難削材の加工が難しい理由を種類とともに解説します!
本日は難削材について解説していきます。
難削材と呼ばれる材質は、なぜ加工が難しいのか?種類なども交えて解説していきますので、是非ご覧ください♪
難削材とは
「難削材(なんさくざい)」とは、その名のとおり切削加工が困難な金属や材料を指します。
具体的には、通常の切削条件では加工中に工具の摩耗が激しく、切りくずの排出が困難だったり、加工面が粗くなったりするような材料が難削材と呼ばれます。
これらはしばしば、特殊な性質や優れた機械的特性、あるいは耐熱性・耐食性などの高性能を持っており、過酷な使用条件下で重宝される一方、加工現場では多くの課題を引き起こします。
難削材の定義には明確な国際基準が存在するわけではありませんが、実務的には以下のような特性を持つ材料が該当します。
高硬度(例:焼入れ鋼、セラミック系材料)
これらの材料は、非常に硬く耐摩耗性に優れるため、加工中に切削工具が急速に摩耗しやすく、特に仕上げ加工では面粗さを保つことが困難です。
高強度かつ低熱伝導性(例:チタン合金、ニッケル合金)
チタンやインコネルのようなニッケル系超合金は、加工中に発生する熱を逃がしにくく、切削点に熱が集中するため工具の寿命を著しく低下させます。
高延性または粘り気がある材料(例:オーステナイト系ステンレス鋼)
被削材が粘り強いと、切りくずが長く続いて絡まりやすくなり、加工機械や工具に悪影響を及ぼします。
また、切削面が引き伸ばされることで、仕上げ精度も悪化します。
複合材料(例:CFRP、GFRPなどの樹脂系複合材)
硬質な繊維と柔らかい樹脂が混在するため、切削中に工具が断続的な衝撃を受け、チッピングや欠けが生じやすく、工具寿命が極端に短くなります。
難加工金属(例:コバルトクロム合金、超耐熱合金)
航空宇宙、医療、エネルギー分野でよく使用されるこれらの金属は、機械的・熱的特性が極めて優れている反面、工具に大きな負担をかけます。
これら難削材の共通点として、「高機能・高性能であるがゆえに加工しにくい」という構図があります。
近年、製品の高性能化や軽量化ニーズの高まりにより、こうした材料の使用は拡大していますが、それに伴って加工現場では高度な技術と工夫が求められています。
難削材が使用される主な用途と背景
難削材は加工性に難があるにもかかわらず、特定の用途においては他の材料では代替できない優れた特性を持っているため、重要な産業分野で広く使用されています。
その使用背景には、高温環境への耐性、強度・硬度の確保、耐腐食性の必要性、さらには軽量化や長寿命化といった厳しい要求条件があります。
以下に主な用途と、それぞれの背景について詳しく見ていきます。
1. 航空・宇宙産業
航空機やロケットに使用される部品には、極めて高い強度・耐熱性・軽量性が求められます。
たとえばエンジン周辺では高温に耐える「ニッケル基超合金」や「チタン合金」が主流です。
これらの材料は燃焼室やタービンブレードに使用され、金属疲労や酸化に強い反面、切削中の発熱や工具摩耗が非常に大きく、加工が難しいとされています。
2. 医療分野
人工関節、骨プレート、歯科インプラントなどには「コバルトクロム合金」や「チタン合金」が多用されます。
これらは生体適合性が高く、腐食しにくい性質がありますが、同時に高硬度で、粘りがあるため、切削工具の負荷が大きくなりがちです。
医療機器に求められる高精度・高表面仕上げの加工も難削材加工をより困難にしています。
3. 発電設備・エネルギー産業
火力・原子力・再生可能エネルギー分野においては、高温・高圧下で長時間運転される部品が多数存在します。
タービン部品や原子炉内部構造物などには「耐熱鋼」や「超合金」が使用されますが、それらは高い強度と耐腐食性を持つ分、切削時にバリの発生や工具の損傷が頻繁に起こり、加工性に大きな課題があります。
4. 化学・食品プラント機器
耐薬品性や耐食性が必要とされる環境では、オーステナイト系や二相ステンレス鋼が使用されます。
これらのステンレスは優れた防錆性能を持つ反面、熱伝導性が低く、加工熱が工具に集中しやすいため摩耗が早いのが難点です。
加えて、材料が粘る性質を持つため切削抵抗が大きくなります。
5. 高機能製品・次世代材料
