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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

ハイトゲージとは?構造や使用方法などを解説します!

本日は検査器具の一つであるハイトゲージについて解説していきます。
構造や使用方法など解説していきますので、是非ご覧ください♪

必達試作人
必達試作人
ハイトゲージを使用して高さ計測!

ハイトゲージとは

ハイトゲージは、加工品や部品の高さ、位置、深さ、段差などを正確に測定するための測定器具です。
主に定盤と呼ばれる平坦な基準面の上で使用され、垂直方向の距離を測定するのが特徴です。
ハイトゲージの基本構造は以下のような部品で構成されています。
・ベース(台座):測定の安定性を確保するための基礎部分であり、定盤上を滑らせることで測定位置を調整します。重量があり、転倒防止や測定時のブレを抑える役割があります。
・支柱(コラム):ベースから垂直に立ち上がった棒状の部分で、目盛やスケールが刻まれています。この支柱に沿ってスライダが移動します。
・スライダ(キャリッジ):測定子を取り付ける部分であり、支柱に沿って上下に移動します。調整ネジやロック機構が備わっていることが多く、精密な高さ設定が可能です。
・測定子(タッチプローブ):実際にワーク(被測定物)に接触して高さを測定する部分です。標準のものは刃型ですが、測定対象に応じて交換が可能です。
・目盛・デジタル表示部:ダイヤル式であればスライダに連動した針が目盛を指し、デジタル式であれば液晶画面に数値が表示されます。近年は数値の読取り誤差を防ぐため、デジタル式が主流です。
ノギスやマイクロメータとの違いは、基準面を定盤とし、垂直方向の絶対測定が可能な点です。
特に複数の高さや段差を繰り返し測定する際に安定性と再現性に優れ、加工現場や品質検査での使用頻度が高くなっています。

測定の仕組みと測定原理

ハイトゲージは、定盤を基準面として、その上に置いたワークの表面までの垂直距離を測定します。
測定の基本原理は、定盤からの相対距離を測ることでワークの高さや段差を数値化するというものです。
測定時は、まず定盤の水平度を確認することが重要です。
定盤が歪んでいると、すべての測定値が誤差を含む結果になります。
測定子をワーク表面にそっと接触させ、滑らかにスライダを移動させながら、目盛または表示部で数値を読み取ります。
また、以下のような誤差要因も理解しておく必要があります。
・定盤の汚れや傷:ゴミや油分がついていると高さに微小な誤差が生じます。
・測定圧のばらつき:測定子を押しつけすぎると、ワークや測定子がわずかにたわみ、測定誤差が発生します。
・温度変化:金属製のハイトゲージやワークは、温度変化によって膨張・収縮するため、測定結果にも影響が出ます。
このように、ハイトゲージは非常に高精度な測定器ですが、使い方次第で結果が大きく左右されるため、取り扱いには細心の注意が必要です。

ハイトゲージの種類と選び方

ダイヤル式とデジタル式の違い

ハイトゲージには大きく分けて「ダイヤル式」と「デジタル式」の2種類があります。
どちらも垂直方向の寸法を測定する点は共通していますが、表示方式と使い勝手に違いがあります。
ダイヤル式ハイトゲージは、測定子がワークに接触すると、針が目盛板を回転して数値を表示します。
このタイプは、機構がシンプルで壊れにくく、電源を必要としない点がメリットです。
また、感覚的な読み取りができるため、熟練者には使いやすいとされています。
ただし、目視で読み取るため読取りミスが発生しやすく、記録やデータ転送には向いていません。
一方、デジタル式ハイトゲージは、数値が液晶ディスプレイに表示されるため、読み取りが非常に簡単です。
0.01mm単位や0.001mm単位の高分解能で表示できるモデルもあり、測定精度の高い加工品に適しています。
さらに、測定データをUSBや無線でPCに転送できる機能が備わっているモデルも多く、品質管理やトレーサビリティ確保に大きく貢献します。
使用シーンに応じた選定も重要です。
例えば、簡易的な寸法確認や屋外作業などでは堅牢なダイヤル式が適しており、精密部品の検査や記録が必要な場合はデジタル式が効果的です。
それぞれの特性を理解し、自社の用途に最適な機種を選ぶことが大切です。

