ローレット加工の特徴や加工方法を詳しく解説!
本日はローレット加工についての記事を書いていきたいと思います。
ローレット加工の詳細やその加工方法など、製造業の方には当たり前の内容かもしれませんが、是非ご覧ください。

ローレット加工とは
ローレット加工とは、金属に細かい凹凸状の加工を施す加工方法を指します。
その加工方法には、ワークの表面を削り取る切削加工と、ワークを転がしながら圧力を加えて変形させる転造加工があります。
切削加工では、主に旋盤で回転させているワークにローレット工具を押し付け、等間隔の溝を形成するように削り、表面に凹凸を付けます。
一方、転造加工では、施したい凹凸と同じ模様の工具をワークに押し付け、工具の形状を転写することで成形します。
ローレットには主に2つの役割があります。
1つは、滑り止めとしての役割です。
手や指が使用中に滑らないように、ハンドル部品やねじの頭などで使用されます。
もう1つは、抜け止め、回り止めとしての役割です。
圧入する部品の接合部分にローレット加工を施すことで、摩擦や食い付きによる作用を付加することができます。
他にも、模様を付けるという点で、意匠性の役割としても用いられます。
このように、ローレット加工は私たちの生活の中の様々なところで使用されている技術なのです。
一般的に、ローレット加工では、平目、綾目という2種類の模様が用いられますが、他にも斜目、四角目などの特殊な形状もあります。
別名:ナーリング加工
また、ローレット加工は、主に日本の金属加工で使われている言葉で、英語圏などではナーリング加工と呼ばれます。
これは、ローレットが単にフランス語のルレット(roulette)に由来し、ローレット加工と同様の加工法が英語圏でナーリング加工と呼ばれているだけのことです。
このフランス語のルレットは、「小さい輪」や「小さくて回るもの」を語源都市、洋裁におけるギザギザのついたローラで布地に刻み目を入れる道具を指す言葉です。
この道具の形状や使用法から、ローレット加工という言葉が生まれたと考えられます。
一方、英語のナーリング(knurling)は、つまみネジなどに付けられたギザギザ形状などの模様を指し、日本で使われているローレットとほぼ同じ意味を持ちます。
ローレット加工の種類
ローレット加工は、加工方法によって切削・転造の2つに分けられます。
それでは、それぞれの加工方法の特徴についてみていきましょう。
切削タイプ
切削タイプのローレット加工では、被削材にローレット駒を押し付けて削ることで加工を施します。
金属を削るので、切りくずを排出します。
主に、ツマミねじやインサートナットなどの加工に使用されます。
加工には、必要な模様に応じての工具を用います。
転造タイプ
転造タイプのローレット加工では、ワークを削らず、工具を押し付けて圧力を加え、塑性変形を施すことで加工を行います。
押し付けて盛り上げることから、盛り上げ加工と呼ばれることもあります。
切削加工とは異なり、切りくずは排出されません。
主に、熱圧入用インサートナットやインサートカラーなどの加工に使用されます。
加工には、必要な模様に応じての工具を用います。
ローレット加工のメリット
ここからは、切削・転造の両加工方法について、それぞれのメリットを挙げていきます。
ローレット加工のメリット(切削タイプ)
転造式に比べて機械への負荷が少ない
切りくずを排出する削りのため、抵抗が抑制され、工作機械への負担は小さくなります。
細長材・中空材の加工に適している
これは、工作機械への負担が少ないこととも関係しており、切削加工では、ワークの盛り上がりがほとんど生じないため、薄肉や長物、細物の加工に適しています。
長尺ワークの加工に適している
工具の幅分しか加工を施すことができない転造加工とは異なり、連続して削り加工を行うことができる切削加工では、特に長尺ワークへの加工に向いています。
ローレット加工のメリット(転造タイプ)
短時間で加工することができる
削らず押し付けて圧力をかける加工なので、切削加工と比べて短時間で加工することが可能です。
ツールコストを抑えられる
切削加工の工具と比較して、部品点数が少ないため工具が安価です。
被削材に段差があっても、段差際まで加工できる
切削加工では被削材に段差がある場合は、工具の干渉により段差の際まで加工することは難しいですが、転造加工では可能となります。
ローレット加工のデメリット
ここからは、切削・転造の両加工方法について、それぞれのデメリットを挙げていきます。
ローレット加工のデメリット(切削タイプ)
素材径より小さくなる
切削加工では、金属を削り切りくずを排出するため、素材径より小さくなってしまいます。
フランジの際まで加工できない
工具が干渉するため、フランジ(円筒形あるいは部材からはみ出すように出っ張った部分)の際まで加工を施すことはできません。
管理が難しい
量産時には、工具摩耗によって切れが低下低下してしまうため、品質を保証するために工具の交換など管理を行う必要があります。
ローレット加工のデメリット(転造タイプ)
工具の幅分のみの加工となる
転造加工では押し付けて圧力をかけるとこで加工を施すため、工具の幅分しかかけられず、長尺ワークの加工などには不向きです。
工作機械への負担が大きい
大きな抵抗が作用するため、工作機械への負担が大きく、塑性変形によって工作物の盛り上がりも大きくなります。
ローレット加工の素材
次は、ローレット加工に適している素材についてみていきましょう。
下表に、切削・転造の両加工方法について、対応可能な材質をまとめています。
材質 | 銅・真鍮 | アルミ | SS材 | SSM材 | 鋳鉄 | チタン | 樹脂 |
転造 | ○ | ○ | ○ | △ | △ | △ | NG |
切削 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | ○ |
切削加工では、ほとんどの材質に対応可能ですが、難削材であるチタンの加工は対応が難しくなります。
一方、転造加工では塑性変形によって加工がおこなわれるため、チタンや鋳鉄のような硬い材料への加工は難しく、さらに金属ではありませんが、樹脂などのもろい材料には加工ができません。
こちらの記事はMitsuri Media様の記事を参照しております。
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