CFRPやセラミック系複合材は、航空機の構造材やF1マシン、先進ロボットなどに使われ、軽量かつ高強度であることが評価されています。
しかし、これらは硬さと脆さが同居するため、従来の金属加工とは異なる加工技術(例:ダイヤモンド工具やウォータージェット)が必要になります。
このように、難削材の使用は産業の最先端分野に集中しており、製品性能の向上には不可欠な存在です。
つまり、加工の難しさは「必要不可欠な材料を扱う代償」として受け入れられている側面があり、今後も高度な加工技術の開発と並行してその使用範囲は広がると考えられます。
加工中に起こる課題
高い切削抵抗と工具摩耗の促進
難削材が加工困難である主な理由の一つが、切削抵抗の大きさと、それに起因する工具摩耗の促進です。
切削抵抗とは、工具が材料を削る際に受ける力のことで、この抵抗が大きければ大きいほど、工具にはより大きな荷重と摩擦が加わります。
これにより、切削中に工具の先端部が早期に磨耗・損傷し、加工品質の低下やコストの増加を引き起こします。
難削材における切削抵抗の特徴
難削材の多くは、以下のような特性を持っており、切削抵抗を高める要因となっています。
・高い引張強さ・硬さ
たとえばニッケル合金や高硬度ステンレスなどは、そもそも「変形しにくい材料」であり、工具が切り込むのに大きなエネルギーが必要になります。
そのため、切削点に過剰な力が加わり、工具の摩耗が進行します。
・加工中の加工硬化
オーステナイト系ステンレスやチタン合金は、切削によって局所的に硬化する「加工硬化性」が高く、一度削った箇所が次の切削ではさらに硬くなる性質を持ちます。
これにより、時間とともに切削抵抗が増大し、摩耗やチッピングが生じやすくなります。
・粘り強さと熱のこもりやすさ
特にチタンやステンレスは粘り気が強く、切削時に切りくずが工具にまとわりつく「ビルトアップエッジ(BUE)」が形成されやすいです。
これが工具先端を不安定にし、摩耗や欠けを助長します。
また、熱伝導性が低いため、発生した熱が工具に集中し、熱摩耗を加速させます。
工具摩耗の進行メカニズム
切削抵抗が高まると、工具には主に以下のような摩耗が発生します。
・フランク摩耗(逃げ面摩耗):材料との摩擦によって工具の逃げ面が徐々に削れていく現象。
・クレーター摩耗:すくい面に熱と摩擦が集中することで、中央部に穴状の摩耗ができる。
・チッピング:高負荷・高熱環境下で刃先が欠けるように破損する。
・ビルトアップエッジの剥離:切りくずが工具に付着し、その後剥がれることで刃先にダメージを与える。
これらの摩耗は、寸法精度の低下や面粗さの悪化だけでなく、突発的な工具破損を引き起こす原因にもなります。
現場での対応策
難削材に対しては、通常の切削工具や条件では不十分であり、以下のような工夫が求められます。
・超硬材やセラミック、CBN、PCDなどの高硬度工具材の採用
・切れ味を高めるシャープな刃先形状
・コーティング(TiAlN、AlCrNなど)による摩耗防止
・高圧クーラントによる切りくず排出と冷却効果の向上
・切削条件の最適化(適正な切削速度・送り・切込み)
このように、切削抵抗の大きさとそれに伴う工具摩耗は、難削材加工において最も基本的で重大な課題です。
これを制御するためには、単に「硬い工具を使う」だけではなく、材料特性を理解し、トータルな加工設計が求められます。
発熱と熱伝導性の問題
難削材の加工における大きな問題のひとつが、加工中に発生する熱の処理です。
切削加工では、材料と工具の間に強い摩擦と変形が生じるため、多くの熱が発生します。
この熱は通常、切りくず・工具・被削材の3者に分散されますが、難削材の場合、熱が特定の部位に集中しやすいという特性があり、これが加工を困難にしている要因となっています。
難削材の熱的性質の特徴
多くの難削材は、以下のような熱的特性を持ちます。
・低い熱伝導率:
チタン合金やステンレス鋼、ニッケル合金などは、銅やアルミと比較して熱の伝わり方が非常に遅い(=熱伝導率が低い)という特徴があります。
加工時に発生した熱が材料内部に逃げにくく、その結果、切削点に熱が集中します。
・高い比熱・高温強度:
たとえばニッケル基超合金は、高温でも強度が落ちにくいため、航空機エンジンのタービンなどに適していますが、これは逆に言えば「熱で軟らかくならない=加工が熱で容易にならない」ということでもあります。
