SPHCとは!?SS400との違いなど徹底解説!!
本日はSPHCについて解説していきます。
特徴や用途、他の金属との違いなど解説していきますので、是非ご覧ください。

SPHCとは
SPHCは、【JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】の中でも一般用と分類されている材料です。
用途としては自動車・電気機器・機械部品などが挙げられます。
SPHCは冷間圧延鋼板に比べて製作工程が少なく、比較的安価に手に入れられます。
また、やわらかい材料であるため、曲げ加工性に優れているのも特徴です。
しかしSPHCは、引張り強さが270MPa以上の規定であるため、あまり強度が求められる場所には不向きです。
市場に多く流通しているほか、価格が安い点が魅力ですが、コストを下げるためにSS材から代用する場合は、強度の仕様を満たしているか確認しておきましょう。
また、SPHCの板厚は、1.2~14mmが適用厚さとして【JIS G 3131】で規定されています。
板厚に対しての寸法の許容値は以下の通りです。
厚さ | 幅(mm) | |||
1200未満 | 1200以上 1500未満 |
1500以上 1800未満 |
1800以上 2300以下 |
|
1.60未満 | ±0.14 | ±0.15 | ±0.16 ※幅1600未満について適用する |
- |
1.60以上2.00未満 | ±0.16 | ±0.17 | ±0.18 | ±0.21 ※幅2000未満について適用する |
2.00以上2.50未満 | ±0.17 | ±0.19 | ±0.21 | ±0.25 ※幅2000未満について適用する |
2.50以上3.15未満 | ±0.19 | ±0.21 | ±0.24 | ±0.26 |
3.15以上4.00未満 | ±0.21 | ±0.23 | ±0.26 | ±0.27 |
4.00以上5.00未満 | ±0.24 | ±0.26 | ±0.28 | ±0.29 |
5.00以上6.00未満 | ±0.26 | ±0.28 | ±0.29 | ±0.31 |
6.00以上8.00未満 | ±0.29 | ±0.30 | ±0.31 | ±0.35 |
8.00以上10.0未満 | ±0.32 | ±0.33 | ±0.34 | ±0.40 |
10.0以上12.5未満 | ±0.35 | ±0.36 | ±0.37 | ±0.45 |
12.5以上14.0未満 | ±0.38 | ±0.39 | ±0.40 | ±0.50 |
SPHCの比重と密度
SPHCの比重は鉄と同じく7.85(密度7.85g/cm3)です。
SPHCに限らず、同じ【JIS G 3131】規格内にあるSPH材は、全て同じ値を示します。
SPHCの機械的性質
種類の記号 | 引張り強さ MPa (N/mm2) |
伸び % |
引張試験片 | |||||
厚さ mm |
||||||||
1.2以上 1.6未満 |
1.6以上 2.0未満 |
2.0以上 2.5未満 |
2.5以上 3.2未満 |
3.2以上 4.0未満 |
4.0以上 | |||
SPHC | 270以上 | 27以上 | 29以上 | 29以上 | 29以上 | 31以上 | 31以上 | 5号試験片 圧延方向 |
SPHD | 270以上 | 30以上 | 32以上 | 33以上 | 35以上 | 37以上 | 39以上 | |
SPHE | 270以上 | 32以上 | 34以上 | 35以上 | 37以上 | 39以上 | 41以上 | |
SPHF | 270以上 | 37以上 | 38以上 | 39以上 | 40以上 | 40以上 | 42以上 |
上表は【JIS G 3131:2018 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯】に記述されている、SPH材の機械的性質表を抜粋したものです。
SPHCは一般用として規定されていますが、その他の材質は加工用としての規定がされています。
加工用の材質はSPHCに比べて炭素量が少なく、伸びに優れているのが特徴です。
SPHCと他材料との違い
SPHCとSS400との違い
SPHC | SS400 | |
名称 | 熱間圧延軟鋼板 | 一般構造用圧延鋼材 |
引張り強さ | 270N/mm2 | 400~500N/mm2 |
規格 | JIS G 3131で規定 | JIS G 3101で規定 |
特徴 | ・価格が安価 ・曲げ加工性に優れる |
・強度に優れる ・板厚の種類が幅広い |
SPHCとSS400の大きな違いは引張り強さになります。
SS400の方が数値が高いため、強度が求められる箇所では、SPHCは不向きです。
また、SS400の方が、板厚の厚みがあるラインナップが豊富にあります。
SPHCとSPCCとの違い
SPHC | SPCC | |
名称 | 熱間圧延軟鋼板 | 冷間圧延鋼板 |
製造方法 | 高温で圧延する | 常温で圧延する |
規格 | JIS G 3131で規定 | JIS G 3141で規定 |
特徴 | ・酸化被膜(黒皮)があり、 錆びの進行を抑えられる ・値段が安価 |
・精度が高い |
SPCCは、冷間圧延鋼板の常温で圧延した鋼板であるため、製造方法やJIS規格が異なります。
特徴としては、SPHCはSPCCと比べて冷間圧延の工程がない分、価格が安価です。
しかし寸法精度や外観の良さには劣ります。
それぞれのJIS規格で定められている適用厚さに対しても、SPHCが1.2~14mmであるのに対し、SPCCは0.1~3.2mmといった違いもあります。
SPHCとSPHC-Pとの違い
SPHC-Pは、SPHCにある黒皮を酸で取り除いたもののことで、「酸洗い」とも呼びます。
SPHCに比べて、酸洗いは塗装性が向上しているのが特徴です。
黒皮はキズや腐食を防止しますが、触れるとぼろぼろと剝げ落ちたり、ピンホールがあったりするため、防錆効果が高いわけではありません。
基本的にSPHCを用いる際は、黒皮を落とし、塗装などの表面処理を施すことで防錆効果を持たせていますが、その黒皮の除去方法の一つとして酸洗い処理があります。
こちらの記事はMitsuri Media様の記事を参照しております。
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