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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

鉄とは?鉄の性質や加工性など解説します!

本日は鉄について解説していきます!
性質や加工性など解説していきますので、是非ご覧ください♪

鉄の性質

鉄(Fe)は、私たちの生活において極めて重要な金属元素の一つであり、産業や社会インフラの基盤を支える存在です。
その基本的な特性を理解することは、鉄を用いるあらゆる分野での材料選定や加工技術の設計において非常に重要です。
まず、鉄の原子番号は26で、周期表では第8族、第4周期に位置する遷移金属です。
常温常圧下では銀白色の金属光沢を持ち、非常に硬く、かつ加工しやすい性質を兼ね備えています。
純粋な鉄は比較的柔らかく延性があり、単体では産業利用に向いていませんが、炭素やその他の元素を加えて合金化することで、強度や硬度、耐摩耗性、耐食性などの特性を大きく変化させることができます。
この性質の幅広さが、鉄を「万能材料」と呼ばせる所以です。
鉄の融点は約1538℃、沸点は約2862℃と高温に強い点も特徴です。
また、鉄は常磁性を示し、約770℃を超えると磁性を失う(キュリー点)性質もあります。
磁性はモーターやトランスなどの電磁機器における応用において重要な役割を果たします。
機械的性質としては、強度・靭性・延性のバランスが良好です。
引張強さや硬度は添加元素や熱処理により幅広く調整可能であり、柔らかく加工性に優れた鉄から、非常に硬く耐摩耗性に優れた工具鋼まで、多様な性質を持つ材料に変化します。
これが鉄があらゆる産業分野で利用される最大の理由の一つです。
ただし、鉄には酸化しやすいという弱点もあります。
空気中や水分の存在下では容易に酸化し、いわゆる「錆」が発生します。
このため、実用においては防錆処理や耐食性の高い合金化(例:ステンレス鋼)などの対策が必須です。
逆にこの反応性の高さは、冶金的な加工や合金設計においての柔軟性を生む一因にもなっています。
また、鉄は地球内部にも豊富に存在する元素であり、地殻中の存在比ではアルミニウムに次いで多く、可採資源としての安定性も高いです。
鉄鉱石からの精錬も確立されており、世界中で大量に生産・流通されるため、コストパフォーマンスに優れた金属材料とされています。
このように、鉄は強度、加工性、磁性、耐熱性、資源性など多くの利点を併せ持ち、素材として極めて汎用性が高い金属です。
こうした基本特性を踏まえることで、後の製造方法や用途展開の理解もより深まるでしょう。

鉄の元素としての特徴と周期表での位置

鉄(Fe)は、原子番号26の金属元素であり、周期表においては第4周期・第8族に属する遷移金属です。
この位置付けは、鉄の電子配置や化学的性質に大きく影響し、多彩な化合物や合金を形成する原動力となっています。
周期表上でのこの位置づけを理解することで、鉄が持つ特性の背後にある原子構造や化学的傾向をより深く把握できます。

周期表での位置と電子配置

鉄の電子配置は次のようになります。
1s² 2s² 2p⁶ 3s² 3p⁶ 4s² 3d⁶
このうち、最外殻にあたる4s軌道には2つ、3d軌道には6つの電子が配置されています。
遷移金属に共通する特徴として、d軌道の電子が化学反応やイオン化に関与するため、鉄は+2価(Fe²⁺)や+3価(Fe³⁺)といった多様な酸化数をとることができます。
この性質が、鉄の酸化還元反応への関与や複雑な化合物の形成を可能にし、広範な工業的応用へとつながっているのです。

遷移金属としての振る舞い

遷移金属に分類される鉄は、以下のような特徴を持っています。
・高い融点と沸点
・複数の酸化数
・硬くて展延性に富む
・金属光沢と高い導電性
・錯体形成能が高い
・磁性を持つ(常磁性・強磁性)
これらの特徴は、鉄が構造材料や電気・磁気材料、触媒、医療用化合物など、幅広い分野で利用されている理由を物語っています。

磁性とキュリー点

鉄のもう一つの重要な特徴に「強磁性(ferromagnetism)」があります。
鉄は、自然界で常磁性以上の強い磁化を示す代表的な金属の一つで、常温で磁石としての性質を持ちます。
この磁性は、鉄原子の未対電子によってスピンが揃うことで発生し、磁気応用において重要です。
ただし、鉄は約770℃(キュリー点)を超えると磁性を失い、常磁性になります。
これもまた、鉄を高温用途で使用する際の設計上の留意点となります。