結果として、切削エネルギーが高くなり、さらに熱が発生します。
熱集中がもたらす悪影響
加工熱が工具に集中すると、以下のような問題が発生します。
・工具の熱摩耗
すくい面や逃げ面に熱が加わり続けることで、工具材質が軟化し、摩耗が急速に進みます。
特に超硬工具では、ある一定の温度を超えると急激に耐摩耗性が低下し、短時間で摩耗限界に達します。
・工具のチッピングや破損
熱応力の繰り返しによって、刃先に微小な亀裂が入りやすくなり、これが進行して突然の破損を引き起こすことがあります。
これにより、寸法精度や面粗さが著しく低下し、ワークが不良品となるリスクが高まります。
・加工面の品質低下
切削点が過熱することで、ワークの表面が焼き付いたり、変色・酸化したりすることがあります。
特にステンレス鋼では、熱による変質が腐食耐性の低下につながることもあります。
・寸法精度の悪化
熱による膨張が被削材・工具の双方で発生するため、加工中に寸法が微妙に変動し、指定公差を維持するのが困難になります。
発熱対策と熱制御の工夫
これらの熱問題を解決するには、以下のような対策が有効です。
・高圧クーラントやミスト冷却の使用
冷却性能を強化し、切削点の温度を低く保つと同時に、切りくず排出性を高めることが可能です。
・断続切削による熱拡散
ミーリングや多刃工具による断続的な切削を行うことで、連続切削よりも切削点が冷却されやすくなり、熱集中を抑えられます。
・工具材質・コーティングの工夫
耐熱性に優れた工具材(セラミック、CBNなど)や、TiAlN・AlCrNなどの耐熱コーティングを活用することで、工具の熱劣化を抑制します。
・切削条件の最適化
切削速度を抑え、適切な送り・切込みを選定することで、発熱を抑えながら効率的な加工が実現できます。
このように、難削材の低熱伝導性は、熱処理による摩耗や寸法不良の主因となり、工具選定・クーラント設計・加工パラメータの工夫が必要不可欠です。
熱の扱い方次第で、難削材の加工成功率は大きく左右されるといえるでしょう。
バリ・チッピング・変形の発生リスク
難削材の加工において無視できない問題のひとつが、バリの発生、刃先のチッピング、加工中のワーク変形です。
これらは加工精度の低下や後工程への悪影響を引き起こす要因となり、生産性や歩留まりに直結します。
とくに難削材の場合、材料特性そのものがこれらの問題を助長しやすく、慎重な加工設計と工程管理が不可欠です。
バリの発生とその問題点
バリとは、切削や穴あけの際に、ワークの縁に形成される突起や鋭利な残留物のことです。
バリは以下のような材料特性や切削状況で発生しやすくなります。
・粘りのある材料(オーステナイト系ステンレス、チタン合金など)
切削時に切りくずが刃物からはがれにくく、材料の縁まで伸びてしまい、バリとして残ることがあります。
・加工硬化しやすい材料
オーステナイトステンレスやインコネルなどでは、切削部が急速に硬化するため、工具が材料を完全に切り離せず、周囲にバリが残る原因となります。
・切削条件の不適正
切れ味の悪い工具や、切削速度が高すぎる場合には、滑るような切削が行われ、鋭利なバリが残りやすくなります。
バリが残ると、組み立て時に干渉したり、手指のけがを招いたりするほか、後工程でのバリ取り作業が必要となり、コストと工数が増加します。
チッピング(刃先欠け)の発生
チッピングとは、工具の刃先が微細に欠けてしまう現象で、難削材に対しては特に頻発します。
主な原因は以下の通りです。
・高切削抵抗と熱衝撃
前項でも述べたように、難削材は切削抵抗が高く、かつ熱が工具に集中しやすいです。
この結果、刃先に急激な温度変化が発生し、セラミックや超硬などの硬脆性材料では、熱応力でチッピングが起きやすくなります。
・工具のミスマッチ
被削材に対して適切な工具材質やコーティングが選ばれていない場合、刃先が局所的に損傷しやすく、断続加工中に欠けてしまうリスクが増大します。
・高硬度・脆性の難削材加工
炭化ケイ素繊維強化材料(SiC-CFRP)など、硬くて脆い材料を加工する際には、切削中の衝撃によりワーク側も工具側も損傷を受けやすくなります。
チッピングが発生すると、寸法精度や表面粗さが急激に悪化し、工具交換頻度も増えるため、加工の安定性が失われます。
・ワーク変形の発生
