皿もみ加工の基本知識、解説します!
本日は皿もみ加工について解説していきます!
皿もみ加工の基本知識を解説していきますので、是非ご覧ください♪
皿もみ加工とは
例えば、皿形状の頭を持つねじを板金にねじ込むとき、単に穴をあけただけではねじ頭が出っ張ってしまいます。
皿もみ加工は、そのねじ頭を板金と同じ面もしくはそれ以下に沈めるために、板金であけた穴の縁を面取りする加工です。
また、似たような加工にザグリ加工があります。
ザグリとは、ねじを締めるときに座りをよくするための穴の周辺を加工することです。
そのため、ザグリ加工には、皿ねじに限らないねじ一般の頭部を隠すための加工も含みます。
例えば、ねじを入れこむ穴に段を成形する段加工もザグリ加工の一つです。
皿穴加工についても、ザグリ加工の一種と言えるため、皿ザグリ加工と呼ばれることがあります。
皿穴加工の代表的な事例としては、扉の蝶番が挙げられます。
蝶番は、扉を閉めるときにその羽根がぴったりと閉まります。
そのため、ねじが出っ張っていると扉はしっかり閉めることができません。
そのほか、人の目につく外観部、他の部品などを傷つけてしまう部分、人が引っ掛けてしまう箇所にも皿穴加工は良く行われます。
皿もみ加工寸法
皿穴加工の寸法は、皿頭ねじのサイズがJIS規格で標準化されているので、ねじのサイズに合わせて決まってきます。
皿頭ねじは、そのねじ部の直径(呼び径)から、呼び径が2mmならM2というようにM○といった名称で呼ばれています。
さらに、皿頭の開き角度は呼び径によらず90°で、それぞれ皿頭の径や高さが規格で決まっています。
ただし、ねじ部の長さ(呼び長さ)だけは製品によって幅があります。
下表は、代表的な皿頭ねじのサイズです。
ねじの呼び | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
頭部の径 | 4 | 5 | 6 | 8 | 10 | 12 | 16 |
頭部の高さ | 1.2 | 1.45 | 1.75 | 2.3 | 2.8 | 3.4 | 4.4 |
呼び長さ | 5~20 | 6~30 | 6~40 | 8~50 | 10~50 | 12~60 | 14~60 |
しかし、皿穴加工した皿穴は、皿頭を板金と同一面にする場合でも、ねじの頭よりわずかに大きい形状にする必要があります。
そして、皿穴のサイズを変えることでねじの沈みを調整することができます。
ただし、板金が皿頭の高さより薄い場合には、皿穴加工できないので注意が必要です。
下表は、代表的な皿頭ねじに対しての一般的な皿穴のサイズです。
ねじのサイズ | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
ねじ部の穴径 | 2.3 | 3 | 3.4 | 4.5 | 5.5 | 6.6 | 9 |
皿穴の径 | 4.3 | 5.3 | 6.3 | 8.4 | 10.5 | 12.5 | 17 |
皿穴の深さ | 1.2~1.4 | 1.4~1.6 | 1.7~1.9 | 2.3~2.6 | 2.8~3.1 | 3.3~3.6 | 4.3~4.6 |
皿頭ねじのサイズと皿穴のサイズを比べると、M2では皿頭ねじのサイズと比べて0.3mmほど皿穴のサイズを大きく成形しています。
それにより、皿穴の深さが1.2~1.4mmとなり、ねじの皿頭が板金と同一面か0.2mmほど沈み込む状態になるようです。
皿もみの加工方法
切削加工
切削加工は、ボール盤や電気ドリル、インパクトドライバーなどの切削工具にドリルを取り付けて加工します。
このとき、事前にねじ部の穴あけ加工を行う必要がありますが、最近の皿穴加工専用ドリルには、穴あけ加工と皿穴加工を一気にできるものもあります。
また注意点として、皿穴加工専用のドリルを使わないと、ねじがきっちりはまる皿穴にならないことがあります。
例えば、皿穴加工専用ではない一般的なドリルの先端角は118°もしくは120°です。
そのため、皿穴の直径を皿頭ねじの直径に合わせて皿もみしてもねじは浮いてしまいます。
バーリング加工
バーリング加工はプレスすることで、穴を広げると同時に穴の縁にフランジと呼ばれる盛り上がりを成形する加工方法のことです。
プレスに皿穴用の金型を取り付けることで、フランジの成形と同時に皿穴加工を行うことができます。
また、フランジを成形できるので、切削加工では皿もみできない薄い板金でも皿穴を成形できる利点があります。
パンチング加工
パンチング加工は、プレスすることで、金型の形に穴を打ち抜く加工方法です。
プレスに取り付ける金型によっては、穴の打ち抜きと皿穴の成形を同時に行うことができます。
そのため、切削加工やバーリング加工での手間が不要で低コストで皿穴を成形できます。
しかし、パンチング加工では、板金をちぎり取ったり押しつぶしたりして穴あけや成形を行うので、バリと呼ばれる突起状の変形や反りなどが発生することがあります。
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