LINEでお問い合わせ

試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

PP樹脂とは?特徴や用途など解説していきます!

本日はPP(ポリプロピレン)樹脂について解説していきます。
特徴や用途などご紹介していきますので、是非ご覧ください♪

PP(ポリプロピレン)とは

ポリプロピレンとはプラスチックの一種であり、プロピレンと呼ばれる無色透明な気体を利用することで作られます。
ポリプロピレンは非常に軽いことと加工性が高いことから、一般家庭で使用される身の回りの様々な製品に使われています。
射出成形・押出成形・ブロー成形・真空成形など、様々な製法を行えるので、大量生産に適しているのです。
さらには、近年では3Dプリンターの材料としても利用されています。

PP(ポリプロピレン)の歴史

PPが開発されたのは1950年代の初期までさかのぼります。
ドイツの化学者カール・チーグラーが、チーグラー・ナッタ触媒はPPの原料となるプロピレンを合成するには適していませんでした。
それをどうにかしようと、ジュリオ・ナッタとカール・レーンは1954年にチーグラー・ナッタ触媒を改良し、ポリプロピレンを製造するのに適した触媒を開発。
3年後の1957年にはイタリアのモンテカチーニ社によって、ポリプロピレンの商業生産が開始されました。
そこからさらに改良を重ねることで、ポリプロピレンの生産量はポリエチレンに次ぐ2番目までになり、全世界で広く利用されるまでになりました。

PP(ポリプレピレン)の加工法と製法・用途

射出成形の用途や製品

ポリプロピレンを使用した製品イメージ

射出成形は、プラスチックを約200℃近い高温で溶かして、高圧で金型の中に流し込んだ後に冷やすことで成形を行う加工方法です。
製造の際に、注射器で液体を送り込む様子に見えることから射出成形と呼ばれています。

金型さえ作ってしまえば、プラスチック製品を一気に量産することができる製法です。
射出成形のメリットは生産性が高いこととクオリティが高いプラスチックパーツが作成できることで、実際にビール用のコンテナ、はさみの取っ手などが作られています。

射出成形はポリプロピレンだけではなく、プラスチック製品全体で多く使われている加工法です。
実際プラスチック製品の7~8割がこの射出成形によって加工されているのです。

押出成形の用途や製品

押出成形は、加熱して溶かしたプラスチックを金型に流し込んで圧力を加えて、押し出しながら作る加工法です。
金型から出てきたプラスチックを冷却して固めた後に、カット機で一定の長さに切断するので、金太郎飴のようにどこを切っても同じような形状となるのも特徴的です。

他の成型方法とは違って、金型の内部で樹脂を冷やして固めずに成形を行います。
その影響もあって、その日の気温・湿度・水温などの外部環境の影響を受けやすいため、それらを考慮してマニュアル操作を行わないといけないのが難しい点です。

押出成形で作られる製品としては、カップ麺の蓋やレジ袋などがあります。

中空成形の用途や製品

中空成形では、まずプラスチックを加熱して溶かしたり柔らかくしたりしたものを、金型に入れて円筒状にします。
それに空気を吹き込んで膨らませて、金型に押し当てて作る加工法です。
空気を入れるときは、まるで吹きガラスを作るようにも見えます

中空成形はブロー成形とも呼ばれていて、空洞がある製品を大量生産するときに適した成形方法です。
金型が簡素なので、金型を安く製造することができるというメリットがあるのですが、金型に触れない内側の面の精度をコントロールするのが難しいというデメリットがあります。

ガソリンタンクやバケツ、洗剤などのボトルなどの製造に用いられます。

PP(ポリプロピレン)のメリットやデメリット

メリット

プラスチック素材の中でも非常に軽い

ポリプロピレンの比重は0.90~0.91ととても軽い素材です。
私たちの身の回りでよく利用されているプラスチック素材の比重で比べると、一番よく利用されているPE(ポリエチレン)は0.91~0.95、合成繊維として衣類などによく利用されていて別名ナイロンと呼ばれているPA(ポリアミド)は1.2、ペットボトルをはじめとして写真用フィルム、たまごパックなどに利用されているPET(ポリエチレンテレフタラート)は1.35とポリエチレンが非常に軽い素材であると言えます。
その軽さを生かして、ポリプロピレンは製品の軽量化をする目的で利用されることがあります。

力を加えても変形しにくい(高剛性)

ポリプロピレンは外から力を加えても変形しにくいという特徴があります。
外からの負荷による変形しにくさは剛性と呼ばれていて、ポリプロピレンはとても剛性が高い素材です。
作りたい製品の形に削るときに大きな力がかかる場合には、変形しにくいほうが部品を精密に加工することができます。
その特徴を生かして、精密な部品を作る際に用いられます。

折り曲げに強い(ヒンジ特性がある)

ポリプロピレンはプラスチック素材の中でも特に粘り気があり、折り曲げても破壊されないような性質があります。
このような折り曲げに強い性質のことはヒンジ特性と言われます。
この特性を活かしてシャンプーや化粧品の蓋のように、蓋部分が完全に取れず、パチンと折り曲げることで蓋をする商品で使われるヒンジ付きキャップとしてよく利用されています。