難削材の加工中にもうひとつ注意が必要なのが、「ワークの変形」です。
以下のような要因によって、部品の精度が著しく損なわれる恐れがあります。
・発熱による熱膨張
チタン合金などは熱伝導性が低く、加工中に局所的に温度が上昇して熱膨張しやすくなります。
その結果、加工が進むほどにワークの寸法が変わり、公差不良を引き起こす場合があります。
・加工応力の蓄積
硬くて粘りのある難削材では、切削応力が材料内部に残りやすく、後工程や使用中にワークが反り返る・曲がるといった変形を起こすことがあります。
・クランプ不良
薄肉部品や形状が複雑な構造体では、加工中の振動や保持力の不均等によってワークがたわみ、寸法精度や面精度が乱れることがあります。
これらバリ、チッピング、変形の問題は、加工現場においてリワークや不良品の原因となるだけでなく、品質保証にも影響を与えます。
難削材を安定して加工するためには、最初から仕上げ精度や部品構造を意識した設計や、専用工具・高剛性の工作機械の導入など、全体的な加工戦略が求められます。
工具への影響
工具寿命の短縮とコスト増加
難削材を加工する上で最も深刻な課題の一つが、切削工具の寿命が著しく短くなるという問題です。
加工抵抗、発熱、材料の粘り、加工硬化などが複合的に作用し、工具に過剰な負荷がかかるため、工具摩耗が急速に進行します。
その結果、工具交換の頻度が高まり、工具費のみならず、加工停止や再調整といった間接的なコストも大幅に増加します。
難削材が工具寿命を縮める要因
以下のような材料特性が、工具寿命に強く影響します。
・高硬度・高強度:
ニッケル基超合金や高硬度ステンレスなどは、切削点で工具に極めて大きな応力を与えます。
これにより、摩耗だけでなく微細な破壊(チッピング、クラック)が進行しやすく、工具の消耗が早まります。
・低熱伝導性:
発生した切削熱がワーク内部へ逃げず、工具に集中するため、熱による摩耗(熱摩耗・溶着)が加速されます。
特に超硬工具は一定温度以上で急激に耐久性が低下するため、寿命に大きな影響を与えます。
・加工硬化・ビルトアップエッジの発生:
ステンレス鋼やチタン合金は加工硬化を起こしやすく、二次的に刃先への負担を増やします。
また、工具に切りくずが粘着して剥がれることで刃先が損傷する現象(ビルトアップエッジ)も工具摩耗を早めます。
工具寿命の低下がもたらすコストへの影響
工具寿命が短いことで、以下のようなコストが連鎖的に増加します。
・直接的な工具費の増加
難削材用の高性能工具は、1本あたり数千円~数万円するものも珍しくなく、交換頻度が高まることで材料費よりも工具費の方が支配的になることすらあります。
・工具交換にかかる段取り・停止コスト
工具の摩耗や破損によって、作業の一時中断・工具交換・再設定が発生すると、機械稼働率が低下します。
これが長時間化すると、1回の加工にかかる総コスト(加工単価)が大きく上昇します。
・加工不良による再加工・廃棄リスク
摩耗した工具を使い続けると、寸法ズレや面粗さ不良、さらにはバリ・欠けなどが発生しやすくなり、完成品としての信頼性が損なわれます。
高価な難削材を廃棄せざるを得ない状況になれば、材料損失+人件費+時間的損失が重くのしかかります。
対応策とコスト低減への工夫
こうした工具寿命低下の課題に対して、現場では以下のような工夫が求められます。
・専用工具材とコーティングの採用
耐熱性や耐摩耗性に優れるCBN(立方晶窒化ホウ素)やセラミック工具、あるいはTiAlNやAlCrNなどの高性能コーティングを施した工具の使用により、摩耗を抑えることができます。
・工具監視システムの導入
工具の摩耗状態をリアルタイムで監視することで、突発的な破損や不良品の発生を未然に防止し、最適なタイミングでの交換が可能になります。
・切削条件の最適化
単純に低速にすれば工具寿命が延びるわけではありません。
加工材ごとの切削速度・送り・切込み量を最適化することで、バランス良く寿命を確保することが重要です。
このように、難削材の加工は単なる「工具の消耗が激しい」というレベルに留まらず、生産工程全体にわたるコスト構造に直結します。
そのため、「工具寿命をいかに延ばすか」=「難削材加工をいかに成功させるか」という視点が不可欠であり、工具選定・管理・運用の最適化が製造現場の鍵を握っています。
