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試作人基礎講座

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PP樹脂の基礎知識:軽量・耐薬品性に優れたプラスチックの魅力とは

ポリプロピレン(PP)は、1954年にイタリアの化学者ジュリオ・ナッタによって工業的に合成可能な方法が発明されて以来、世界で最も生産量の多いプラスチックの一つとして広く利用されています。
その軽量性、耐薬品性、耐疲労性といった優れた特性により、家庭用品から自動車産業、医療分野に至るまで多岐にわたる用途に活用されています。
特に、比重が約0.90〜0.91とプラスチックの中でも最も軽い部類に属し、輸送効率の向上や製品の軽量化に大きく貢献しています。
本記事では、PP樹脂の特徴や用途について詳しく解説します。

PP(ポリプロピレン)とは

ポリプロピレン(PP)は、プロピレンという炭化水素モノマーを重合して得られる熱可塑性樹脂の一種であり、現在世界で最も生産量の多いプラスチックの一つです。
1954年にイタリアの化学者ジュリオ・ナッタが、チーグラー=ナッタ触媒を用いて工業的に合成可能な方法を発明したことで、その実用化が一気に進みました。
以後、ポリプロピレンはその優れた物性と汎用性から、家庭用品から自動車産業、医療分野に至るまで幅広い用途に利用されています。
ポリプロピレンの最大の特徴は「軽量性」「耐薬品性」「耐疲労性」にあります。
比重は約0.90〜0.91とプラスチックの中でも最も軽い部類に属し、輸送効率の向上や製品の軽量化に大きく貢献しています。
また、酸やアルカリ、塩類に対して極めて強い耐性を持ち、薬品容器や化学プラント設備に適した材料となっています。
さらに、繰り返し曲げても折れにくい性質、いわゆる「ヒンジ特性」を持ち、折りたたみ式の容器やキャップ部分に採用されることが多いのも特徴です。
加えて、ポリプロピレンは加工の自由度が高く、射出成形・押出成形・ブロー成形などの幅広い成形法に対応できる点も工業材料として重要です。
透明性の向上や強度の強化、難燃性や耐候性の付与など、添加剤や共重合による改良も進んでおり、用途の多様化を支えています。
たとえば、自動車分野では軽量化素材として金属代替に利用され、建材や家電ではコストパフォーマンスと性能の両立材として使用されています。
環境面でも注目されるのがポリプロピレンのリサイクル性です。
熱可塑性樹脂であるため再溶融が可能で、使用済み製品を回収し再利用することができます。
さらに燃焼させても塩素を含まないため有害ガスの発生が少なく、環境負荷の低減にもつながります。
近年ではリサイクルPPやバイオ由来PPの研究開発も進み、循環型社会の実現に向けた取り組みが拡大しています。
このように、ポリプロピレンは「軽くて強く、薬品や熱に強い」という優れた性質を持つだけでなく、加工性や環境適合性にも優れており、プラスチック材料の中でも特に汎用性と経済性に富んだ存在といえます。

ポリプロピレンの種類

ポリプロピレンは、同じ「PP」と呼ばれていても、その重合方法や組成の違いによりいくつかの種類に分かれ、特性や用途が異なります。
代表的なものは「ホモポリプロピレン」「ブロック共重合ポリプロピレン」「ランダム共重合ポリプロピレン」の三つです。
まず「ホモポリプロピレン(Homo-PP)」は、純粋にプロピレンモノマーだけを重合して得られるタイプです。
高い結晶性を持ち、剛性や耐熱性が優れているのが特徴です。
融点は約160〜170℃で、熱変形温度も高めなため、沸騰水や熱風にさらされる環境でも比較的安定しています。
そのため、自動車部品や産業用容器、電子部品のハウジングなど剛性が求められる用途に多く用いられます。
ただし、低温に弱く、0℃以下では衝撃に対して脆くなる性質があります。
次に「ブロック共重合ポリプロピレン(Block-PP)」は、プロピレンに一定割合のエチレンをブロック状に導入したものです。
エチレンの存在によって結晶性が低下するため剛性はやや落ちますが、その代わりに低温衝撃強度が大幅に改善されます。
寒冷地で使用するバンパーや外装部品、耐衝撃性を必要とするケースや容器に最適であり、自動車や建築資材に広く使われています。
「ランダム共重合ポリプロピレン(Random-PP)」は、プロピレンとエチレンをランダムに共重合したタイプです。
分子構造が不規則になることで透明性や柔軟性が高まり、食品包装フィルム、透明容器、医療用器具などに活用されています。
剛性や耐熱性はホモPPに劣りますが、見た目や使いやすさを重視する製品に適しています。
さらに、これらの基本タイプに改良を加えた「高結晶ポリプロピレン(HCPP)」「耐候性グレード」「難燃グレード」などの特殊品も存在します。
高結晶PPは剛性と耐熱性を大幅に高め、電子部品や自動車内装部品に適しています。
耐候性グレードは紫外線劣化を抑える添加剤を含み、屋外用途に強みを発揮します。
難燃グレードは電気・電子機器向けに安全性を確保した製品です。
用途に応じて多彩なバリエーションが存在することが、ポリプロピレンの普及を支える要因の一つです。
ユーザーは「剛性」「透明性」「耐衝撃性」「耐熱性」などのバランスを考慮し、最適なグレードを選択することで、幅広いニーズに対応できます。