鉄の化合物と多様性

鉄はその電子構造の柔軟性により、さまざまな化合物を形成します。
たとえば、酸化鉄(FeO, Fe₂O₃, Fe₃O₄)、硫酸鉄(FeSO₄)、塩化鉄(FeCl₂, FeCl₃)などは代表的です。
これらは顔料、肥料、水処理薬剤、触媒、医薬品など幅広い用途で活用されています。
また、鉄は「錯体」と呼ばれる金属中心に配位子が結合した構造も取りやすく、これが化学的にも生物学的にも重要な機能性の発現につながります。
たとえば、ヘモグロビンやシトクロムなど、鉄を中心とする錯体は生体内でも極めて重要な役割を担っています。

このように、鉄はその周期表での位置や電子構造に基づき、非常に豊かな化学的性質を示します。
これが、単なる構造材料にとどまらず、化学・生物・電磁気分野など幅広い領域で不可欠な存在となっている理由です。

鉄の自然界での存在と資源分布

鉄(Fe)は、地球上で極めて豊富に存在する元素の一つであり、地殻中では酸素、ケイ素、アルミニウムに次いで4番目に多い元素です。
また、地球の中心核(コア)を構成する主成分でもあり、地球全体として見れば、質量ベースで最も多い金属元素とされています。
鉄は地球の物質構成上においても、人類の文明においても、欠かせない存在です。

自然界における鉄の形態

鉄は、単体(金属鉄)として自然界に存在することは非常に稀であり、通常は酸素や硫黄などと結合した鉱石の形で見つかります。
代表的な鉄鉱石には以下のような種類があります。
・赤鉄鉱(Fe₂O₃):酸化鉄(III)。最も一般的な鉄鉱石の一つで、赤褐色を呈する。
・磁鉄鉱(Fe₃O₄):酸化鉄(II,III)。強磁性を持ち、黒色。磁石に反応するため選鉱がしやすい。
・褐鉄鉱(FeO(OH)・nH₂O):含水酸化鉄で、黄色~褐色を呈する。
・菱鉄鉱(FeCO₃):炭酸鉄。還元後に鉄として利用される。
・黄鉄鉱(FeS₂):硫化鉄。鉄源としてではなく硫黄源としての用途が多い。
これらの鉱石は、鉄鉱石として採掘され、製鉄所で精錬されることで鉄金属が得られます。
なお、鉄鉱石の品位(鉄含有量)は採掘と経済性に大きな影響を与えるため、60%以上の高品位鉱石が重視されます。

鉄鉱石の資源分布と産出国

鉄鉱石は世界中で産出されますが、特に大規模な鉱床は以下のような国々に集中しています。
・オーストラリア:世界最大の輸出国。特にピルバラ地域が有名。
・ブラジル:カラジャス鉱山が有名で、高品位鉱石を多く産出。
・中国:国内需要は多いが、自国鉱石は比較的品位が低い。
・インド:東部地域を中心に豊富な鉱床がある。
・ロシア・ウクライナ:旧ソ連圏の重要な鉄鉱石供給地。
これらの国々は、世界中の製鉄業の供給網を支える重要な役割を担っています。
特に日本のように自国での鉄鉱石資源に乏しい国は、これらの国々からの輸入に依存しています。

日本における状況と歴史的背景

日本では現在、鉄鉱石はほぼすべて輸入に依存しています。
しかし、かつてはたたら製鉄のように砂鉄を原料とした独自の製鉄文化が存在し、主に中国山地周辺で採取されていました。
現在でも、島根県の奥出雲地方では伝統的なたたら製鉄が文化遺産として継承されています。
また、日本の製鉄業は高炉技術の発展により世界的に高い生産性と品質管理を実現し、原料が輸入であっても高機能鋼の製造で国際的な競争力を持っています。

地球外における鉄の存在

鉄は地球に限らず、宇宙空間でも豊富に存在する元素です。
隕石の中には金属鉄を含むものがあり、「隕鉄(いんてつ)」と呼ばれることもあります。
また、恒星内部の核融合の最終段階で生成される元素でもあり、宇宙での存在比も高いです。
このように、鉄は地球的にも宇宙的にも基本的な元素の一つなのです。