工具選定とコーティング技術の重要性
難削材を効率的かつ高精度に加工するためには、使用する切削工具の選定が極めて重要です。
難削材は高温強度、耐摩耗性、耐熱性、硬度などが優れており、その分、通常の工具では摩耗が早く、刃先のチッピングや熱損傷が発生しやすいためです。
そのため、工具素材や形状の選定、さらに表面コーティング技術の活用が加工作業の成否を大きく左右します。
まず工具素材について、超硬合金(タングステンカーバイド)やセラミック、CBN(立方晶窒化ホウ素)、PCD(多結晶ダイヤモンド)などが難削材に対して有効です。
たとえばチタン合金や耐熱合金のような高温環境下での加工では、耐熱性に優れるセラミック工具が適しています。
一方で、焼入れ鋼など高硬度材にはCBN工具が効果的です。
ただし、これらの高性能工具はコストが高いため、加工効率と寿命のバランスを見極めることが不可欠です。
さらに、近年ではコーティング技術の進化によって、工具寿命と切削性能の向上が著しく進んでいます。
代表的なコーティングにはTiN(窒化チタン)、TiAlN(窒化チタンアルミ)、AlCrN(窒化アルミクロム)などがあり、これらは表面硬度を高めたり、耐熱性や潤滑性を付与したりすることで、工具の耐久性を飛躍的に向上させます。
特に高速切削では、コーティングの有無で切削熱の影響が大きく異なり、刃先の酸化や摩耗を防ぐために不可欠な要素となります。
また、切りくず排出性や加工面の仕上がりにも影響するため、工具形状(逃げ角、すくい角、溝形状)とコーティングの組み合わせも重要です。
例えば、難削材特有の粘り強さによる切りくずの付着(ビルドアップエッジ)を抑えるためには、低摩擦性をもつコーティングと切りくず排出に優れた工具形状の組み合わせが必要になります。
総じて、難削材の加工では「どの工具を使うか」「その工具にどんなコーティングが施されているか」が品質や生産性に直結します。
従って、加工対象材の特性を見極め、最適な工具とコーティング技術を選択することが、難削材加工の成否を大きく左右する重要な要素なのです。
切削条件の最適化の難しさ
難削材加工において、切削条件の最適化は加工品質と生産性を両立させるために欠かせない要素です。
しかしながら、この最適化は容易ではなく、多くの要因が絡み合っており、設定を誤ると工具寿命の低下、加工不良、熱損傷、さらにはワークの破損といった問題が発生します。
切削条件とは主に、切削速度(Vc)、送り速度(f)、切込み深さ(ap)、クーラントの使用条件などを指します。
難削材は一般に高温強度が高く、切削熱が刃先に集中しやすいため、切削速度を上げすぎると工具が急激に摩耗したり、焼き付きが発生したりする危険があります。
一方で、切削速度を過度に抑えすぎると、逆に切りくずが厚くなり、加工抵抗が増加して振動が発生しやすくなります。
このように、バランスの取れた切削速度の設定が極めて難しいのです。
また、送り速度の設定も重要です。
難削材は粘り強さが高いため、送りが大きいと切削抵抗が増して加工面が荒くなる一方、送りが小さすぎるとビルドアップエッジが形成されやすく、工具刃先の摩耗や欠けにつながります。
切込み深さに関しても、深すぎると工具に過大な負荷がかかり、浅すぎると加工能率が低下します。
さらに、クーラントの使い方も難削材加工における重要なパラメータです。
切削点への冷却と潤滑を適切に行うことで工具の発熱と摩耗を抑えられますが、過剰な冷却によって熱ショックを引き起こすと、刃先が割れる可能性もあります。
特にセラミック工具などは乾式加工が基本であり、誤ったクーラントの使用が工具寿命を著しく低下させることもあります。
加えて、難削材によっては「適正な切削条件」が非常に狭い範囲に集中しており、ちょっとした設定の違いで加工結果が大きく異なるケースも珍しくありません。
そのため、試作段階での切削試験やCAE解析などによる条件設定の検証が重要になります。
このように、難削材の加工における切削条件の最適化は、単に数値を調整するだけでなく、材料特性・工具特性・加工機の性能・環境条件を総合的に判断しながら行う必要があり、高度な知識と経験が求められる工程です。
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