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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

ローレット加工の特徴や加工方法を詳しく解説!

本日はローレット加工についての記事を書いていきたいと思います。
ローレット加工の詳細やその加工方法など、製造業の方には当たり前の内容かもしれませんが、是非ご覧ください。

必達試作人
必達試作人
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ローレット加工とは

ローレット加工の部品

ローレット加工とは、金属の表面に凸凹の切り込みを入れる加工のことです。

ちなみに、ローレットは小さな輪を意味するフランス語のルーレットが語源と言われています。
また、英語でローレット加工はknurlingと呼ばれるため、ナーリング加工とも呼ばれます。

身近なものでは、ライターのホイールやシャープペンシルのグリップ、ねじの頭や精密ドライバーの柄、腕時計のリューズやダンベルシャフト、カメラのフォーカスや絞りリングなどの凸凹の模様がありますが、これがローレット加工です。
滑り止めやデザイン性の向上といった、機能と見た目において効果があります。

ローレット加工の目的

滑り止め

ローレット加工の目的としては、まず滑り止めがあげられます。

例えば、先ほど触れましたが、精密ドライバーの柄などがこれに該当します。
特に細くて小さなものだと、どうしても力が入りにくいことがあります。
しかし、柄にローレット加工が施されていると、しっかりグリップすることができるため、力を入れやすくなります。

また、滑り止めと似ていますが、落下防止も目的の一つです。
ダンベルシャフトなどでは、ローレット加工がこの落下防止を目的に施されています。

抜け・回転防止(抜け止め・回り止め)

抜けや回転の防止もローレット加工の目的の一つです。

例えば、プラスチックを結合する際に使われるインサートナットなどがこれに該当します。
インサートナットには、圧入後にローレット加工によってできた凸凹が、素材にしっかり食い込むようになっています。
これにより、結合が抜けたり回転しないようになっています。

デザイン性の向上(意匠性の向上)

すでにふれていることではありますが、ローレット加工の目的としてはデザイン性の向上も挙げられます。

例えば、こちらも先ほど触れましたが、カメラのフォーカスや絞りリングなどがこれに該当します。
もちろん滑り止めという目的もありますが、見た目においてもデザイン性の向上という点で、一役買っているといえます。

微調整を行いやすくする

先ほど触れたカメラのフォーカスや絞りリングに言えることですが、微調整を行いやすくすることもローレット加工の目的として挙げられます。

カメラのフォーカスや絞りリングは、細かな調整を行う必要がありますが、ローレット加工によって凸凹が施されていることで、これが容易になります。
またほかにも、腕時計のリューズやねじの頭なども、これを目的にローレット加工が施されています。

ローレット加工の種類と特徴

ローレット加工の部品

平目模様

まっすぐな線状の目になるのが平目模様です。
円周上、円周方向に垂直に切り込みが入っています。
そのため、ねじの頭や腕時計のリューズなどをつまんで回す際に、滑り止めとして機能します。

綾目模様

ひし形の目になるのが、綾目模様です。

2つの方向から切り込みが入っているため、いろいろな方向から加わる力に対して、滑り止めとして機能します。
また、グリップ力に優れていることから、重いものによく見られるローレット加工の種類です。

代表的なローレット加工の種類は平目模様と綾目模様ですが、ピッチや切り込みの深さ、また切り込みの角度によって様々です。
他には斜目や四角目のものもあります。

2種類のローレット加工方法

切削によるローレット加工

切削によるローレット加工は、旋盤に切削ローレットと呼ばれる、ローレット駒というローラー状の刃がついた工具をセットして、素材に強い圧力を加えて押し当てて模様を切り込む方法です。
この加工方法は素材を削ることになるため、当然削りかすが出ます。

ちなみにこの方法で使われる切削ローレットは、ローラー部分にエッジが立っていて、削りやすいように傾きがついています。
また、ローラーの数は平目模様なら1つ、綾目模様なら2つついています。

転造によるローレット加工

転造によるローレット加工は、旋盤に転造ローレットと呼ばれる工具をセットしていて、素材に強い圧力を加えて押し当て、ローラーの模様を転写するような方法です。
素材を削らないため削りかすは出ませんが、塑性変形するためへこむ部分と元の素材より盛り上がる部分ができます。
また、素材に垂直に強い圧力を加えて押し当てることになるため、旋盤に大きな負荷がかかって精度にも影響が出やすくなります。

ちなみにこの方法で使われる転造ローレットは、素材に均一に圧力がかかるように傾きはつけられていません。
また、ローラーの数は平目模様なら1つ、綾目模様なら2つついています。

2種類のローレット加工方法の特徴

切削によるローレット加工の特徴

メリット

素材が盛り上がりにくい・・・切削では削りながら模様を切り込むため、塑性変形しにくく元の素材より盛り上がりにくいです。

転造に比べてきれいに仕上がる・・・切削のほうが鋭く削るため、メリハリがついたきれいな模様になります。

NC旋盤でも加工可能・・・転造と比べて弱い圧力をかけて削るため、旋盤にかかる負荷は小さいです。
そのため、NC旋盤でも加工可能です。

強度が強くない素材でも加工可能・・・転造と比べて素材にかかる圧力が弱いため、たわむ可能性のある細長い素材なども加工可能です。

長尺の素材も加工可能・・・転造と比べて素材の軸に垂直に強い圧力がかからないため、長尺のものもたわむことなく加工可能です。

寸法精度が出しやすい・・・切削では、元の素材より盛り上がりにくいため、転造より寸法精度を出しやすいです。

デメリット

削りかすが出る・・・素材を削ることになるため、削りかすが出ます。

素材の形状によっては加工が制限されてしまう・・・工具のローラーが傾いているため、素材の形状によっては干渉して、加工できる部分が制限されてしまうことがあります。
例えば、フランジと干渉する場合、フランジの部分ぎりぎりまで加工できないなどです。

素材の中間部から加工することができない・・・切削は素材の端から行う必要があるため、素材の中間部からは行えません。

難削材には向かない・・・SUS304などの難削材は切削が難しいため向いていません。

工具のライフサイクルが短い・・・工具のライフサイクルが短く、切れ味が悪くなると、品質を担保するために、交換を行う手間とコストがかかります。

転造によるローレット加工の特徴

ローレット加工の部品

メリット

素材の形状によっては加工が制限されることが少ない・・・工具のローラーが傾いていないため、素材の形状によって干渉されず、加工できる部分が制限されることが少ないです。
例えばフランジとも干渉しないので、フランジの部分ぎりぎりまで加工することができます。

削りかすが出ない・・・切削とは異なり、削りかすが出ません。

加工道具が少なくて済み、コストも安価・・・切削と比べてコストパフォーマンスに優れます。

短時間で加工可能・・・切削と比べて短時間で加工可能です。

デメリット

寸法精度が出しにくい・・・塑性変形するため、へこむ部分と元の素材より盛り上がる部分ができます。

硬い素材の加工には不向き・・・硬い素材を塑性変形させることは難しいです。

旋盤や素材に大きな負荷がかかる・・・素材に垂直強い圧力を加えて押し当てるため、旋盤や素材への負荷が増し、精度にも影響を及ぼすことがあります。
これにより、NC旋盤での加工には向きません。
また、強度が弱い長細い素材の加工にも向きません。

ローレット加工は、デザイン重視の場合もあれば機能性重視のものもあり用途は様々ですよね。
自分的には、平目ローレットの方が時間も手間もかかるイメージです。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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