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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

ボンデ鋼板(SECC)とは!?メリットや用途など解説します!

本日はボンデ鋼板(SECC)について解説していきます。
メリットや用途など解説していきますので、是非ご覧ください♪

ボンデ鋼板(SECC)とは

レーザー加工の様子

ボンデ鋼板とは、冷間圧延鋼板(SPCC)に電気亜鉛めっきを行い、その上からリン酸塩処理と呼ばれる化成処理を施した鋼板のことです。
JIS規格で定められた「電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)」の一つで、それにリン酸塩処理が施されていることから、「SECC-P」と表示されることがあります。

電気亜鉛メッキ鋼板は加工性が高く、入手しやすい冷間圧延鋼板に防錆対策として電気亜鉛めっきを施した鋼板です。
めっきは、膜厚が2~25μm程度と比較的薄く付けられ、均一性が高く、密着性の良いメッキ膜となっています。
そのため、加工中にメッキが剥がれるといったことがほぼなく、溶接も問題なく行う事が可能です。

また、寸法精度や表面外観が良好という特徴もあります。
しかし、メッキの膜厚が28~100μm程度である「溶融亜鉛メッキ鋼板」に比べると耐食性に劣り、そのままでは屋外使用に適しません。

ボンデ鋼板は、この電気亜鉛めっき鋼板にリン酸塩処理を施し、金属表面にリン酸亜鉛の薄い皮膜を生成させたものです。
リン酸亜鉛皮膜は、塗装下地として機能することが知られており、塗膜が剥離しにくくなると共に、塗膜が傷ついても錆が広がりにくくなります。
そして屋外の使用には適さないボンデ鋼板も、耐候性が高い塗装を施せば、屋外でも問題なく使用できるようになります。

塗装ではなくクロメート処理を施すことでも、耐食性の向上を図ることが可能です。
クロメート処理は、六価クロムを含有する溶液に浸漬させることで、表面にクロメート被膜を生成する化成処理です。
この処理は、リン酸亜鉛皮膜の上から実施することが可能で、金属的な質感を残したままボンデ鋼板の耐食性を向上させることができます。

ただし近年においては、六価クロムが有害物質として規制されていることから、無害な三価クロムなどを利用したクロメートフリー処理を適用することが多くなっています。

ボンデ鋼板のメリット

外観が美しい

ボンデ鋼板には、外観が比較的美しいというメリットがあります。

ボンデ鋼板は、表面が艶のないグレー色で、塗装では出せない独特で落ち着きのある外観をしています。
また、亜鉛めっきの均一性が高いことから、滑らかな表面をしている事も特徴です。

加工性が良い

ボンデ鋼板は、曲げやプレス、絞りなどに対する加工性が良く、板金加工全般に向いています。

ボンデ鋼板に適用されるメッキは、傷がつきにくいうえに密着性が高く、加工下において剥がれたり損傷したりすることはほぼありません。
また、めっき厚が薄いため、原板の冷間圧延鋼板と同じように加工することができます。
そして、冷間圧延鋼板は、展延性が高く曲がりやすい鋼材で、特にプレス加工や曲げ加工に向いています。
それらを反映して、ボンデ鋼板は板金加工全般に対する加工性が高くなっています。

しかし、切断加工を行うと、切断部分から錆びやすくなってしまいますので、防錆対策が必要となります。

溶接が可能

溶接

めっきされた材料では、皮膜が溶融しにくいなどの理由から溶接ができないことがあります。
しかしボンデ鋼板は、施されているめっきが薄いため、ティグ溶接などのアーク溶接で問題なく溶接することができます。

ただし、ボンデ鋼板の溶接では、金属の粉塵を含む白い煙(溶接ヒューム)が発生します。
これは人体に有害ですので、ファンなどを用意するなど、吸い込まないようにするための対策が必要です。

また溶接後、溶接部周辺にリン酸亜鉛皮膜などが飛び散って固まり、白い粉のような付着物が生じることがあります。
これは塗装性を劣化させるので、除去することが必要となります。
さらに、溶接部周辺のリン酸亜鉛皮膜は剥がれている状態なので、塗装を行う場合はリン酸塩処理などの塗装前処理が必要になることがあります。

塗装性に優れる

ボンデ鋼板は、塗装用の電気亜鉛メッキ鋼板と位置付けられており、塗装性に優れています。
ボンデ鋼板の表面には、リン酸亜鉛皮膜が形成されていますが、これが塗装下地として機能するため、密着性の高い塗膜が得られます。
また、塗膜に傷などがついた場合でも、錆が広がりにくいというメリットがあります。
また、電気亜鉛めっきによるメッキ膜が緻密で均一性が高く、表面が滑らかになることも塗装のノリをよくする一因となっています。

塗装などによる耐食性の向上が可能

ボンデ鋼板は、塗装したりクロメート処理を施したりすることで耐食性を向上させることが可能です。

ボンデ鋼板は、屋内で使用する分には十分な耐食性を持っていますが、雨ざらしになるような屋外での使用に耐えうるほどの耐食性はありません。

しかし、塗装に向いた素材のため、十分な耐候性能を持つ塗装を施すことで、屋外での使用も可能になります。
また、クロメート処理を施すことで、耐食性を施すこともできます。

ボンデ鋼板の用途

ボンデ鋼板の用途は幅広く、屋内用途では機械部品や機械カバー、インテリア部品など、屋外用途では建築部材や輸送機器などに用いられています。

まず、塗装などを施さないそのままの状態では、電気機器の部品や機械部品、家具や照明器具といったインテリアの部品などに多く使用されています。
身近なところでは、デスクトップパソコンの背面パネルもボンデ鋼板です。

ボンデ鋼板は塗装用ということもあり、屋内で使用する場合にも塗装を施して使用するケースがほとんどです。
例えば、塗装を施したボンデ鋼板が、ビルや駅などの内壁や天井に使われていますし、ATMなどの機械のカバー、エレベーターやエスカレーターの外装などにも用いられています。
ただし、ボンデ鋼板の強度はそれほど高くないので、構造材としては使用できません。

金属的な質感を残したまま耐食性を向上させたい場合は、クロメート処理が施されます。
クロメート処理されたボンデ鋼板は、電気機器や機械の部品やケースなどに使われています。

建築関連部材としての用途もあり、塗装を施されたボンデ鋼板が、サッシュやシャッター、ドアなどに用いられています。
また、自動車や輸送機器などへの使用量も多く、自動車のボディの補修によく使われています。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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