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試作人基礎講座

公開日: | 試作人基礎講座

鋼と鉄の違いを徹底解説!!

本日は鋼と鉄の違いについて解説していきます!是非ご覧ください♪

鋼とは

まずは「鋼」から解説していきます。
私たちが普段から目にしている金属は鉄ではなく鋼です。
専門用語でいえば炭素鋼と呼ばれます。

S45C炭素鋼の試作品

鋼の特徴

鋼の大きな特徴は、0.02~0.2%の炭素を含んだ合金であることです。
といっても、鉄と炭素だけで構成されているわけではなく、P(リン)やS(硫黄)、Mn(マンガン)など、微量成分も含まれていますが、鋼の性質に大きな影響を与えるのは炭素の含有量となります。

一般的に炭素含有量が多くなるほど、鋼の性質は強く硬くなります。
しかし、多ければ多いほど良いというわけではありません。
炭素含有量が増えすぎると、鋼の靭性(金属の粘り強さ)が失われていきます。

この靭性を確保することはとても大切なことであり、靭性が低いとある一定の力を加えると簡単に折れてしまいます。
私たちが良く知る鋼は曲げることが出きますが、靭性の低い鋼は曲げることができず折れてしまうのです。
そのため、炭素含有量は2%以下で鋼は作られることが多いです。

鋼の用途

鋼の用途は多岐にわたり様々です。
炭素含有量によって鋼の特性も変化するため、使用用途に応じて、鋼を使い分けることになります。

一般的な使用用途としては「構造用」です。
土木、建築、工場などで主に使用されます。
みなさんが普段から利用している建築物や自動車にも鋼が使われています。
鋼がむき出しの状態を目にすることはなかったとしても、普通に生活をしていれば鋼を目にし、何気なく鋼で作られた建物や移動手段を使って生活していることになります。

鋼が使われている製品

鋼が使われている用途では、土木や建築、工場など幅広い分野で活躍していると解説しました。
このような分野に普段から携わっている方であれば、どんなところに鋼が使われているか想像することができるかと思います。

しかし、まったくかかわりがない方は想像することが難しいと思いますので、ご自宅で使われているであろう製品を紹介していきます。

丁番

丁番と言えば、ドアや窓を取り付け、開閉可能にする建具金物です。
ご自宅のドアや扉の片側に必ず取り付けられているはずです。

この丁番も材質は色々なものがあり、アルミやステンレス、鋼にメッキしたものなど様々です。
ドアを開閉することができるこの金具も、よく見れば鋼板を曲げ、穴をあけ、組み合わせている製品です。
このような加工は純粋な鉄ではできません。
炭素を含んだ鋼だからこそできることです。

ボルトやナット及びねじ

ボルトやナット、ねじにも鋼が使われています。
あなたの自宅が木造、軽量鉄骨、コンクリートどれであっても、建築の過程でボルトやねじは使われています。

しかし、家の中でも探せば見つかります。
エアコンのリモコンホルダーや各所手すり固定に使われているねじ、テレビやパソコンの後部配線部やおもちゃの電池カバー、爪切りなども鋼から作られています。

あまり目立ちませんが、家の中にもボルトやねじというのは結構あるものです。
しかし、一番重要な役割を果たしているのは、やはり建築時に使用される金物です。
住宅の基礎を作るときの鉄筋や各種アンカーボルトは強固な住宅を建てるためには欠かせません。
木造住宅でも、木材同士の接合部に、さらに金物をネジやボルトで取り付け、強度を向上させることもあります。

鋼の種類

SS材

SS400の試作品

SS材は、一般構造用圧延鋼材の略称です。
SS材は鋼の中でも柔らかい材料となります。
炭素含有量によって鋼の硬さが変わると解説したと思いますが、SS材は0.15~0.2%程度の炭素が含まれている低炭素鋼となります。

SS材の中で最も広く使われているものはSS400という鋼材です。
SS400は比較的安価であり、汎用性の高い材料なので、様々なところで使用されています。

加工性の良い鋼なのSが、溶接加工には向きません。
溶接部材として使用する場合は、他の鋼を検討した方が良いでしょう。

SC材

SC材は、機械構造用炭素鋼鋼材の略称です。
SC材は炭素含有量が各々設定されています。
一般的によく使用されるSC材は、S45Cと呼ばれる鋼材です。
S45Cの真ん中の数字である「45」は炭素含有量を示しており、0.45%前後の炭素を含む鋼材とという意味になります。

先ほど紹介したSS400の倍以上に炭素が含まれている鋼材になります。
そのため、硬度や強度が高く、品質の高い鋼になります。
強度が必要な建設部材や工場で使われる機械などに使用されます。
熱処理を施すことで、さらに硬度や強度を高めることが可能になります。

鉄とは

冒頭で、純粋な鉄(Fe)100%のものを扱うことはほぼないと言いましたが、一般的に「鉄」という言葉はよく使われます。
実際、鉄は鋼をはじめ、各種特殊鋼のメインとなる素材です。

鉄の鋼とは違う特徴

純粋な鉄の見た目

一般的に鉄というのは、重厚感のある灰色で、艶のないものを思い浮かべるのではないでしょうか?
しかしそれは鋼の方で、純粋な鉄はどちらかと言えば白い光沢を持っています。
ただし、その光沢を持った状態を維持することが難しいです。