高精度タイプ・2Dハイトゲージの特徴

高精度タイプおよび2D機能を備えたハイトゲージは、より高度な測定ニーズに対応する上位モデルです。
これらは主に、精密金型、医療機器部品、電子部品といった高精度が求められる製品の検査現場で利用されます。
高精度タイプには、リニアスケール(直線光学エンコーダ)を内蔵したモデルがあり、0.001mm(1μm)単位での測定が可能です。
測定の繰り返し精度も非常に高く、精密な寸法管理が可能となります。
さらに、温度補正機能や自動原点復帰機能を搭載したモデルもあり、作業の安定性や信頼性が向上します。
また、空気ベアリング式のハイトゲージは、ベース部分にエアフロート機能を備え、定盤上を滑らかに移動できます。
摩擦が極めて少ないため、測定時のブレや誤差を最小限に抑えることができ、特に微細な測定に有効です。
2Dハイトゲージは、通常の高さ測定に加えて、穴の中心位置、外形からの距離、溝幅などの2次元的な測定が可能です。
測定結果を内部で演算し、座標値として出力できるため、簡易的なCMM(三次元測定機)のような使い方が可能になります。
一部機種ではグラフィック表示やCADデータとの連携もでき、検査工程の効率化に大きく貢献します。
このような高機能タイプは価格も高くなりますが、測定の信頼性と生産性向上の観点から、導入メリットは非常に大きいと言えます。
特に品質保証の厳しい業界では、導入によって不良品の発生を抑え、顧客からの信頼性向上にもつながります。

測定範囲と分解能の選び方

ハイトゲージを選定する際、測定範囲と分解能の適切な選択は非常に重要です。
誤ったスペックの選定は、作業効率の低下や測定誤差の増加につながる可能性があります。
まず測定範囲についてですが、一般的には300mm、600mm、1000mmなどが主流です。
300mmタイプは取り回しがよく、卓上の小型ワーク測定に適しています。
一方、1000mmタイプは大型の板金部品や組立済製品の測定にも対応できます。
ただし、本体サイズが大きくなるほど重くなり、取り扱いや定盤スペースの確保が必要になります。
次に分解能ですが、これは「どれだけ細かく測定できるか」を表す指標です。
多くのダイヤル式ハイトゲージは0.01mm単位での測定が可能で、標準的な加工品には十分対応できます。
一方、デジタル式では0.001mm(1μm)の分解能を持つモデルも多く、精密部品や品質保証用途に適しています。
注意点としては、分解能が高いほど測定の再現性(繰り返し精度)も求められるため、定盤の精度や測定環境の影響も大きくなります。
選定の際には、使用する製品の寸法公差や検査精度、ワークサイズを確認することが重要です。
例えば、一般的な機械部品で±0.05mm程度の公差であれば、0.01mmの分解能で十分です。
しかし、±0.01mm以下の高精度が求められる場合は、より高精度のハイトゲージが必要になります。
また、将来の製品展開や測定項目の拡張も見据えて、ある程度余裕のあるスペックを選定することが推奨されます。
過不足のない選定により、長期的に安定した測定環境を実現することができます。

ハイトゲージの使用方法と測定のコツ

正しいセッティング方法

ハイトゲージ

ハイトゲージで正確な測定を行うには、事前のセッティングが非常に重要です。
まず行うべきは定盤の清掃です。定盤に微細なゴミや油分が残っていると、測定値に誤差が生じます。
クリーンペーパーとアルコールを用いて丁寧に拭き取り、完全に乾いた状態にします。
次に、ハイトゲージ本体の底部も清掃し、定盤にしっかりと接地できるようにします。
傾きや浮きがあるとスライダの動きが不安定になり、再現性が確保できません。
また、スライダがスムーズに移動するか確認し、必要があれば潤滑剤を適量塗布します。
ゼロ点調整は必ず行うべき基本動作です。
測定子(タッチプローブ)を定盤に軽く当て、目盛またはデジタル表示をゼロに設定します。
これにより、以後の測定値は定盤からの高さを正確に示します。
測定子の取り付けにも注意が必要で、ゆるみや傾きがあると正しい数値が得られません。
専用のレンチでしっかりと固定し、先端が垂直に接地することを確認します。
このように、測定前の準備段階で精度に悪影響を与える要因を取り除いておくことが、安定した測定結果を得るうえで不可欠です。
セッティングの丁寧さが、品質管理や工程内検査の信頼性を左右するといっても過言ではありません。

実際の測定手順と注意点

ハイトゲージによる測定は、一見シンプルに見えますが、正確に行うにはいくつかの注意点があります。
まず、ワークを定盤上に正しく配置することが大前提です。
ワークが傾いていたり、定盤との接地が不完全だったりすると、測定値に大きな誤差を生じます。
ワークの配置が終わったら、スライダを上下させて測定子を測定箇所に静かに接触させます。
このとき、無理に押し付けたりすると、ワークが動いたり、測定子がたわんだりして正しい値が得られません。
軽く接触した状態で測定値を読み取ることが大切です。
スライダの移動は、一定の速度と力加減で行います。
急に動かすと慣性でオーバーシュートしたり、数値が安定しなかったりします。
デジタル式であれば、数値が安定するのを待ってから読み取るのが基本です。
測定後は、測定子をワークから離し、次の測定箇所へ移動させます。
複数点を測定する場合も、毎回ゼロ点がズレていないかをチェックするとよいでしょう。
また、測定する部位の素材や表面粗さによっても数値が変わることがあるため、必要に応じて測定子の材質や形状を使い分けることも効果的です。
さらに、定盤やワークの温度も測定精度に影響を与えます。
精密測定では、温度変化による膨張・収縮を考慮し、できる限り恒温環境で作業することが望ましいです。
このように、測定時のちょっとした気配りが、高い再現性と正確性につながります。

