穴加工とは?基礎から応用まで徹底解説
おはようございます!本日は切削加工の一つである穴加工の基本をお伝えします!
初心者の方は必見となりますので、是非ご覧ください♪

穴加工とは

穴加工とは、金属や樹脂などの材料に対して、ドリルやリーマー、ボーリング工具などを用いて穴をあける加工方法の総称です。
機械加工の中でも非常に基本的なプロセスでありながら、製品の機能性や精度に大きく関わる重要な工程です。
たとえば、ねじ穴、軸受け穴、ピン挿入用穴など、機械部品には多種多様な穴が設けられています。
穴の直径や深さ、真円度や位置精度など、目的に応じた加工方法の選択が必要です。
近年ではCNCマシニングセンタやボール盤などの自動加工機が広く用いられており、複雑な穴加工にも対応可能です。
穴加工に使用される代表的な工具
穴加工に用いられる工具には様々な種類があります。
代表的なものが「ドリル」です。中でもツイストドリルは最も一般的で、多くの金属材料に使用されます。
他には、精度を高めるために用いられる「リーマー」や、穴を拡張して高精度に仕上げる「ボーリングバー」、ねじを切る「タップ」なども穴加工の一環として重要な工具です。
それぞれの工具は形状や用途が異なり、目的に応じた選定が求められます。
また、工具の材質やコーティングによって切削性能や耐久性も変わるため、加工対象材料や生産量に応じた適切な工具選びが生産効率に直結します。
穴加工の主な加工方法と特徴
ドリリング(穴あけ)
ドリリングは、回転工具であるドリルを使用して材料に穴をあける基本的な加工方法です。
下穴を開ける工程として広く利用されており、スピードとコストのバランスに優れています。
一般的にツイストドリルが使用され、穴径は数mmから数十mmまで対応可能です。
ただし、ドリル加工は加工時に逃げやすく、真円度や位置精度に限界があるため、仕上げ加工が必要な場面も多いです。
また、深穴加工では切りくずの排出が課題となるため、クーラントの供給方法や切削条件の調整が重要です。
リーミング(仕上げ加工)
リーミングは、ドリルで開けた下穴をさらに高精度に仕上げるための加工です。
リーマーという専用工具を使用し、穴径の精度や表面粗さを改善する目的で行われます。
リーミングによって、IT6〜IT7の穴公差が得られ、軸受け穴や精密な嵌合部に適しています。
加工速度は比較的遅く設定され、切りくずの発生も少ないため、安定した仕上がりが期待できます。
使用するリーマーの材質や刃数、形状によって加工特性が変わるため、最適な工具選定が求められます。
ボーリング(内径拡張)
ボーリングは、ドリルで開けた穴をさらに拡張し、真円度や直進性を向上させるための加工です。
ボーリングバーという片刃または多刃の工具を使い、CNC旋盤やマシニングセンタで行われることが一般的です。
ドリリングよりも高精度かつ深い穴を加工できるため、大径穴や長尺部品の加工に適しています。
また、加工中に切削条件を調整することで、微調整による高精度な内径制御が可能です。
特に重切削が求められる場面や、鋳物などの粗い面の内径加工に強みがあります。
穴加工における注意点と対策