鉄の種類と分類

鋼(はがね)と鋳鉄の違い

鉄材料は大きく分けて「鋼(はがね)」と「鋳鉄」の2つに分類されます。
これらはどちらも鉄を主成分とした合金ですが、炭素含有量の違いにより性質や用途が大きく異なります。
鋼(Steel)は、炭素含有量が約0.02~2.1%の範囲にある鉄合金を指します。
一般的には0.8%以下の炭素量が多く使われ、延性(粘り強さ)と靱性(衝撃への強さ)を備えているため、切削や曲げ加工、溶接などが容易で、建築・自動車・機械構造などあらゆる分野で使われています。
また、熱処理によって機械的性質を自在に調整できるのも鋼の大きな特徴です。
一方、鋳鉄(Cast Iron)は、炭素含有量が約2.1%以上(通常は2.5~4.0%)の鉄合金です。
炭素が多いため、鋳造時に流動性が高く、複雑な形状の製品を作りやすいという特徴があります。
ただし、鋳鉄は硬く脆く、延性が低いため、衝撃や曲げに弱く、加工や溶接にも適していません。
その代わり、振動吸収性や耐摩耗性に優れているため、エンジンブロックやマンホール蓋、機械のベース部などに使われます。
さらに鋳鉄には種類があり、黒鉛の形状によって性質が変化します。
たとえば、片状黒鉛鋳鉄(FC)は脆い一方で、球状黒鉛鋳鉄(FCD)はある程度の靱性を持ちます。
FCDは「ダクタイル鋳鉄」とも呼ばれ、自動車部品や水道管に広く使われています。
要するに、鋼=強くて加工しやすい鉄材料、鋳鉄=硬くて脆いが鋳造に適した鉄材料という大まかな理解が重要です。
それぞれが持つ特性によって、最適な使用用途が分かれています。

炭素含有量による分類(軟鋼・中炭素鋼・高炭素鋼)

S45Cの試作品

鉄と炭素の合金である鋼は、炭素の含有量により機械的性質が大きく変わります。
この炭素量によって鋼は「軟鋼(低炭素鋼)」「中炭素鋼」「高炭素鋼」の3つに分類され、それぞれに適した用途や加工方法があります。

軟鋼(低炭素鋼)【炭素量:0.02~0.25%程度】

軟鋼は炭素量が少なく、柔らかく延性・靱性に優れているのが特徴です。
加工性・溶接性にも優れており、代表例としてSS400(構造用鋼)やSPCC(冷間圧延鋼板)があります。
建築、配管、家電、自動車ボディなど、日常に近い多くの場面で使われています。
ただし、強度や硬度は中炭素鋼や高炭素鋼よりも劣ります。

中炭素鋼【炭素量:0.25~0.6%程度】

中炭素鋼は、強度と延性のバランスが良い材料で、熱処理(焼入れ・焼戻し)によって高い硬度や耐摩耗性を得ることが可能です。
たとえば、S45Cなどが該当し、機械部品、歯車、シャフトなどに広く使用されます。
ただし、炭素量の増加により、溶接性や加工性はやや低下します。

高炭素鋼【炭素量:0.6~1.4%程度】

高炭素鋼は非常に硬く、耐摩耗性に優れている反面、延性や靱性は大きく低下します。
工具鋼(SK材など)やスプリング鋼に用いられ、刃物やバネ、鋸、ヤスリなどに利用されます。
硬度は高いですが、加工が難しく、熱処理も不可欠です。

このように、炭素量のわずかな違いが鋼の性質を大きく左右するため、用途に応じた最適な炭素量の選定が不可欠です。

合金鉄(ステンレス鋼、工具鋼など)の特徴

合金鉄とは、鉄に炭素だけでなくクロム(Cr)・ニッケル(Ni)・モリブデン(Mo)・バナジウム(V)などの元素を加えた鉄合金のことです。
これにより、耐食性、耐熱性、強度などが大きく向上し、特定の用途に最適化された高機能材料となります。

