材料解説シリーズ~SK3編~
本日は材料解説シリーズ~SK3編~です。
工具鋼であるSK3の性質や特徴など解説していきますので、是非ご覧ください♪
SK3とは
SK3は、JIS規格(JIS G 4401)で規定されている炭素工具鋼材(SK材)のうち、炭素含有量が1.00~1.10%の材質を指します。
特に、硬度・耐摩耗性に優れ、刃物や様々な工具などに利用されています。
SK3の特徴と用途
SK材は炭素工具鋼材(Steel Kogu)と呼ばれ、炭素(C)含有量が0.55~1.5%で、特別にCr(クロム)やMo(モリブデン)などの合金元素を添加していない高炭素鋼を指します。
特に、工具鋼として利用されています。
中でもSK3は、炭素(C)を1.00~1.10%含有するSK材です。
2000年にJIS規格が改訂され、「SK3」という材料記号は、「SK105」という材料記号に変更されています。
そのためSK3は、SK105と表記されることもあります。
また、SK3材はSK材の中でも比較的炭素含有量が高い鋼種で、硬度及び耐摩耗性に優れるという特徴を持ちます。
そのため、切れ味を必要とする刃物などの工具に利用されています。
一般にSK材は、高温で使用すると硬度が低下するという特徴があるため、熱の発生が少ない工具などに多く使用されています。
例えば、SK3はプレス金型として用いられていますが、プレス抜き加工のような加工熱の発生が多い箇所には使われず、少量生産用のパンチやダイに使用されます。
SK3の主な用途
ゲージや刃物など
硬度が高いSK3材はゲージや刃物などのような部品に適しています。
また、SK5と同じようにプレス加工の金型にも使われたことがありますが、加工熱を伴う用途では使用寿命が短くなるため、長寿命の金型を求める場合はSKD11などダイス鋼の方が適していると言えます。
SK3の加工方法
切削加工
生材の状態での切削性は良いので、主に切削による加工がメインになります。
ただし熱処理後は硬度が上がるため、切削加工は困難なため研削加工などが必要となります。
SK3の処理について
熱処理
用途のことを考慮すれば加工後に熱処理をすることが一般的だと言えます。
熱処理後はHRC61~程度となります。
ただし、焼入れで歪みが発生しやすい材料でもあります。
SK3よりもSK5の方が焼入れ性に優れていますが、それよりも歪みを考慮するのであればSKD11などの材料へ変更を検討した方が良いです。
めっき
ハードクロムめっきや無電解ニッケルめっきなどを施すことによって、耐食性が向上します。
防錆を考えるならメッキ処理をお勧めします。
SK3の機械的性質
材料記号 | 焼きなまし温度 ℃ |
焼きなまし硬度 HBW |
SK3(SK105) | 750~780 徐冷 | 212以下 |
SK3の物理的性質
材料記号 | 熱間圧延鋼板及び鋼帯 | 冷間圧延鋼板及び鋼帯 | |||
熱間圧延まま硬度 | 焼きなまし硬度 | 焼きなまし硬度 | 冷間圧延まま硬度 | ||
HRC | HRB | HRC | Hv | Hv(参考値) | |
SK3 (SK105) |
- | - | 31以下 | 220以下 | (220~310) |
SK3・SK4・SK5の違い
SK材の中でも、SK3、SK4、SK5は特に代表的な鋼種です。
この3鋼種における成分の違いは炭素含有量のみで、SK3が1.00~1.10%なのに対し、SK4は0.90~1.00%、SK5は0.80~0.90%となっています。
一般にSK材において炭素量が減少すると、硬度は低下する一方で、靭性、耐衝撃性が向上します。
そのため、SK4やSK5では耐衝撃性を必要とする用途、例えば斧や木工用のきり、ペン先などに利用されています。
SK3・SKS3の違い
前述した通り、SK3は炭素工具鋼材に分類されるのに対し、SKS3は低合金工具鋼材に分類され、SKS材と呼ばれます。
この2つの鋼材における成分上の最大の違いは、特殊合金の添加の有無です。
SK材には特殊合金は含有されていませんが、SKS材にはマンガン(Mn)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)などの合金が添加されています。
SKS3は、クロム及びタングステンを含有し、SK3と比較してより焼入れ硬さや耐摩耗性に優れています。
また、SK3とSKS3では熱処理方法も異なります。
SK3では水で冷却して焼入れを行うのに対し、SKS3では油で冷却して焼入れを行います。
これは、焼入れによる硬度の入りやすさの違いによります。
SK3は、SKS3と比較して硬度が入りにくい、つまり材質の芯部まで焼入れが入りにくくなっています。
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