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試作人基礎講座

公開日: | 更新日: | 試作人基礎講座

ローレット加工とは?その特徴と用途を徹底解説

本日はローレット加工についての記事を書いていきたいと思います。
ローレット加工の詳細やその加工方法など、製造業の方には当たり前の内容かもしれませんが、是非ご覧ください。

必達試作人
必達試作人
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ローレット加工とは

ローレット加工の部品

ローレット加工とは、金属などの素材の外周に規則的な凹凸模様を付ける加工方法で、滑り止めや装飾、操作性の向上などを目的として幅広く使用されています。
英語では"Knurling"と呼ばれ、主に旋盤を使用して行われます。
この加工は、ドアノブや機械のつまみ、工具のグリップなど、日常的に手で操作する部品に多く採用されています。
凹凸の模様により、手が滑りにくくなるため、湿った環境や油分のある現場でも安全かつ確実に操作できるというメリットがあります。
ローレット工具という専用工具を素材に押し当てることで、模様が刻まれる仕組みになっており、精密な寸法や位置決めが求められることも多いです。

加工の原理と種類

ローレット加工には大きく分けて「切削式ローレット」と「圧延式ローレット(転造)」の2つの方式があります。
切削式は、刃物で材料表面を削って模様を作る方法で、硬い材料や精密性が求められる場面に適しています。
一方、圧延式は、ローレットロールという歯型のついた工具を材料に強く押し当てて回転させることで、材料表面を塑性変形させて模様を転写する方法です。
切削式は加工時にバリが出にくく、模様のシャープさが維持されやすい一方で、工具寿命は短くなりがちです。
転造式は短時間で加工が完了し、大量生産に適しており、工具の摩耗も少ないため、コスト面でも優れています。
ただし、転造に適した材料は比較的柔らかいものに限られるため、材料選定が重要になります。

ローレットの種類と形状

模様のパターン

ローレット加工の部品

ローレット加工で施される模様にはいくつかの種類があり、それぞれ用途に応じて選定されます。
最も一般的なのが「綾目ローレット」で、縦横に交差する菱形模様が特徴です。
この模様は多方向に対して均等にグリップ力を発揮し、滑り止め効果が非常に高いため、手動操作が頻繁に行われる部品に最適です。
次に「平目ローレット」があります。これは一方向のみに直線が並んでいる模様で、主に回転操作ではなくスライド操作に使われる部品に適しています。

ピッチと深さの選定

ローレット加工において、模様の「ピッチ(山と山の間隔)」や「深さ」は、機能性と加工性の両面において重要な要素です。
ピッチが細かい(ファインピッチ)ほど、触感は滑らかになり、細かい作業用の部品に適しています。
一方、ピッチが粗い(コースピッチ)と、グリップ力は強くなりますが、表面が荒くなるため、見た目や使用感が異なります。
深さについても同様で、浅い模様は繊細な操作感が得られますが、グリップ力は低めになります。
逆に深い模様はしっかりとしたグリップを提供しますが、加工時に大きな力が必要となり、素材にひずみが生じやすくなります。
使用目的や素材の特性、さらには使用者の感触の好みに合わせて、ピッチや深さは慎重に選定されるべきです。

ローレット加工の使用例と用途

工業製品への適用例

ローレット加工は、特に産業用機器や精密機械の操作部品に多く採用されています。
たとえば、旋盤やフライス盤の送りハンドル、トグルスイッチ、調整用ノブなどが挙げられます。
これらの部品は、作業者が繰り返し手で操作する必要があるため、滑り止めとしてのローレット加工が不可欠です。
また、作業環境によっては手袋をした状態や油に濡れた手で操作することもあるため、グリップ力の高さが安全性にも直結します。
さらに、測定機器や実験装置など、精密な操作が求められる装置にもローレットが施されることで、使用者の微細な動きを正確に反映できるようになります。
このように、単なる装飾を超えた、実用性重視の加工方法として確固たる地位を築いています。

デザイン性と装飾用途

ローレット加工は、その視覚的な特徴と触感の良さから、装飾用途としても高く評価されています。
たとえば、高級万年筆のグリップ部や、カスタムナイフのハンドル、時計のベゼルなどにローレット加工が施されることがあります。
これにより、単なる金属部品が高級感と独自性を持つ製品へと昇華されます。
近年ではインダストリアルデザインの一環として、あえてローレット模様を表に出し、工業的な無骨さをデザインの一部とするスタイルも人気を集めています。
また、金属以外の素材に模様を転写する試みも行われており、樹脂や木材への応用も模索されています。
こうした動きからも、ローレット加工が持つ装飾性の高さと、多様な可能性が見て取れます。

ローレット加工における注意点

ローレット加工の部品

加工時のトラブルと対処法

ローレット加工において注意すべきトラブルには、模様のズレや二重模様、加工面の荒れ、バリの発生などがあります。
これらは主に、工具の取り付け精度の不良、加工条件の不適正、あるいは材料の状態が原因で発生します。
たとえば、工具がわずかに傾いて取り付けられていた場合、模様が不均一になったり、工具が二重に当たってしまったりすることがあります。
また、回転数や送り速度が適切でない場合、素材表面に不要な摩擦が加わり、表面が荒れてしまうこともあります。
こうしたトラブルを防ぐには、加工前の工具チェック、試し加工による事前確認、適切な切削油の使用などが重要です。
加えて、ローレット加工は他の切削加工に比べて高い圧力を必要とするため、機械やチャックの剛性も確保しておく必要があります。

加工に適した材料

ローレット加工に適している材料は、その加工方法によって異なります。
切削式の場合は比較的硬い材料にも対応可能ですが、工具の摩耗が激しくなるため、適切な工具選定が必要です。
代表的な材料としては、ステンレス鋼や炭素鋼などが挙げられます。
一方、転造式では、素材の表面を塑性変形させるため、ある程度の延性を持った材料が適しています。
アルミニウム、真鍮、銅、軟鋼などがその代表例です。
これらの材料は加工がしやすく、転写性も高いため、美しい模様が得られやすいというメリットがあります。
ただし、表面に酸化皮膜や汚れがあると模様の品質に影響を与えるため、事前の脱脂や清掃処理が求められます。
素材ごとの特性を理解し、それに合った加工法を選ぶことが、品質と効率の両立につながります。

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株式会社アスク

【この記事の著者】

株式会社アスク 営業部

小ロット・小物部品の製作を手掛け、手のひらサイズの部品製作を得意としています。国家検定1級技能士が多数在籍し、一日でも早く製品をお届けするためお見積りの回答は最短1時間!
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