測定データの活用と管理

現代の製造現場では、測定データをただ取得するだけでなく、それをいかに活用し管理するかが重要です。
特にデジタル式ハイトゲージには、USBやRS-232C、Bluetoothなどの出力機能が搭載されており、測定値をPCや測定ソフトに自動で転送できます。
これにより、手書き記録による転記ミスが防げ、データの蓄積・分析が容易になります。工程内検査でのトレーサビリティ確保や、品質保証部門での製品評価において非常に有効です。
たとえば、Excelと接続してリアルタイムに記録を行えば、グラフ化や平均値・ばらつきの算出も簡単に行えます。
また、QCツールと連携させて、工程能力指数(Cp、Cpk)を自動計算し、工程の安定性をチェックすることも可能です。
さらに、製品ロットごとに測定データをデータベースで管理すれば、クレーム発生時にも迅速に該当ロットの検証ができます。
IoTの導入が進むなか、こうしたデジタルデータの活用は、スマートファクトリー実現に向けた第一歩ともいえます。
ただし、正確なデータ活用には、測定環境の安定性と測定者の習熟度も不可欠です。
センサや測定子の校正を定期的に行い、信頼性のある測定体制を維持することが、データ管理の根幹を支えます。

ハイトゲージと他の測定器との比較

ノギス・マイクロメータとの使い分け

ハイトゲージとノギス、マイクロメータは、いずれも寸法測定に使用される基本的な測定器具ですが、それぞれの特性を理解することで、より効果的に使い分けることが可能です。
ノギスは外径、内径、段差、深さなど多用途に使える汎用的な測定器で、可搬性と手軽さが魅力です。
一方、ハイトゲージは定盤を基準とした高さ方向の測定に特化しており、より高い安定性と繰り返し精度を実現できます。
ノギスでは人の持ち方や姿勢によるバラツキが生じやすいのに対し、ハイトゲージでは定盤と垂直方向を基準にするため、再現性の高い測定が可能です。
マイクロメータは非常に高精度な測定を行うための器具で、分解能は通常0.01mmまたは0.001mmと細かく、外径測定においてその真価を発揮します。
ハイトゲージも0.001mm単位の測定が可能な高精度タイプがありますが、構造上、主に垂直方向の寸法確認に使われます。
高精度が必要な小径シャフトなどの測定にはマイクロメータが適し、面の高さや位置を確認したい場合にはハイトゲージが有効です。
実際の製品検査現場では、ノギスは工程内の素早いチェックに、マイクロメータは重要寸法の高精度測定に、ハイトゲージは高さや相対位置の管理に使い分けられています。
それぞれの測定器には得意分野があり、目的や部品形状に応じた適材適所の選定が、品質と効率の両立につながります。

三次元測定機との比較と併用

CMM(Coordinate Measuring Machine:三次元測定機)は、製品の複雑な形状を3Dで正確に測定できる高度な機器です。
一方、ハイトゲージは主に2次元、特に垂直方向の測定に特化しており、導入コストや操作性の面で優れた手軽さを持ちます。
三次元測定機は、座標軸(X, Y, Z)に沿った高精度な空間測定が可能で、形状全体の精度評価や幾何公差の測定にも対応できます。
しかし、その分、測定環境(恒温室)や熟練したオペレータ、高価な設備投資が必要となります。
対して、ハイトゲージは定盤と組み合わせることで、比較的簡単に安定した高さ測定や位置関係の確認ができ、量産現場での工程内検査にも向いています。
特にデジタル式や2Dタイプでは簡易的に円や溝の中心座標の取得も可能で、CMMほどの精度や多軸性はないものの、現場でのスピーディーな確認作業には最適です。
実際の現場では、まずハイトゲージでの工程内チェックを行い、NGが発生した際や初品確認、量産前の治具合わせなどでCMMを使うといった併用例が一般的です。
これにより、日常的な検査業務の効率を保ちながら、精密部品の全体検査も網羅できる体制が整います。
戦略的に両者を併用することで、コストパフォーマンスと品質保証を両立させることができ、特に多品種少量生産が求められる現代の製造現場において有効な手段となっています。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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