精度と位置ズレの問題
穴加工では、穴の位置や径の精度が極めて重要です。
わずかなズレでも組立精度や製品の性能に大きく影響するため、機械の剛性や加工条件、工具の摩耗など、様々な要因を管理する必要があります。
特にドリルは先端が材料に接触する瞬間に逃げやすいため、センタリング加工やセンタードリルの活用が推奨されます。
また、CNC機による制御でも、位置補正や定期的な工具測定が不可欠です。
測定具や画像処理技術を用いたリアルタイムモニタリングも近年では普及しつつあり、品質管理の高度化が進んでいます。
バリの発生と除去
穴加工では、加工後に材料の端部に「バリ」と呼ばれる突起が発生します。
バリは見た目の悪さだけでなく、後工程の不具合や組立障害を引き起こす原因にもなります。
特に貫通穴では出口側に大きなバリができやすく、除去作業の負担が増します。
バリの発生を抑えるには、切削条件の最適化や刃物の選定が重要です。
また、加工後のバリ取り作業には、手作業による面取りや、専用のバリ取り機械、ブラシ、砥石などが使われます。
近年では、バリを最小限に抑える工具や、同時に面取りができる特殊ドリルの導入も進んでいます。
穴加工の自動化・最新技術
穴加工の自動化とマシニングセンタの活用
穴加工の分野でも、自動化技術の導入が急速に進んでいます。
代表的な例がCNCマシニングセンタによる穴加工です。
ツールマガジンとATC(自動工具交換装置)を備えたマシニングセンタでは、1つのプログラムで複数種類の穴加工を自動で行うことができます。
たとえば、センタリング、ドリリング、リーミング、タップ加工までを連続して行えるため、加工効率と一貫性が大幅に向上します。
さらに、多軸機や5軸マシンを使用することで、斜め方向の穴や複雑な角度での穴加工も可能となり、これまで治具を必要としていた加工も一台で完結できるケースが増えています。
また、工具摩耗の自動検出や工具長補正といった補助機能も備えており、安定した品質での連続加工が実現されています。
穴加工における高機能ドリルの進化
近年、穴加工に用いられるドリル工具そのものも大きく進化しています。
特に多く使われているのが、高硬度材料にも対応可能な超硬ドリルやコーティングドリルです。
これらのドリルは高い耐摩耗性を持ち、長寿命かつ高能率な加工が可能です。
さらに、内部に冷却用のクーラントホールを持つ「内冷式ドリル」も多く採用されています。
これにより、切削点に直接クーラントを供給できるため、深穴加工における切りくずの排出性や加工温度の安定性が向上します。
また、段付きドリルや面取り付きドリルのように、1本で複数工程を兼ねる高機能工具も登場しており、工程集約による生産性の向上が可能になっています。
穴加工とIoT・デジタル技術の融合
穴加工を含む切削加工の分野では、IoT(モノのインターネット)やAI、デジタルツインといった先端技術の導入が進んでいます。
たとえば、加工機にセンサーを取り付けて工具の負荷や振動をモニタリングすることで、工具の異常や摩耗をリアルタイムに検出し、予知保全につなげることができます。
また、加工データをクラウドで管理・解析することで、加工条件の最適化やトレーサビリティの確保が可能です。
さらに、加工シミュレーションやCAD/CAMソフトと連携させることで、複雑な穴配置や干渉チェックも事前に把握でき、生産準備の時間短縮にも貢献しています。
これらの技術の導入により、穴加工は単なる「穴あけ作業」から「スマートな精密工程」へと進化を遂げています。
加工材ごとの穴加工のポイント
アルミ材の穴加工
アルミニウムは軽量で加工性に優れた材料であり、穴加工においても比較的容易な部類に入ります。
ただし、柔らかく粘り気があるため、切りくずが絡みやすく、仕上げ面に傷が入りやすいという注意点があります。
そのため、アルミ用に設計された鋭角の切れ刃を持つドリルや、表面にフッ素系やTiNコーティングが施された工具を選ぶと、切りくずの排出性が向上し、加工面もきれいに仕上がります。
また、クーラントの使用も効果的で、熱の発生を抑え、切削抵抗を軽減します。
バリの発生も比較的少ないですが、貫通穴や小径穴ではやはり面取り処理やバリ取り工程が推奨されます。
高速回転と高送りが基本となるため、適切な回転数と送り速度のバランスを見極めることが高精度加工の鍵です。
鋼材(炭素鋼・合金鋼)の穴加工
鋼材は自動車部品や機械構造用として多用される素材ですが、硬度が高く、工具への負担が大きいのが特徴です。
一般的なドリルでは摩耗が早いため、超硬ドリルや耐摩耗性に優れたコーティング工具が推奨されます。
また、鋼材は加工時に高温になりやすく、切削熱が工具寿命を縮める原因となるため、クーラントの使用は必須です。
特に高炭素鋼や合金鋼では、加工硬化にも注意が必要で、切削速度や送りを適正に設定しないと、ドリルの先端が滑って正確な穴位置が得られないことがあります。
穴位置精度を求められる場合は、センタードリルで事前に下穴を明確にしておくとよいでしょう。
鋼材の中でもS45Cなどは比較的加工性がよく、工具選定と条件設定によって高精度な穴加工が可能です。
ステンレスや難削材の穴加工
ステンレスやチタン、インコネルといった難削材は、穴加工において最も厄介な材料です。
粘性が高く、熱伝導率が低いため、切削熱が工具先端に集中しやすく、工具の摩耗や欠損が頻発します。
そのため、超硬ドリルやコバルトハイスドリルに加え、耐熱性の高いPVDコーティングを施した工具の使用が効果的です。
また、送り速度を低めに設定し、適度な切削速度で加工することが重要です。
内部給油式の工具を使用することで、切削点への冷却と切りくず排出が安定し、加工トラブルを抑えることができます。
さらに、穴が深い場合には、ピーニング(断続加工)や中間での切りくず除去を行うことで、加工効率と工具寿命の両立が図れます。
難削材にはとにかく「無理をしない」条件設定と高性能な工具が求められます。
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