材料解説シリーズ~SUH660編~
本日は材料解説シリーズ~SUH660編~です。
使用用途や特徴など解説しますので、是非ご覧ください♪
SUH660とは
SUH660とは、オーステナイト系の耐熱鋼の一つです。
海外の規格では、UNS規格でS66286相当にあたります。
また、海外ではA286と呼ばれており、多く流通しています。
700℃までの高温環境で使用することができます。
基準としている比重は7.8前後とされていますが、基本は需要家とメーカーの間で取り決めることになっています。
基本的に、固溶化熱処理後に時効処理を施し、強度を高めて使用します。
また、そうすることで900MPa以上の引張強度を得ることができます。
SUH660は、耐熱鋼に分類されていますが、オーステナイト系ステンレスと似たような組織のつくりをしているので、加工性はオーステナイト系ステンレスに近くなっています。
SUH660の主な構成成分は、ニッケルが24~27%、クロムが13.50~16%、モリブデンが1~1.50%、バナジウムが1.10~1.50%です。
SUH660の特徴
・高温環境下で高い強度を保持します。
・固溶化熱処理後に時効処理を施すことで、900MPa以上の引張強度を得ることができます。
SUH660は、700℃の高温まで優れた強度、および耐酸化性を有する析出硬化型耐熱ステンレス鋼です。
この温度域までは、Ni基耐熱合金と同等の強度を持っており、これの代替として使用可能です。
SUH660の使用用途
SUH660は、700℃までの高温に耐えられ、高温環境で強度が高まるため、高温環境にさらされる部品でよく使用されます。
例えば、蒸気タービンのロータ・ボルト、ブレード、シャフト、ガスタービンなどに使用されます。
ニッケルとクロムの含有量が多く、モリブデンも添加されているので、切ったり削ったりする加工で使用するのには向いていません。
また、固溶化熱処理後に時効処理を施し、強度を高めて使用するのが基本ですが、加工しづらい場合は焼きなましを行ってから使用することもあります。
似たような組織構造をしているステンレス鋼にも耐熱性はあります。
しかし、ステンレス鋼は耐食性、成形性、溶接性を重視しているため、炭素量が少なくなってしまっています。
その一方で耐熱鋼の場合は、耐熱強度を高めるために炭素量を高くして、その向上元素であるバナジウムなども添加させています。
SUH系の素材は、高い温度の空気やガスの中でも酸化や腐食がありません。
また、強度や硬さの低下が限定的であるため扱いやすい素材です。
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