ポリプロピレンの物理・化学的特性

機械的特性

ポリプロピレン(PP)は結晶性の高い樹脂であるため、一般的に剛性や引張強度が優れており、軽量ながら十分な機械的強度を持っています。
比重は0.90〜0.91と最も軽量なプラスチックの一つで、同じ体積であればポリエチレンより軽く、輸送効率や製品の軽量化に大きく貢献します。
引張強度は30〜40MPa程度、曲げ弾性率は約1,000〜1,500MPaと、同じ汎用樹脂であるポリエチレン(PE)に比べて硬く剛性に優れている点が特徴です。
そのため、容器、家電部品、自動車内装材など形状保持が求められる用途に多用されています。
また、PPは「耐疲労性」が高い点でも知られています。
繰り返し折り曲げても破損しにくい特性があり、この性質は「リビングヒンジ」と呼ばれます。
例えば、収納ケースのフタやボトルキャップの蝶番部分など、繰り返し開閉する部位に使用されることが多く、プラスチック材料の中でも特にユニークな特徴といえます。
一方で、衝撃強度に関しては、ホモポリプロピレンでは低温環境下で脆化が起こりやすい傾向があります。
0℃以下では割れやすくなるため、寒冷地向け製品や耐衝撃性が必要な用途では「ブロック共重合PP」が用いられます。
ブロック共重合PPは、エチレンを部分的に組み込むことで結晶構造を緩和し、低温衝撃特性を大幅に改善しており、バンパーや工業用ケースなどでの採用例が多いです。
さらに、ガラス繊維やタルク、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを添加することで剛性や耐熱性を強化したグレードも存在します。
特にガラス繊維強化PPは、曲げ弾性率が数千MPaにまで向上し、エンジンルーム内の部品や構造部材に用いられるほどの強度を発揮します。
ただし、耐衝撃性や成形性とのバランスが必要であり、設計段階での最適化が欠かせません。
総じて、ポリプロピレンは「軽量・剛性・耐疲労性」という機械的特性のバランスに優れた樹脂であり、さらに改良や複合化により多様な産業用途に対応できる万能材料といえます。

熱特性

ポリプロピレンは汎用プラスチックの中でも耐熱性に優れた樹脂です。
融点は約160〜170℃と比較的高く、ポリエチレン(PE)が約110〜130℃であるのに比べて格段に高い温度域で使用が可能です。
この融点の高さは、ポリプロピレンが高結晶性の分子構造を持っているためであり、特にホモポリプロピレンでは耐熱性が顕著に発揮されます。
熱変形温度(HDT)はグレードによって異なりますが、ホモPPでは約100℃前後とされています。
そのため、熱湯や蒸気がかかる環境でも形状を保持でき、食器や電子レンジ対応容器、湯沸かし器部品などにも使用されています。
ただし、連続して高温にさらされる環境では徐々に劣化が進むため、長時間100℃以上で使用する場合には耐熱強化型PPやガラス繊維強化PPが選ばれることが多いです。
一方で、低温環境における特性には弱点があります。
0℃以下では衝撃強度が急激に低下し、脆化しやすくなります。
この点はブロック共重合PPによって改善されており、低温下でも割れにくい製品が開発されています。
自動車の外装部品や寒冷地で使用される容器などは、この特性を活かした共重合PPが広く採用されています。
また、PPは熱膨張率が比較的大きいため、寸法精度が重要な用途では設計時に考慮が必要です。
金属やガラス繊維を複合化することで寸法安定性を改善することができます。
さらに、PPは熱伝導率が低いため断熱材としての応用も可能ですが、反対に放熱を必要とする用途には不向きです。
燃焼性については、ポリプロピレンは可燃性を持つためそのままでは火源に弱いですが、燃焼時に有害な塩素系ガスを発生しないという利点があります。
難燃グレードも開発されており、電気・電子機器や建材分野でも活用が広がっています。
このように、PPは「高い融点と耐熱性」「低温脆化」という相反する特性を持ち、用途によって最適なグレードを選ぶ必要がある材料といえます。