ステンレス鋼

鉄に12%以上のクロムを添加することで、表面に「不働態皮膜」を形成し、錆びにくくなるのがステンレス鋼です。
代表的な種類として以下が挙げられます。
・SUS304:オーステナイト系。耐食性・成形性に優れる。最も一般的。
・SUS430:フェライト系。安価で磁性あり。やや耐食性は劣る。
・SUS316:モリブデン添加により耐塩性が高い。海水環境などに対応。

工具鋼(SK材・SKD材など)

高炭素鋼に加え、タングステンやクロム、バナジウムなどを加えた高硬度・高耐摩耗性の鋼で、切削工具や金型などに使われます。
代表例は
・SK材(炭素工具鋼)
・SKD11(冷間金型用合金工具鋼)
・SKH51(高速度工具鋼、ハイス鋼)

その他の合金鋼

・クロムモリブデン鋼(SCM):自動車の駆動部品や航空機部品に使用。
・バネ鋼(SUP材):引張強度と靱性を兼ね備えた合金鋼。

このように合金鉄は、機械、構造、化学、医療などさまざまな分野で、要求性能に応じた材料選定が可能な多様性を持っています。

鉄の機械的性質と加工性

強度・硬度・延性のバランス

鉄および鉄鋼材料は、「強度」「硬度」「延性(粘り強さ)」の3要素のバランスによって、その用途や性能が大きく左右されます。
これらの性質は互いにトレードオフの関係にあることが多く、目的に応じて最適なバランスを取ることが重要です。

● 強度(Strength)

強度とは、外力に対して材料がどれだけ耐えられるかを表す性質です。
具体的には、引張強さ(破断前に耐える最大応力)や降伏点(永久変形を起こす応力)などで評価されます。
鉄鋼材料は、炭素含有量の増加や合金元素の添加、熱処理によって強度を高めることができます。
たとえば、高炭素鋼や焼入れ処理を施した鋼材は非常に高い強度を発揮します。

● 硬度(Hardness)

硬度は、外部からの力に対する表面の抵抗性、つまり「どれだけ傷がつきにくいか」「摩耗しにくいか」を示します。
ビッカース硬度(HV)、ブリネル硬度(HB)、ロックウェル硬度(HR)などで評価され、硬度が高い材料は刃物や工具、摩耗部品に適します。
鉄鋼では、マルテンサイト組織(焼入れ後に形成される構造)が非常に高い硬度を持ちます。
しかし、硬度が高くなるほど、延性は低下する傾向にあります。

● 延性(Ductility)

延性は、引っ張られても壊れずにどれだけ変形に耐えられるかという性質で、加工性や衝撃吸収性に大きく関わります。
鉄の延性は炭素量が少ないほど高く、低炭素鋼(軟鋼)は非常に延性に富み、曲げや引張、圧延などに適しています。
自動車ボディや建築材など、変形が必要な用途には延性が不可欠です。

● 三者のバランス

強度・硬度・延性のバランスを取るためには、以下のような工夫がされます。
・調質処理(焼入れ+焼戻し):高強度を保ちつつ、延性を一定程度回復させる。
・合金設計:クロム、ニッケル、モリブデンなどを加えることで、硬さと靱性の両立を実現。
・フェライト-パーライト組織の調整:中炭素鋼では、パーライトが多くなると硬さと強度が増し、フェライトが多いと延性が増す。
例として、構造用鋼(SS400など)は延性と加工性に優れ、建築や機械フレームに最適です。
一方、工具鋼(SKDなど)は高い硬度と耐摩耗性が求められ、切削工具や金型に用いられます。
さらにバネ鋼などは、一定の弾性と疲労強度が必要で、強度と延性のバランスが高度に求められます。

熱処理による性質の変化

鉄の試作品

鉄は熱処理(ヒートトリートメント)によって、その強度・硬度・靱性・延性などの機械的性質を大きく変化させることができます。
この特性は鉄材料の最大の利点の一つであり、鋼の用途と性能の幅を飛躍的に広げています。
代表的な熱処理方法には以下のものがあります。

● 焼入れ(Quenching)

焼入れとは、鋼を約800℃程度まで加熱してオーステナイト化させた後、急冷(通常は水や油)する処理です。
これにより、鋼中の組織がマルテンサイトと呼ばれる硬くて脆い構造に変化し、大幅に硬度と強度が上昇します。
ただし、同時に延性や靱性は低下するため、そのままでは衝撃に弱く、破壊しやすくなります。

● 焼戻し(Tempering)