純粋な鉄は酸化しやすい

純粋な鉄は、とても酸化しやすいです。
そのため、脆くデリケートな一面もあります。
鉄の原料である鉄鉱石も同様で、赤さびのような色をしています。
思い浮かぶ鉄のにおいも、実は鉄が酸化した際に発生するにおいで、鉄そのものににおいはありません。

純粋な鉄の特徴

鉄は酸化しやすく、脆くデリケートなため、単一で使用されることはほぼありません。
しかし、純度が低下し、炭素など微量成分を添加することで、よく知る強い金属になることができます。

微量成分を添加された鉄は、硬度、強度、靭性、耐摩耗性、耐熱性、耐候性など様々な特性を持つことができます。
鉄には、このように高い可能性があったため、世界中で使われるようになりました。

鉄単体では力不足な印象ですが、鉄は色んな元素とタッグを組むことができます。
そうして発揮される特殊な耐性や基本能力の向上により、私たちの生活基盤を支えてくれていると言えるでしょう。

鉄の用途とは

「鋼とは」の項目では、私たちが普段から目にする鉄と呼ぶ金属は「鋼」だと解説しました。
鉄は、様々な合金元素を加えられることで、多種多様に姿を変えて私たちの身の回りにあふれています。
いわば鉄とは、身の回りにあふれる金属の総称ともいえるでしょう。

では、身の回りにはどんな鉄があるでしょうか。
台所のキッチン用品、テレビや洗濯機などの家電、デスクやキャビネットなどの事務用品、などがあります。
もっと広い視点から見れば、ビルやショッピングモールなどの建築物、自動車などもそうです。
そして、普段何気なく使っている歯ブラシや衣服、漫画なども鉄で作られた機械によって作られています。

鉄が使われている製品

鉄の用途で、鉄が使われているものについてなんとなくわかっていただけたかと思います。
鉄の用途はとても幅広いです。
そこで、鉄の意外な使用用途として使い捨てカイロについて解説したいと思います。

使い捨てカイロに鉄が使われていることはご存じだったでしょうか?
鉄が使われていることは知っていても、どうして温かくなるのかについては意外と知らないのではないでしょうか?
鉄が使われている製品である「カイロ」を例に、鉄の化学について少し学んでみましょう。

ごく一般的なことですが、鉄は錆びます。
鉄を濡れたまま放置していたり、長年の長期使用により空気中の酸素と反応することで、よく知る赤褐色のサビとなります。
正しくは酸化第二鉄とも言います。

このサビが発生する過程、つまり鉄と酸素が結びつく酸化反応の際に発熱が伴います。
しかし、通常は酸化反応がゆっくりと進行するため、熱を感じることはありません。
使い捨てカイロは、この酸化反応を早めることで発熱量を大きくしたものになります。

カイロの中身は、鉄粉(表面性を大きくする)、水(酸化反応を促進する)、活性炭(酸素を取り込む)、食塩(酸化反応の促進)、高分子吸収剤(水分を含んだうえでサラサラになる)などが入っています。
酸化反応のスピードを上手くコントロールし、心地よい温かさとなるように作られています。
使い捨てカイロは、鉄の酸化反応による発熱を上手く利用した製品だということです。

鉄の種類

一般的に鉄と呼ばれる金属の種類は非常に幅が広いです。
鋼の種類で紹介したSS材、SC材ももちろん含まれます。
その他にも、溶接構造用、耐候性、耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐腐食性など様々な特性が付与された金属も一般的には鉄と呼ばれるでしょう

鋼と鉄の違いとは

鋼と鉄では炭素量が違う

鉄とは、一般的には広く鉄鋼製品の事を指しますが、本来はFeという純粋な元素のことを言います。
純粋な鉄は私たちが知っている鉄よりも、早く酸化する上に脆く、加工して使用できるようなものではありません。

鉄と鋼の大きな違いは炭素が含まれているか否かであり、鋼は鉄に炭素を加えた合金のことを指します。
純粋な鉄を目にする機会は、ほとんどありません。
私たちが普段、鉄と呼んでいるものは正しくは「鋼」だということを理解しておきましょう。

炭素量が違うことによる性質変化

鉄に炭素を加えることで、私たちが良く知る鉄になります。
炭素を加えることで、鉄の硬度・強度の向上を図ることができます。
純粋な鉄にわずか0.02~2%程度の炭素を加えることで、驚くほど鉄の特性は変化します。

炭素を加えた鉄は合金であり、鋼となります。
鋼の炭素量を増やせば増やすほど、鋼の強度・硬度は向上します。
しかし、、増えすぎると靭性という金属の粘り強さが低下し、一定の力が加わると曲がるのではなく折れてしまいます。
プラスチックは多少のしなりがありますが、ガラスや陶器などは簡単に割れてしまいます。
この場合、靭性が低いのはガラスや陶器の方になります。

鋼の硬度・強度と靭性は相反する性質のため、同時に両方の性質を高めることはできません。
使用用途や環境に合わせて最適な鋼を使用する必要があります。
そのため、鋼には炭素を含む量が定められたものもあります。
目的に合わせて最適な鋼を選択し、使用することが大切になります。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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