S45Cの調質材について解説します!
本日はS45Cの調質材について解説していきます。
規格や焼入れなどの熱処理条件や硬度をご紹介していきますので、是非ご覧ください♪
S45Cの調質材に関連するJIS規格
S45CはJIS規格によって規定された、機械構造用炭素鋼のことを指します。
規格では、下記表の規格番号にてそれぞれS45Cについて記載されています。
S45Cに関連する規格
規格 | 名称 |
JIS G4051 | 機械構造用炭素鋼鋼材 |
JIS G3478 | 一般機械構造用炭素鋼鋼管 |
JIS G3123 | みがき棒鋼 |
ちなみに、化学成分やそのほかの鋼材の種類に関連する規格は、JIS G4501で規定されています。
また、鉄鋼の調質材(熱処理)に関連する規格もあります。
調質材・熱処理に関連する規格
規格 | 名称 |
JIS B6911 | 鉄鋼の焼きならし及び焼きなまし加工 |
JIS B6913 | 鉄鋼の焼入れ焼戻し加工 |
JIS B6912 | 鉄鋼の高周波焼入れ焼戻し加工 |
S45Cの調質材は機械部品などに使用される材料
S45Cの調質材は規格にもある通り、ボルトやナットなど一般的な機械部品によく使われる材料です。
もともと熱処理をしなくてもある程度の硬度はありますが、熱処理によって硬度を高くすることができ、機械的性質が向上します。
そのため、硬度が必要な機械部品にも調質材は幅広く対応します。
S45C調質材の表記
S45Cの調質材・熱処理された材料の表記には下記の記号が使用されます。
H・・・焼入れ・焼戻しされたものを表す
N・・・焼ならしされたものを表す
A・・・焼きなましされたものを表す
表記の仕方は、例えば焼き戻しされたS45Cの材料はS45C(H)、S45CH、S45C-H、またHを丸で囲むように表記されることもあります。
みがき棒鋼の場合においては表記が異なります。
Q・・・焼入れ・焼戻しされたものを表す
N・・・焼ならしされたものを表す
A・・・焼きなましされたものを表す
AS・・・球状化焼きなましされたものを表す
また、加工方法を示す記号や公差等級などと合わせて表記されます。
例えばS45C-DQであれば、Dは冷間引抜き加工を表す記号なので、冷間引抜き加工され、焼入れ・焼戻しされた材料であるということがわかります。
S45Cの焼きならし・焼きなまし・焼入れ・焼戻し(熱処理条件)
S45Cの焼きならし・焼きなまし・焼入れ・焼戻しの熱処理条件(JIS規格)をご紹介します。
熱処理条件(JIS規格)
焼ならし | 820~870空冷 |
焼きなまし | 約810炉冷 |
焼入れ | 820~870水冷 |
焼戻し | 550~650急冷 |
熱処理方法は様々ですが、その一部をご紹介します。
・全体焼入れ(ズブ焼入れ)・・・材料の芯部まで焼入れをすることで全体を硬化させる
・真空熱処理・・・真空の中で加熱・冷却し、表面を硬化させる
・窒化処理・・・表面から窒素原子を拡散浸透させて表面を硬化させる
・高周波熱処理・・・高周波誘導加熱後、急速冷却して表面を硬化させる
JIS規格S45Cの焼入れの後、硬度(HRC・HV)がどのように変化するかご紹介します。
焼入れ方法やワークのサイズなどで数値は変動しますので、参考程度にご覧ください。
比較 | HV | HRC |
焼入れ前 | 220~280 | 16~27 |
焼入れ後 | 600~750 | 55~62 |
※HRCはHVを換算したおおよその数値です。
焼入れ前・焼入れ後を比べると、数値が上がっていることがわかります。
このように調質材は硬度が高いことから、ギアやプーリーなどエンジン回りの部品から、そのほか一般的な機械部品まで幅広く使用されます。
S45Cは高周波焼き入れで高度を上げることができる
S45Cは高周波焼き入れで高度を上げることができる材質でもあります。
高周波焼き入れはワークコイルを加工物に差し込んで加熱し、急冷することで表面の硬度を上げることができます。
これにより高い硬度を得ることができ、JIS規格S45Cの調質材は靭性や疲労強度、耐摩耗性などが上がります。
また、高周波焼き入れに適した材質であるといわれており、HRC60近くまで硬度を得ることも可能です。
こういった点から、高周波焼き入れされた調質材は車輪やレールの材料にも選ばれます。
こちらの記事は株式会社エース様の記事を参照させていただいております。
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