化学的特性

ポリプロピレンの大きな特徴の一つに「優れた耐薬品性」があります。
酸やアルカリ、アルコール類、ほとんどの有機溶剤に対して安定しており、化学タンク、パイプ、実験器具、食品容器などに広く利用されています。
特にホモポリプロピレンは結晶性が高く、溶剤への耐性も良好で、薬品を扱う産業分野での信頼性が高い材料です。
耐水性も非常に高く、ほとんど吸水しないため、湿度の高い環境でも寸法や強度の変化が少ないのが利点です。
このため、食品保存容器や医療機器、不織布マスクなど衛生用途での使用が多く、使用時に水分を含んでカビや変形の原因となるリスクが低く抑えられます。
ただし、万能というわけではありません。
強力な酸化剤(濃硝酸やクロム酸)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエンなど)、塩素系溶剤(四塩化炭素、クロロホルムなど)には影響を受けやすく、膨潤や劣化が生じる場合があります。
また、ポリプロピレンは紫外線に対して脆弱であり、屋外で長期間使用すると分子鎖が切断され、黄変や亀裂が発生します。
このため、屋外用途では紫外線吸収剤やカーボンブラックを添加して耐候性を高めたグレードが選ばれます。
電気的特性も良好で、誘電率が低く絶縁性に優れているため、電線被覆や電気・電子部品のハウジングにも利用されています。
ただし、高温下では絶縁特性がやや低下するため、使用環境に応じた選択が求められます。
さらに近年では、抗菌性や難燃性を付与した特殊PPも開発され、医療機器や家電製品への応用が進んでいます。
特に抗菌性PPは食品包装や医療用包装材に利用され、安全性と清潔性を両立できる素材として評価されています。
まとめると、ポリプロピレンは「耐薬品性・耐水性に極めて優れ、電気絶縁性も良好だが、酸化剤や紫外線には弱点を持つ」という性質を持つ樹脂です。
添加剤や改良技術を組み合わせることで、その弱点を補いながら、多様な分野での応用が広がっています。

ポリプロピレンの加工方法

射出成形

射出成形は、ポリプロピレン(PP)の代表的な加工方法であり、家庭用品から自動車部品、電気・電子部品まで幅広い製品の製造に用いられています。
この方法では、加熱シリンダー内で溶融したPPを高圧で金型に射出し、冷却・固化させることで成形品を得ます。
大量生産に適しており、複雑な形状を高精度で再現できるのが最大の利点です。
PPの射出成形は比較的容易であり、成形サイクルも短いため、生産効率が高いという特徴があります。
比重が軽いため材料コストの削減にもつながり、製品単価を下げやすい点もメリットです。
また、収縮率はおよそ1.0〜2.5%程度とされますが、結晶性の高さから方向性収縮が生じやすく、寸法精度を確保するためには金型設計の工夫が求められます。
射出成形で得られる代表的な製品としては、収納ケース、ボトルキャップ、家電外装、自動車内装部品などがあります。
特にPP特有の「ヒンジ特性」を活かしたワンピース構造のキャップや折り畳みケースは射出成形ならではの応用例です。
ただし、射出成形におけるPPの課題も存在します。
例えば、成形時の結晶化による反り変形、ガス抜け不良によるショートショット、透明性の確保の難しさなどです。
また、冷却速度によって結晶構造が変化し、機械的特性に差が出る場合もあります。
そのため、金型温度や射出圧力、保圧条件の最適化が重要になります。
近年では、ガラス繊維や無機フィラーを充填した強化PPや、エラストマーをブレンドして衝撃特性を改善したTPO(熱可塑性オレフィン)も射出成形で広く使われています。
これにより、自動車バンパーや産業部品といった高機能用途にも対応可能となっています。
総じて、PPの射出成形は「生産性の高さ」「コスト効率」「多用途性」の三拍子が揃った加工方法であり、PPを実用化するうえで最も重要な技術の一つといえます。