焼入れの後に低温(150~600℃)で再加熱して徐冷する処理が焼戻しです。
これは、マルテンサイトの過剰な硬さや脆さを和らげ、適度な靱性や粘りを持たせるために行われます。
焼戻し温度によって最終的な性質が変わり、用途に応じて調整されます。

● 焼なまし(Annealing)

焼なましは鋼を一定温度に加熱後、ゆっくりと冷却することで、組織を均一化し、加工硬化の除去や内部応力の緩和、延性の向上を目的とする処理です。
冷間加工された材料の後処理や、切削・成形をしやすくするために利用されます。

● 正火(Normalizing)

正火は鋼を焼入れと同様に高温に加熱した後、空冷で冷却する処理です。
これにより、鋼の結晶粒が微細化し、強度と靱性のバランスが整った均質な組織が得られます。
鋳鋼や鍛造品の初期処理として多く用いられます。
これらの処理は単独で行う場合もありますが、組み合わせて性能調整を行うことが一般的です。
たとえば「調質鋼」は、焼入れ+焼戻しを行って高強度かつ靱性のある材料にしたものです。
また、特定の性質を付与する特殊熱処理としては、浸炭焼入れ(表面だけを硬くする)や高周波焼入れ(局所加熱で部分硬化)もあります。
このように熱処理は、同じ成分の鋼でも全く異なる性質を持たせることができる強力な手段であり、金属加工や機械設計において欠かせない技術です。

鉄の溶接・切削などの加工特性

鉄は金属材料の中でも極めて加工性が高い素材であり、塑性加工・切削加工・溶接加工・熱処理加工といった多様な加工方法が可能です。
これは鉄が適度な強度と延性を併せ持ち、かつ熱処理による性質の調整が容易であることに起因します。

● 切削加工性

鉄は特に炭素含有量や熱処理状態により切削性が変わります。
軟鋼(低炭素鋼)は延性が高いため切削抵抗が低く、バリや欠けが出にくく、比較的容易に加工できます。
一方で高炭素鋼や熱処理済みの硬化鋼は硬度が高く、工具摩耗が激しくなるため、超硬工具やコーティング工具の使用が推奨されます。
鉄系材料の切削においては、切削油(潤滑と冷却)の活用が工具寿命と表面精度の維持に重要です。
また、旋盤、フライス盤、ボール盤、CNCマシニングセンタなど、多様な機械による加工が可能です。

● 溶接性

鉄は一般的に溶接しやすい材料で、アーク溶接、ガス溶接、TIG・MIG溶接など、あらゆる溶接法に対応できます。
特に低炭素鋼は溶接性が極めて良好で、建築構造や配管、車体フレームなどで多用されます。
ただし、中~高炭素鋼や合金鋼では、溶接時に「硬化部(焼入れ部)」が生じやすく、割れの原因となるため、予熱・後熱処理が必要です。
また、ステンレス鋼の溶接ではクロム炭化物の析出による耐食性の低下に注意が必要で、溶接条件や溶接棒の選定が重要です。

● 塑性加工(鍛造・圧延・曲げ)

鉄は高温での加工が可能であり、鍛造・熱間圧延などの塑性加工に適しています。
延性が高いため、冷間での曲げ加工も比較的容易で、建材や部品の製造に広く利用されています。

鉄の用途と実用事例

鉄の試作品

建設・インフラにおける鉄の利用

鉄は、建設業界と社会インフラの中核を担う材料として、古くから広く利用されてきました。
その理由は、鉄が持つ高い強度・耐久性・加工性と、安定した供給力とコストパフォーマンスにあります。
最も代表的な用途は建築構造材です。
高層ビルや橋梁、工場施設などの骨組みに使用される「H形鋼」や「鉄筋(Rebar)」は、鋼材の中でも需要が非常に大きく、鉄骨造(S造)は木造やコンクリート造に比べ、高い耐震性と設計自由度を持ちます。
鉄筋コンクリート構造(RC構造)においても、内部の鉄筋は構造物の引張強度を支える重要な役割を果たしており、鉄なしでは成立しません。
また、鉄は道路・鉄道・港湾・水道施設などのインフラ整備にも欠かせません。
例えば鉄道では、レールや車輪、車体フレームに高強度な鋼材が使われ、高速走行や重量物輸送に耐える性能を実現しています。
水道管やガス管、下水道のマンホールなどにも鋳鉄が使われるなど、日常生活の基盤を支えています。
さらに近年では、耐食性や長寿命性を備えた高機能鋼材が開発され、海洋構造物や地下構造物など、厳しい環境下での使用にも対応しています。
例としては、耐候性鋼材(Corten鋼)が橋梁やトンネルに採用されることで、塗装やメンテナンスの頻度を減らし、ライフサイクルコストの低減が可能となっています。

