバランスが良いなどの利点があるため、ねじ締結やクランプ締結ほどではありませんが、Dカット軸の固定方法としても採用されることがあります。

しかし、Dカット軸ではがたつくことがある上、摩擦抵抗がカットしている部分の分だけ低下します。
そのため、大きなトルクが生じる場合、トルク伝達に不備が生じることがあります。
通常は丸軸が採用されます。
ただ、軸の強度に対してトルクが大きくなると、Dカット+ネジ固定もしくはクランプ固定の方が強固であるので、場合によって使い分けることが肝要です。

ピン締結

ピン締結は、軸に穴をあけてピンを圧入して締結する方法です。

穴とピンの寸法には精密性が必要であり、加工精度が悪いと締結できなくなります。
またピン締結は、締結力もそれほど強くはなく、穴をあけた部分の強度が低下するという欠点もあります。

しかし、締結先の部品のサイズが小さい場合や、形状が特殊な場合にも適用しやすい方法です。
Dカットに比べて軸への加工が簡単で、組立もピンのつけ外しのみで簡単であることから、軸の強度に対して伝達トルクがさほど高くない場合には頻繁に使用される方法です。
Dカット加工が難しい場合などには、採用を検討してみてください。

試作全国対応!
簡単・最短1時間お見積り

アスクならこんなお困りごとを解決します!

  • 他社では納期が間に合わないと言われた
  • 急な設計変更があった
  • 他社ではできないと言われた
  • 海外調達品の手直し・追加工
今すぐ無料でお見積りを依頼する

もっとアスクの事を知りたい!という方は
こちらもご覧ください!

株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
知っているようで知らない加工に関する知識をお届けします!

他、ブログ記事もご覧ください♪

動画の投稿もしておりますので良ければご覧ください♪