押出成形

押出成形は、ポリプロピレンを連続的に溶融・押出して製品を形成する方法であり、フィルム、シート、パイプ、異形材などの製造に広く利用されています。
射出成形が「個々の成形品」を作るのに対して、押出成形は「連続形状」を作るのに適しており、PPの軽量性や耐薬品性を活かした製品群を支えています。
代表的な応用例は、食品包装フィルムやラミネート用シートです。
ランダム共重合PPを用いた場合、透明性や柔軟性が高く、食品用トレイや飲料カップに適しています。
また、ホモPPを用いた場合には耐熱性が高いため、電子レンジ対応容器や熱成形シートに利用されます。
さらに、多層押出技術を用いれば、バリア性樹脂や接着層を組み合わせた多機能フィルムを製造でき、食品保存性の向上に寄与しています。
押出成形の工程では、樹脂ペレットを加熱シリンダーで溶融し、スクリューによって押し出し、口金(ダイ)を通して所望の形状に成形します。
その後、冷却ローラーや水槽で冷却固化し、巻き取りや切断を行います。
フィルムやシートの場合は「延伸工程」を加えることで分子を配向させ、透明性や強度を高めることが可能です。
特に二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPPフィルム)は、包装用途で極めて重要な素材となっています。
押出成形における課題としては、結晶化速度の制御が難しく、冷却条件によって透明性や剛性が変動する点があります。
また、PPは熱伝導率が低いため厚肉製品では冷却に時間を要し、生産効率が低下することがあります。
そのため、製品形状や厚みに応じた冷却方式の工夫が求められます。
このように、押出成形は「連続生産性」「形状自由度」「多層化対応」という特性を活かし、包装材、建材、工業部品など多岐にわたるPP製品の基盤技術として活用されています。

ブロー成形

ブロー成形は、中空容器やタンクの製造に適した成形方法であり、ポリプロピレンの軽量性と耐薬品性を活かす代表的な加工技術の一つです。
ペットボトルに代表されるPETのブロー成形と同様に、PPでもボトルやポリタンク、車載用リザーバータンクなど多様な製品が作られています。
ブロー成形の基本工程は、まず溶融したPPを押出してパリソンと呼ばれる筒状の樹脂を作り、これを金型で挟み込みます。
その後、内部に圧縮空気を吹き込むことで金型に密着させ、冷却して固化するという流れです。
これにより、中空構造の成形品が効率的に得られます。
PPのブロー成形品は軽量で剛性があり、耐薬品性に優れるため、洗剤やシャンプーのボトル、化学薬品容器、さらには自動車の燃料系部品やウォッシャータンクなどに使用されています。
また、耐熱性を活かして電子レンジ対応の食品保存容器や、熱水に耐えるポット用容器などにも応用されています。
ただし、PPは粘弾性の点でブロー成形が難しい樹脂の一つでもあります。
特に、溶融状態での伸びにくさや、冷却時の収縮による寸法変化が課題となります。
そのため、ブロー成形用PPグレードでは分子量分布の調整やエラストマー添加によって、成形安定性や耐衝撃性を改善しています。
また、二層以上の多層ブロー成形も可能で、酸素や水蒸気の透過を防ぐバリア性樹脂を組み合わせることで、食品保存性や薬品の安定性を高めた容器を作ることができます。
自動車分野では軽量化と耐久性を両立するために、ガラス繊維強化PPや発泡PPを組み合わせたブロー成形技術も進化しています。
総じて、ブロー成形は「中空構造を効率的に作れる」という特性から、ポリプロピレンの応用範囲を大きく広げる加工方法であり、特に容器やタンクといった軽量かつ耐薬品性が求められる分野で欠かせない技術となっています。