このように、鉄は建築物・インフラ設備において構造強度の確保と耐久性の向上、設計の自由度と経済性を同時に提供する素材であり、都市や社会の発展に欠かせない「柱」としての役割を果たしています。

機械・自動車産業での鉄の重要性

鉄は、機械工業と自動車産業において最も重要な構造材料のひとつです。
その強靭さ、加工性、熱処理性、耐久性は、精密部品から大型構造物に至るまで幅広い用途に適しています。
自動車における鉄の使用量は、車体全体の約60~70%を占め、主に鋼板、鋼管、鋳鉄部品、鍛造品として使われます。
たとえば、ボディやフレームには高張力鋼板(ハイテン材)が使われ、衝突安全性を高めつつ軽量化が図られています。
エンジンブロックやブレーキディスク、サスペンション部品などには鋳鉄や合金鋼が用いられ、耐摩耗性や高温強度が求められる部分でも鉄の優れた特性が発揮されています。
機械分野でも、鉄はあらゆる産業機械、工作機械、農業機械、ロボット機構などの主要構成部材として使用されています。
特に、焼入れ鋼や工具鋼は、ギア、シャフト、軸受け、刃物といった高応力・高精度の部品に最適です。
これらは熱処理によって必要な硬さ・粘り・耐久性を調整できる点が非常に重要です。
また、産業ロボットや自動生産設備では、鉄の磁性特性も活用されます。
モーターやセンサーなどのコア材には、電磁鋼板が使われ、効率的な電力変換を支えています。
昨今のカーボンニュートラル・EV化の動きの中で、アルミや樹脂との競合も進んでいますが、鉄は依然としてコスト、加工性、安全性の面で優位性を持ち続けており、技術革新によって高機能化された鋼材(例:超高張力鋼板)は今後も重要性を増すと見られています。
鉄なしでは、現代の自動車や機械の性能と信頼性は成立しないと言っても過言ではありません。

家電・日用品での鉄の活躍

鉄は「重工業」だけでなく、私たちの身の回りの日用品や家電製品にも数多く利用されており、その応用の幅広さに驚かされます。
これらの分野では、見た目の美しさ、耐久性、加工性、衛生性などが重視され、鉄はそれらの要件をバランスよく満たします。
家庭用で最も身近なのは、ステンレス鋼(錆びにくい鉄)の利用です。
キッチンシンク、包丁、鍋、冷蔵庫の外装、洗濯機のドラムなどに広く使われています。
ステンレスはクロムやニッケルを添加することで、表面に不動態被膜を形成し、酸化(錆)から金属を保護する仕組みを持っています。
これにより、水や酸、熱に強く、見た目も清潔で美しいため、家庭用品に最適なのです。
また、アイロンやトースター、電子レンジなどの発熱部品にも鉄材は多用されます。
電気ヒーターにはフェライト系ステンレスや耐熱鋼が使われ、長時間の使用でも変形・劣化しにくい設計が可能です。
炊飯器やオーブンレンジの内部構造には、熱と蒸気に強い鉄素材が用いられています。
さらに、家具やインテリアでも、鉄の持つインダストリアルな質感が人気で、照明器具やテーブル脚、棚のフレームなどに黒皮鉄やスチール材が用いられます。
デザイン性と機能性の両立が評価され、近年はDIY材料としても人気です。
他にも、自転車のフレーム、工具、ガーデニング用品、文房具、ストーブ、時計、ファンヒーターなど、数えきれないほど多様な製品に鉄は使われています。
加工性が高く、接合や曲げ、塗装もしやすいため、小ロット生産から大量生産まで対応可能です。

このように、鉄は私たちの日常に自然に溶け込む「見えない基盤」としての素材であり、その優れた機能性とデザイン性により、家庭内でも非常に重要な役割を果たしています。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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