PEと比較すると高熱に強い

PPはPEよりも高熱に強いという特性も持っています。
PPの融点は165℃であり、PEの融点の130℃と比べても熱に強いことがわかります。
このように高熱に強いという特性によって、電子レンジでの利用にも耐えることができるため、食品を収納する食品用タッパの素材として利用されています。

しかし、融点が165℃ということは、火や炎には耐えることができないので注意しましょう。

薬品による変形がない(良耐薬品性)

ポリプロピレンは、薬品に反応して変形したり、劣化したりすることがありません。
酸性やアルカリ性の強い薬品、沸騰した水、カー用品店やホームセンターにあるエンジンオイルとして使われている鉱物油など、多くの薬品や液体にも耐えられるので、注射器などの医療機器にも利用することができます。

デメリット

日光に弱い(耐候性が悪い)

ポリプロピレンは耐候性が悪く、日光や紫外線に当たり続けてしまうと傷みやすいというデメリットがあります。
色が白っぽくなったり、変形・割れ・反りが起きてしまったり、ヒビが入ったり、欠けたりします。
洗濯ばさみを屋外で利用していると徐々に変色し、最終的には割れてしまったという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
洗濯ばさみにはポリプロピレンが利用されており、この耐候性が悪いという特性が原因で劣化しています。
屋外で使用するけど劣化させるのは避けたいときには、安定剤などを入れて劣化を防止する必要があるのです。

接着性が悪い

ポリプロピレンは接着性が悪いという性質を持ちます。
ポリプロピレンは水に溶けにくい疎水性という性質を持つために接着することが難しい樹脂です。
接着剤でつけることも難しいです。
そのため、塗装や印刷をする際には下処理をしなければならず、少々コストがかかってしまいます。

ポリプロピレンのデメリットを打ち消す添加剤

先に述べたようにポリプロピレンにはデメリットがありますが、それを打ち消すために添加材を入れて対処することができます。
具体的には紫外線吸収剤や酸化防止剤、マレイン酸変性PPと呼ばれる添加剤があります。

屋外での利用をしたい場合には、紫外線吸収剤や酸化防止剤を使うことで、日光にさらされても劣化しないという耐候性を高めることができます。

ポリプロピレンにマレイン酸変性PPと呼ばれている添加剤を塗ると、接着・塗装性を高めることができます。
例えば、自動車のバンパーに付加した塗料を剥がれにくくするために、マレイン酸変性PPを下地材として塗るという形で利用されています。

PP(ポリプロピレン)の種類と特徴

ホモポリマー

ホモポリマーは、ポリプロピレンの原料であるプロピレンたった1種類だけで構成されたプラスチックです。
特徴としては外からの力で変形しにくい高い剛性と、高熱でも耐えられる高い耐熱性があります。
ただ、寒いところでは製品が脆くなってしまうという低温衝撃強度は低いので、寒冷地で使う工業製品への使用には向いていません。

ホモポリマーの主な用途には、
・お菓子や野菜に使われているOPPフィルム(延伸フィルム)
・使い捨てプラスチックなどに使われているCPPフィルム(未延伸フィルム)
・釣り糸やテニスラケットのガットに使われているモノフィラメント
・テープ
・不織布やロープ
・プリンカップ、トレイなどの小型容器
・コーヒーメーカーなどの家電用品
等に使われています。
ホモポリマーは比較的安価なうえに成形しやすいので、100円ショップに行くとたくさんのホモポリマー製品が見つかります。

ランダムコポリマー

ランダムコポリマーはポリエチレンの主な原料のプロピレンと、ポリエチレンにも使われているエチレンの2種類で構成されたプラスチックです。
プロピレンの間にエチレンがランダムにつながっていて結晶化しないので透明性が高いのが特徴的。
融点も低く、比較的軟らかいという特徴も持っています。

ランダムコポリマーの透明性を活かして、
・衣装ケースの本体
・注射器の本体(シリンジ)
・食品を包装するときに使うようなフィルム
・プリンカップなどの食品の容器(シート)
・家庭用の洗剤や食品に使われているボトル容器(ブローボトル)
等に多く使われています。

ブロックコポリマー

ブロックコポリマーはホモポリマーに、PEとEPR(エチレンポリプロピレンゴム)というゴム層で覆われているポリエチレンの粉を、それぞれ3つかけ合わせて作られるプラスチックです。

もともと変形に強いホモポリマーの中に、ゴム層のEPRの粉が分散しているので、強い耐衝撃性を与えることができるのです。
そのため、ブロックコポリマーはホモポリマーの低温に弱かったり衝撃に弱かったりするデメリットを解消したものだと理解するといいでしょう。

衝撃に強いというメリットを生かして、
・洗濯機や冷蔵庫などの家電部品
・コンテナ
・自動車部品(バンパー、バッテリーケース、エンジンルーム)
・注射器
等に使われています。
自動車には欠かせないのがこのブロックコポリマーです。

試作全国対応!
簡単・最短1時間お見積り

アスクならこんなお困りごとを解決します!

  • 他社では納期が間に合わないと言われた
  • 急な設計変更があった
  • 他社ではできないと言われた
  • 海外調達品の手直し・追加工
今すぐ無料でお見積りを依頼する

もっとアスクの事を知りたい!という方は
こちらもご覧ください!

株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
知っているようで知らない加工に関する知識をお届けします!

他、ブログ記事もご覧ください♪

動画の投稿もしておりますので良ければご覧ください♪