ポリプロピレンの用途

生活用品への利用

ポリプロピレンを使用した製品イメージ

ポリプロピレン(PP)は私たちの身近な生活用品に数多く使われており、日常生活を支える基盤素材の一つとなっています。
最大の理由は、軽量性・耐薬品性・耐熱性といった特徴が、家庭用品のニーズと非常に相性が良いためです。
最も身近な例は食品関連の容器類です。
PPは熱に比較的強く、電子レンジでの加熱にも耐えるため、保存容器や弁当箱、使い捨ての食品パッケージに広く採用されています。
また、透明性を持つランダム共重合PPを用いることで、中身が見える食品容器や飲料カップも実現可能です。
さらに、酸やアルカリに侵されにくいため、調味料や洗剤といった内容物に対しても安定して使用できます。
家庭用品では収納ケースや衣装ケースも代表例です。PPは軽くて割れにくく、成形もしやすいため、衣類や日用品を整理するための大型収納に適しています。
さらに、繰り返し折り曲げても破損しにくい「ヒンジ特性」を活かし、折り畳みコンテナやワンタッチで開閉できるキャップ類にも利用されています。
文具や生活雑貨の分野でもPPは多用されます。
例えば、クリアファイルやバインダー、収納フォルダーなどはPPフィルムを用いた代表的な製品です。
耐水性が高いため、紙製品に比べて長期間の使用に耐え、軽量で持ち運びやすい点も利点です。
また、家庭用バケツ、洗面器、収納ボックスなどもPP製が主流となっています。
近年では、環境配慮型商品として再生PPを使用した生活用品も増えています。
リサイクル素材であっても強度や機能性が大きく損なわれにくいため、従来と同等の品質を維持しながら環境負荷を低減できる点が評価されています。
総じて、PPは「軽くて丈夫、薬品や熱に強く、加工しやすい」という特徴を生かし、食品・収納・文具・日用品など、私たちの生活のあらゆる場面に浸透している素材といえます。

産業資材への利用

ポリプロピレンは、産業分野においても極めて重要な材料として活用されています。
その理由は、軽量でありながら高い強度を発揮し、さらに耐薬品性に優れていることから、さまざまな工業用途に適しているためです。
自動車産業はその代表例です。
PPは金属や他のプラスチックに比べて軽いため、車体の軽量化による燃費向上に大きく貢献しています。
具体的には、バンパー、インパネ(計器盤)、ドアトリム、シート部品、バッテリーケースなどに広く使用されています。
また、TPO(熱可塑性オレフィン)やガラス繊維強化PPを採用することで、衝撃強度や剛性を高め、より過酷な条件にも耐えられる部品が作られています。
建材分野でもPPの需要は高まっています。
例えば、パイプやフィッティング、断熱材の芯材、外装パネルなどに利用されます。
耐薬品性と耐湿性が高いため、配管部品や排水系統に用いると腐食リスクが低減され、長寿命化につながります。
また、耐候性グレードを用いることで屋外構造材としても活用可能です。
包装資材としての利用も重要です。
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPPフィルム)は、透明性や機械的強度が高いため、食品包装や工業製品の保護フィルムとして広く使われています。
さらに、印刷適性にも優れるため、ラベルやパッケージデザインの表現性を高められるのも強みです。
その他、電気・電子分野でもPPは使われています。
絶縁性が高く、比誘電率も低いため、コンデンサのフィルムや電線被覆材として利用されます。
さらに、耐湿性が高いことから電気的特性の安定性にも寄与します。
総合的に見れば、PPは「軽量化」「耐薬品性」「電気特性」「コスト効率」といった利点を生かし、輸送機器、建材、包装、電子部品といった幅広い産業資材に利用され、現代の製造業を支える基幹素材の一つとなっています。

医療分野への利用

医療分野においてもポリプロピレンは重要な役割を果たしています。
これは、PPが持つ「耐薬品性」「生体適合性」「滅菌対応性」といった特性が、医療器具や医薬品包装に非常に適しているためです。
まず注目されるのは、ディスポーザブル医療器具への利用です。
注射器、点滴ボトル、培養皿、試験管、ピペットチップといった多くの使い捨て器具がPP製で作られています。
これらは使用後に焼却処理されますが、PPは塩素を含まないため、有害なダイオキシン類を発生させにくい点で安全性が高いと評価されています。
医薬品包装でもPPは欠かせません。
特に、湿気や薬品に強く、内容物を安定的に保存できるため、錠剤のPTP包装や点眼容器、内用薬のボトルなどに多く用いられています。
また、透明性のあるランダムPPを利用することで、中身の確認が容易になるという利便性もあります。
滅菌耐性も医療用途に適した特性です。
PPはオートクレーブ(高温高圧蒸気滅菌)、ガンマ線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌などの方法に耐えることができるため、再使用可能な医療器具や研究用器具にも適しています。
他のプラスチックでは滅菌処理によって変形・劣化することが多いですが、PPは比較的安定して使用できます。
さらに、人工関節やカテーテルなどの医療デバイスにも応用されることがあります。
ただし、この場合は単体のPPではなく、他素材と組み合わせることで性能を補強するのが一般的です。
近年では、バイオ由来PPを用いた医療器材の研究も進んでおり、環境負荷を抑えつつ高性能を維持する試みが行われています。
総じて、医療分野におけるPPは「安全性」「耐薬品性」「滅菌対応性」によって、ディスポーザブル製品から保存容器、研究器具まで幅広く活用され、現代医療を支える不可欠な素材となっています。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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